1, タイトル FTTH的なレイヤー1〜2の実態とその解決 2, ロガー 高橋昭子(日本経済新聞社) 3, 発表者 馬場聡(北海道総合通信網株式会社 ネットワークソリューション部) 4, 発表日 2003年7月25日9:02〜9:32 5, 発表の焦点、論点、議論 ・L2サービスにおけるトラブル実態 ・FTTH工事のコスト削減努力 ・光ファイバ技術者も必要 ・コスト削減と品質維持のバランスは? ・北海道ならではの問題点あるか? 6, 発表の流れ ・はじめに:  ホストの一員として、朝早いこのセッションからこんなに集まってもらってうれしい  午後のセッションは重いので、ここはわりと軽めな話で頭をほぐしてもらいたい ・L2サービス提供時の実態:  広域Ethernet提供ではまだ問題多い。全体の問題の8割はレイヤー2系   - 100で提供しているが、客に10Mしかない->つながらない     -> 最近は少なくなってきている - AutoNego問題 -> コマンドライン上は大丈夫そうに見える。ただパケッ トロスがおきる。     -> 最近は減っている   - Full/Half問題 まだ多い。メディコンで固定するとfull/half合わない     -> 8割弱はこの問題   - 他帯域制御をするサービスをしているが、シェーピングするとスループッ トが落ちる(とお客からクレームがくる) ・レイヤー1あたりの問題:  キャリアにとって致命的なケーブル切断事故は年間数件発生している。   - トラック、高所作業者がユンボをあげたまま車で走ってケーブルを引っ 掛け、切ってしまう。   - 鳥害・・きつつきのような鳥がケーブルをつついて皮膜に穴をあける・     光ファイバーを切ってしまうなど   -> これは北海道特有だろうか、実は全国的にあるのでは?   - ヒューマンエラーも残念ながらある。 -> クロージャ(ケーブルを同士をつなぐ箱)内工事で違う現用ファイ バーを切ってしまう等 ・光ファイバ工事の実態  現在1加入あたりの工事費7,80万円かかる   - 地中埋設は倍以上かかる。月額5000円の利用費でこの投資を回収をする には10年くらいかかる   - 建物の壁に穴をあけられれば電線をそのまま引き込める。ただしビルに 穴をあけられないと地中埋設(マンホールからあけて&地中を掘って 管路をマンホールから誘導する)が必要になる   - NTTや電力はあらかじめビル建築時に引込管路があるがNCCは後追いで管路を 入れる必要がある。この費用は結構大きい -> 事実上ビル工事時に管路を入れていない拠点への引き込みは難しい・・・  なぜお金がかかるの?-> 手間・材料が高いから   - 従来の工法・・・ファイバ融着機でやっている。多芯型接続が可能になっ     てる機種は一台400万円くらいする。機械は実際に下請けの工事業者     さんが買わないといけない。    コストに跳ね返る。   - 多芯型ケーブル:品質はよい。自己支持型(SSD)ケーブル等を使っている。     中にワイヤーが入っていて自分で支える。   - 鳥害対策としてステンレスの皮膜を持っているものもある->高くなる ・新工法   ・メカニカルスプライス・・型にはめるような形でファイバを物理的にくっつける    作業時間かからない、材料数万円くらい   ・ケーブルはドロップケーブル(ワイヤー少なく。ファイバを2芯くらいに限定)   ・光成端箱も簡略化   ・PONの方式   ・主要材料の単価を下げる(平成7年比20%程度になっている:80%減)     -> 平成7年費で 20%になっている。ケーブルもメーター1000円になっている     -> 価格   ・工法の変更による削減   -> 道路の申請作業委託費などを70%を削減 ・FTTHの実態  メディアコンバータ3年前の10%以下(対向で数万円)  部材のコストダウンが進むと全体の工事費にしめる人件費の割合高くなってくる。  光ファイバ技術者が少ない。需要供給バランスの関係で納期も遅れがちで  雇うお金も高い。  ITだけじゃなく、光ファイバ技術者も量確保必要では? ・事例紹介)  江差ケーブル切断事故   ・江差の電柱ケーブル(光)を9:32にきってしまった。    函館に依頼したが不在。八雲にいた技術者を招聘して12:40、復旧13:15になった   ・北海道全体の技術者数・・・かなり少ない。何かあったときはトラブル     が長引く可能性有り ・IRU方式の採用  ・地域イントラ、eJapan構想などで敷設したインフラを借りる方式を積極的   に採用する ・まとめ  FTTH本格化のためには光ファイバ技術者も必要   ※スプライスはそんなに難しくない  更なるコストダウンがいる  ビジネスモデルがちがうかも・・・?議論したい <質疑応答> ・ソフトバンクBB鶴巻氏(お名前聞き取れず)  メカニカルスプライスは伝送ロスが普通の融着に比べておおきいと思う。  ドロップケーブル+メカニカルスプライスの耐久性はどうか?  開通時検査でOTDRなどをやっているか? (回答)  ドロップケーブルは一部分、まだ使いはじめたばかり。しばらく様子見する。  スプライスのロスは・・クリティカルな部分には使わない。ただしメカニカ   ルスプライス、クロージャの性能もよくなっていてロスは1dBには収まるくら   いになっている。  #それはちょっとつらいが・・(理由後述)  OTDR試験については開通試験の時はやっていない。ケーブル敷設時にOTDR測   定する。工事業者に機器を買ってもらっている。それも価格にはねかえっ   ている。ただしOTDRは必ずとっている。 ドロップケーブルについてもとって    いる?->とっている。 ・Cisco河野氏  シェーピングでスループットがおちるとあったが、それはpolicingではない   のでしょうか?  ポリシング、シェーピング両方している  シェーピングでバッファを増やすとTCPにはうれしいが、リアル系にはやさしくない。  シェーピングとポリシングは使いわけているか?-> 特にしていない。 ・eAccess岡本氏  - 局舎から客までの距離は一般的にどのくらい?   -> 加入区域でのサービス提供。局舎から半径7kmくらい。 クロージャはケーブル500m毎についている。お客に提供するに一番近いク   ロージャから引き込んでいる。   7kmに500m単位であるので14個、客の近くで1個と合計15個クロージャがある。   クロージャーから2,300mくらい引き込むことケースが多い。よって、1ク   ロージャで1dB落ちるとtotal 15dBくらい 落ちてしまう。 実際にはまだそれほどメカニカルスプライスははいってい ないが、これから入れていこうとしている。 - 一般戸建などの工事形態は多少違う形?   -> 壁に穴をあけて入れているケースが多い。 7, まとめ ・レイヤーが低いところでの広域Ethernetトラブルはまだ発生している。8割くら いはfull/half-duplex問題。 ・月々5000円程度の使用料で投資コストを回収するために、品質とのバランス  とりながら光工事代の削減努力はこれからも続く。  ・光ケーブル技術者は今でも少ない。IT技術者に加えて光技術者も養成必要では? 8, 所感  キャリアが安い工事費でどのように投資回収するか疑問だったが、実は元が取 れていない?ことがわかった。寡占という原因に基づくコスト高が原因の ひとつとしてあるように思う。サービスだけでなく材料、技術者、工事業者すべてに おいて競争状態になる必要がある。ただしそれでもコスト削減のみでの回収モデル構 築は難しいのでは?と感じた。