JANOG Comment 7 2003年8月13日 JANOG運営委員会 JANOG運営委員会・ポジションペーパー 0. 概要とバックグラウンド 1997年のJANOG発足以降、JANOG運営委員会(現在と歴代の運営委員)はその活 動を通じて、JANOG自体や運営委員会に関して「こうあるべきだ」という議論 を重ね、それに従って運営してきました。 この文書は、そうやって積み重なってきた議論を整理する形で、現在のJANOG 運営委員会の基本的な方針と考え方を示すものです。 1. JANOGの歩みと運営委員会 JANOGは1997年ごろNANOGに参加していた日本人インターネット運用技術者数名 のアイディアによりメーリングリストとして発足しました。以降サーバとハウ ジングスペースの確保,ミーティングの組織化など行いながら、2003年8月現 在、JANOGメンバとして定義されるメーリングリスト加入者数は3,700名を数え る程になりましたが、このような運営の企画,方針立てなどに携わるグループ として、JANOG運営委員会は組織されています。 2. JANOG運営委員会の活動内容 JANOG運営委員会は、JANOGコミュニティの運営と、それに関する検討を行うグ ループです。具体的な活動内容に関しては JANOG Comment 6 「JANOG運営委員 会の活動内容」をご覧ください。 3. JANOG運営委員の選出 1.で触れたようにJANOGは自然発生的に発足し、組織化してきました。最初の 運営委員は1997年7月に開催された「プレミーティング」で選出されましたが、 それ以降の任免は運営委員会自身で決定しています。つまり、新たな運営委員 の加入は運営委員会の合議によって候補者を選出し、運営委員の辞任は委員本 人の意思によるものです。 また、JANOGの運営は現在のところ完全にボランティアベースであり、運営委 員やミーティング実行委員は、それぞれの本業を持ちながら、これらを基本的 にプライベートな活動として行っています。JANOGの非営利任意団体という性 質から、当然ながらこれらの活動は無報酬で行われます。 4. JANOG運営委員の移り変わり 現在のところ運営委員は10名程度までで構成するように考えています。発足メ ンバ以外は、運営委員として十分な貢献が見込まれる人に適宜加入をお願いし、 今に至っています。その際の候補者は、主にミーティング実行委員を複数回経 験してミーティング運営上の貢献が著しかった、などによって推薦されます。 運営委員はそのポジションが実質的なものでなければならず、名誉職的な肩書 きであってはならないと考えています。 この考え方は、しばしば世代交代の必要性とともに議論されます。必要に応じ て新たな構成員を迎え入れ、長く務めた構成員が去ることによって、構成員を 固定化せず適切な新陳代謝を図ることは、JANOGコミュニティ運営の健全性を 維持する上で、長期的に見た場合重要な意味を持つと考えています。 また、各人本業などで多忙であることが多く、本人が望むところでなくても JANOGの運営に関する貢献が長い間できないことがあります。そのような場合、 本人の自覚によって自主的に辞任するべきであろうと考えています。 5. JANOGと運営委員会の関係 組織運営に関するひとつの考え方として、運営委員のような委員,役員の類に 関して、構成員の総意に基づいて選出すると言うものがあります。しかし、 JANOG運営委員会においてはこれを採用していません。 オープンな選出を行わないという側面だけから、JANOG運営委員会が閉鎖的な 活動を行っているように捉えられるとすると、それは運営委員の望むところで はありません。 運営委員会は運営を執り行うグループとして、JANOGメンバにとって有益なコ ミュニティ運営と、運営委員会自体の健全な組織化に常に心がけて活動してい ますし、メンバを初めとするあらゆる皆さんのご意見,ご指摘,ご要望など喜 んで伺う心構えを常に持っています。 オープンな選出を行わないことにはいくつかの理由があります。JANOGのメン バーシップがメーリングリスト加入のみという簡単なものであり、かつ3700名 を超えるメンバを持っている状況では、メンバの意思を確認するプロセス(例 えば選挙など)が、コミュニティ運営全体に比べて非常に大きなオーバーヘッ ドとなり、本来の目的であるインターネット運用技術に関する活動に専念でき なくなるかもしれない、と考えていることは、一つの大きな理由といえます。 つまり、運営委員会はいわばJANOGの「裏方」として、メーリングリストやミー ティングなどの「舞台」がうまく進むお世話をして、JANOGメンバのアクティビ ティのお手伝いをしているというわけです。メーリングリスト,ミーティング を初めとする「舞台」でのJANOGの活動は、運営委員が作り出すものではなく、 メンバの皆さんが作り出すものです。 「舞台」と「裏方」を分ける表現をしましたが、これは運営委員ではないメン バの皆さんの運営への参加を妨げるという意味ではありません。むしろ積極的 な提言や貢献は歓迎されますし、このような貢献が著しい場合にはきっとその 方が運営委員に迎え入れられるのに長い時間を要さないでしょう。 6. 運営委員会はどんなJANOGを目指しているのか JANOGがどういった方針でどういった活動を行うかに関しては、JANOG Comment 1 と呼ばれるドキュメントに示してあります。JANOGは日本のインターネット 技術者のコミュニティとして、主にオペレーションの問題を中心に議論する場 として作られました。 コミュニティとは、情報交換と共同活動を行うところですが、運営委員会は、 JANOGがコミュニティとしてこの本質的な意味で価値が高まっていくことを願 い、活動しています。 つまり、特定の方の知識を皆さんで共有することで日本のインターネットの技 術レベルが向上したり、異なる視点と知識を持った方々の意見交換・議論によ って、新たな知識や視点などが得られたりすること、また、そのようなメンバ の共同活動によってそれぞれの単独の活動では得られない成果が得られていく ことを願っています。 これらの価値を維持し高めていくことで、JANOGが日本のインターネットの中 で、存在価値のあるものとして永続することが、JANOG運営委員会の願いです。 以上