プレゼンテーション名: DNS運用の健全化に向けて 時間: 10:35-10:55 発表者: 森下 泰宏(日本レジストリサービス) 記録者: 法林 浩之(インターネット総合研究所) ・はじめに - 森下氏はJPRSの所属だが、このプロジェクトはJPNIC/JPRS/WIDEの三者共 同によるものなので、今日は三者の立場で発表する。 ・インターネットとDNS - DNSの役割 * 正引き、逆引き * MXの指定 - インターネットはDNSに強く依存している ・DNSの現状 - 概ねうまく動いているように見えるが、正しくない設定が行われている 場合が多い - 状況証拠としては以下のものがある * JPRSに(DNSがおかしいという)問い合わせが来る * DNS問い合わせパケットの統計 o マイクロソフトのDNSサーバのダイナミックアップデート などが特に多い * IETFでの報告 * CAIDA等の調査結果 ・正しくない設定により起きる事柄 - 不安定な動作 * 全く動かないのではなく、それなりに動いてしまうことが多い。 例えば問い合わせ3回につき1回はつながるとか。 - DNSパケットストーム * 2002年2月発生 * .jpのサーバに通常の10倍以上のトラフィックが発生 * BIND 8.3.0の実装の問題だった - 自組織DNSの動作異常は検出しにくい。そこで、よい解決策を考えたい。 ・DNS運用健全化に向けて - まず定常的に観測することから始める - その分析結果を公開し、場合によってはおかしいところに改善を求める - 商売でやってくれるところがあったらうれしいけど、いきなりは難しい だろう ・DNSQC-TF - DNS運用健全化を目的とするタスクフォース - 中立組織であるJPNICに設置 - 技術はWIDEがサポート - JP-DNS管理組織(JPRSなど)とも連携をとる - 2002年5月に設立 - 活動内容 * DNSの設定チェックツールを作る * チェック結果を分析 * 分析から得られた問題点をインターネットコミュニティに発信 - 将来的にはJPNICのサービスに載せることを目標とする * 設定に問題のあるサイトへの個別通知に向けて環境を作っていく ・今、DNSはどれぐらい正しく設定されているか - WIDEの加藤さんが調査したもの - 2002/6/14-18に実施 - 調査対象 * 属性型JPドメインと汎用JPドメイン * 37万ドメイン、80万NSレコード、72000ホスト - 調査結果 * 全体の16.1%がよろしくない設定になっている o ne.jpは15.4%がよろしくない o 汎用JPの33.3%がよろしくない(カテゴリ別で一番多い) * 5%のドメインは名前解決できない * 到達できないドメインが12.3% * JPドメインのデータベースへの登録と実体が一致していないドメイ ンが34.5%もある。これはゆゆしきこと。 * ネームサーバのバージョン o 31%は不明もしくはBIND以外 o BIND 8.2.3が23%。BINDでは一番多い o BIND 4.9.xがまだ12%使われている。これはいかん。 o 今BINDを使うなら9.2.1,8.3.3,8.2.6を使いましょう ・よくある設定ミス - CNAMEでつけた名前をNSレコードやMXレコードに書いてはいけない - 一番後ろの.のつけ忘れ - 他にもいろいろ、詳しくは資料参照 ・今後のDNSQC-TFの活動 - 2002年12月にInternetWeekで中間報告 * セミナーも合わせて計画中 - 2003年3月に最終報告 ・質疑応答 - (質問者) JPドメインのセカンダリサーバの配置は5年ぐらい変わってい ないのだが、今後について何か検討しているか? (森下氏) JPドメインのセカンダリサーバ配置が一極集中になっているの はよくないという声もあり、積極的な検討を始めた。今年度の うちには何か報告したい。 (質問者) 検討においてフォーカスするポイントはどこか? (森下氏) JPドメインが円滑に、安定して動くことが最大のポイントと考 えている。 - (質問者) リフレッシュタイマーの設定について何か考察したか? (森下氏) RFCにいろいろ書いてあるが、よい設定を別途広報する必要が あると思っている。 - (質問者) /24より小さいセグメントの逆引きがトラブルになりやすいの だが、そういった統計は出ているか? (森下氏) 統計はないが、調べた方がいいかもしれない。 ・補足説明 - 自分が行ったネームサーバの設定が正しいかどうかを返すプログラムを 開発中である。出来上がったらお知らせする。 - (質問) そういうことをしてくれる既存のWebサイトがあるのでは? (回答) サイトはあるが、プログラムをフリーで提供しているところがな いので、結局自主的に開発している。