1.タイトル ENUMの野望 2.ロガー 菊池 之裕(インターネットマルチフィード株式会社) 3・発表者 藤原 和典(株式会社日本レジストリサービス) 4・時間 発表 17:00 - 17:15 質疑応答 17:15 - 17:20 5・発表の焦点、論点、議題 - ENUMの概要と、話題になっているIP電話との関係を説明 技術的にできることを説明し、法律、現在のビジネスについてはフォローしない。 ※実際にENUMを進めるときには深く電話会社が関係してくると考えられる。 - 発表の内容 ・ENUMの概要 ・やってみたいこと、IP電話を含めた話 ・世界の動向、ENUM先進国がやっていること ・WIDE ENUM WGの活動 以上の説明の後、最後に質疑応答が行われた。 6・発表の流れ ○ ENUM概要 - Telephone number mappingの略か(何か)ら作られた新語 - 電話番号とURLの対応をDNSに登録する仕組み 電話番号をドメイン名に変換 日本の場合、 1. 国内の電話番号から先頭の0を取り国際電話をかけるときの+81を追加 2. 数字をひっくりかえし、最後に.164.arpaを追加するとドメイン名が できる - ドメイン名に対してURIを登録 - NAPTRリソースレコード(BIND8,9から対応)  登録できる内容は、SIP,従来の電話、メール,WWW,  インターネットFAXなど → くわしくはJPNIC ENUM研究グループ報告書を参照 http://www.nic.ad.jp/ja/enum/ ENUMとは「電話番号をドメイン名に対応づけ、URIを登録する枠組み」 ---- ○ 期待されること - e164電話番号によるアプリケーション識別 → 電話番号をいれるとアプリケーションが識別され、 通話、FAXなどができること。   → メール、電話番号を相手に選ばせて呼び出す仕組み - 電話網 - インターネット電話間番号解決 - 電話網「そのもの」の番号解決 ---- ○ 電話が全部ENUMに乗るとどれだけDNS Queryが増えるか - 電話の発呼回数 テレコムデータブックによると、年間 1384憶Call → 秒あたり 4389Call 時間のばらつきを考えると10倍ぐらい? → 5万query/sec の DNS Queryがかかるかもしれない。 - 現在のQuery数 Root 7000 - 20000 Query/Sec JP 1000 Query/Sec → ENUMが載るとけっこうDNSへのQueryが増える。 ---- ○ ENUMとIP電話 - IP電話でENUMを使うことが注目されている。 - VoIP技術はENUMが対象とするアプリケーションの一つにすぎない。 - ENUMとIP電話は別の技術、その間を対応付けるのがURI - ENUMを使うためには,H323,SIP URIで相手指定して通話できるのが条件 - 現在 IP電話が流行っている。 電話会社に050電話番号は教えてもらえるが、SIP URIは教えて もらえないと思うし、SIP URIで相手を指定する仕組ができて ないと考えられる。 - SIP URIを名刺に書いているひとがいるが、まだそれほど流行っていない。 - IP電話からENUMを進めていくには、 数字だけの端末からも簡単にSIP URIを 指定したいという所から普及させていけば良いと考える。 ---- ○ IP電話とVoIPの実装 - IP電話 - VoIPをつかった電話の実装 - 電話 - 電気通信法など法で縛られるいわゆる「電話」 電話だと大変なので、、VoIP通話を考える。 - VoIP通話 - メッセンジャーでの通話は電話ではない。 以下、VoIP通話として用語を使う。 ---- ○ インターネット電話の状況(図参照) - 電話と050などのインターネット電話は必ずつながないといけない。 この間は網間のスタティックルートでつないでいると考えられる。 - インターネット電話会社間の通信は、契約がないとできない。 ない場合は電話網経由 - 電話番号のないSIP電話端末からインターネット電話会社の電話端末への呼 び出しはできないのではないか。 - 電話契約をして、遠くの別のネットワークに持っていって使うことはでき る。 ---- ○ SIP VoIP網 インターネット電話網ではなく、別のSIP VoIP網ができれば良いと考える。 - Emailのように、好きなドメイン名を登録し、好きなSIP URIで通話をし 合える環境というのは可能か?うれしいか? - SIP端末間では、sip URI: sip:ユーザ名@アドレスで呼 びだす。SIP プロトコル的には可能 例: sip:fujiwara@example.jp - 各種メッセンジャーはユーザ名@ドメイン名で相手を呼ぶ - 会社・グループ・個人でSIPサーバを運用 かかってくる知らない呼び出しにはどこからでも答える → SMTPのように誰でも電話をかけられる仕組みが実現可能。 - 問題点として、 SPAM callの可能性(ちょっと嫌かも) - 数字のみ入力可能な端末(電話機等)からURIの入力は苦しい。 ---- ○ SIP VoIP網を作るには - 簡単に入手可能な SIP User Agent ,SIP Server(波多さんのsipd等) グローバルアドレスな固定IPアドレスがあれば実現可能。 → ドメイン名に対してSIP遊びができる。 SIPサーバ、User Agentは出ているのでもう結構遊べる。 --- ○ENUMにつなげて - 数字しか解決できない人への電話をするためのパスとして ENUMが使える。 - ENUMを使用して番号からURIへの対応。 - ENUMを引いて、その結果から SIP URIに電話をかける 端末を作る。 → 登録した相手間では電話番号で通話可能。 ---- ○ 賢いENUMクライアントの可能性 - ENUMをキーにして、URIが選べるENUMクライアントができれば面白 い。 - 基本は携帯電話で実現されているので、これを拡張する? 例えば相手の番号をかけて、不在のとき、、 - Emailでメールが送れる。 - Faxで通信する。 - webで情報が得られる。 などできると面白い。 ---- ○ ENUMトライアル - 世界的に始まっている。20カ国以上が登録済み 日本ではまだ始まっていない。 ○ 先進国の動向 何カ国かあり、ウィーンのIETFでデモを見せていた - 韓国 - IEのバーに乗るきれいなアプリケーション 携帯電話に電話するデモを実施 - オーストリア - SIP端末から別のSIPドメインに接続 電話網とSIP網をつないだ実験を見せていた。 - 電話番号を入れてSIPにつなぐ - 携帯電話からSIPにつなぐ → 電話網とSIP網の連携デモ - CISCO   - ENUM対応のSIP交換機 --- ○ まとめ - 技術的には固まっている。 → すでに実験をはじめている国もある。 - ENUM単体では登録するだけの仕組みなのでおもしろくない → アプリケーションを募集している。 - そこでSIP URIで遊べるようにし、URI入力が大変なのでENUM というようにすると良いと考えている。 --- ○ WIDEでの活動 - e164.wide.ad.jp に ENUM Like Treeを登録し、実際に引いて みる実験をしている。 ----------- ○ 質疑応答 (Q: 質問 A: 回答 C: コメント) (Fusion Communications 田中さん) Q. 今のroot DNSとENUM DNSを分けたほうが現実的か? A. DNSを使う以上、(IETFでやっている以上)ROOTの上のe164.arpaドメインの 上でやるべきと考えている。 (Fusion Communications 田中さん) Q. この ENUMの大量のQueryをさばけるかどうかはIETF等で議論されているか? A. まだされていない。キャッシュサーバが頑張ればそれなりに うまくいくのではないか? (Fusion Communications 田中さん) C. ただ、全員が全員用意できるのではないので、キャッシュサーバを提供す るビジネスが成立するのではと考えている。 (ビートクラフト 小山さん) Q. ENUMが世の中に広まった場合 e164 mappingのサービスを提供する、 ドメインのレジストリ-レジストラのような登録を行う業者は現れるのか。 A. 出てくると思う。 (RINT 国武さん) C. DNSの仕組みで負荷分散の提案があったが。本当にやるとすると、 実際はresolverの改良が必要で導入、アプリケーション開発のしきいが高 いと思い、現実的ではないと思った。 (JPRS 藤原さん) C. 正規表現の解釈が必要なので大変かもしれない。 (Fusion Communications 田中さん) C. 電話会社としては 既存のシステムに頼るのが個人的にはベストかなと思う。 Q. 8/1に総務省がコメントを求めていた気がするが、何か情報はあるか? (東京大学 一井さん) C. 番号研究会の報告書なのではないか。 基本的にはENUM研究会がスペシャリストが多いので、ENUMについては ENUMの報告書を参考にしてほしい。番号研究会は電話番号をどう するかということを議論しており、多少(関連する)ENUMに関しても議論はしている。 (東京大学 一井さん) Q. ENUMは日本で遅れている。「どういうアプリケーションがありうるのか。」   というイメージがまだわかないのではないか。IP電話かけるのにENUMと いうのはもっともだが、別に番号にマッピングする必要はないのではない か。   ENUMは (IP電話とは) 違うアプリケーションを考えないと面白くなく、   ENUMのトライアルを早くやっている国からなどぐっとくるアプリがな いともりあがらないのではないか。その点で情報は何かあるか? A. IETFでもあまりおもしろいことを考えていない。   ENUMの場合、SIPで遊べる環境が広まると、ENUMの必要性がでてくるのではないか。 -------------------- 7・ まとめ - ENUMの概要と、話題になっているIP電話との関係を説明し、 現在の世界の動向、先進国の活動状況、WIDEでの活動を説明されました。 - ENUMは技術的には固まっているが、ENUMは枠組みにすぎず、それを使用する アプリケーションの普及が課題であると考えられています。 8・ 所感: ENUMの仕組みとしては技術的には固まっていて、運用を進めてみて 問題を洗い出す段階にあると感じた。 しかし、普及するためのアプリケーションが無いと、問題が洗いだせないのは どこでも同じで、アプリケーションが無いから問題が出ない。 Queryのように問題が出ないから問題を問題と認識できない。 という状態になっているのではないか、と感じました。 何かのスタートキットのように簡単に実現できると、普及が早まるのではない かと感じました。