1. タイトル 「IPv6普及推進の為の位相空間アドレスポリシーの提案」 --- IPv6 Topological Addressing Policy --- 2. ロガー 増田 憲司 (NTTスマートコネクト株式会社) 3. 発表者 辰巳 治之 (札幌医科大学大学院医学研究科 生体情報形態学教授)            (特定非営利活動法人 北海道地域ネットワーク協議会会長)    4. 時 間 2003年7月25日 10:45 〜 11:45 5. 発表の焦点、論点、議題 - IPv6の普及促進 - 地方におけるroutingの問題の解決と医療系における安定性確保 - 位置情報におけるセキュリティ確保 - 完全アドレス二重化によるEnd to End Multihoming実現 - 緊急ビットによる医療系への応用 議論のポイント: - End Userのニーズを理解してもらう。 - IPv6におけるattractive meritの創出 - End to End Multihoming with IPv6 - IPv6 Topological Addressingの可能性 6. 発表の流れ ・はじめに -本日のキーワード: *戦略的防衛医療構想 SDMCI (Strategic Defensive Medical Care Initiative)   ・SDMCIを達成するために、先進的IT技術を駆使し「転ばぬ先の杖」を実 現したい。    ゼロクリック:どこでも逆ナースコール    これらを実現するための技術要素が、ユビキタスネットワークコンピュ ーティングで、VGN (Virtual Global Network): IPv6 Topological Addressing Policyを提案する。 ・究極のアプリケーションを念頭におき、ネットワーク整備をする必要が ある。 *IPv6位相空間アドレスポリシー (IPv6 Topological Addressing Policy) ・インターネットはライフラインのように使える。軍事用として発展した から切れることがないといわれている。    ->しかし、日本はそうなっていないのが現実である。 ・IPv6のアドレスポリシーや、緊急時・災害時を考慮したインターネット の利用(地域IXの構築計画)等については、まだなにもIT戦略会議に    盛り込まれていない状態である。   (注:その後、内閣官房IT担当の人に聞いても、盛り込まれていないと のことであった。) *VGN (Virtual Global Network) ・これからは、全てにグローバルのアドレスが必要となる。 ->これの実現には、IPv4では難しいので、これからは IPv6による      VGN(Virtual Global Network)を提案する。JANOGから、これを流行 らして欲しい。 ・地方の声を中央に - 中枢神経だけが偉いのではなく、足の裏の細胞だって、偉いんだ!   -> これまでにも色々と、国のエラーイ人々や、高度情報社会推進本部、     IT戦略会議に入知恵してきた。 ・21世紀の高度情報化社会 -まずインフラ > コンテンツ > その次は利活用:医療への活用をおこなう が、しっかりしたインフラでないと医療では使えない。 -生命科学の成果を情報科学の発展に使うことができる。 -> 当然そのまま使うことはできない。使えるところだけを使えばいい。 ・生物システムの情報系への応用 -神経細胞にはいくつもの突起があるが、2種類しかない。   ひとつは、無数にある樹状突起で、沢山の情報を収集する。   他の物は、神経突起で、一本しかなく、次に命令(判断結果)を伝える。 -沢山の情報がなければ、判断はできない。 -情報を集めることにネットワークを使い、分析にコンピュータを使う。 -情報不足だと正しい判断をすることが難しいが、情報が多すぎても、その 取捨選択が難しくなるので、コンピュータを活用すべきである。 ・1つ目の例 「地域活性化」 毎年補助金の公募があるが、北海道は採択が少なかった。 -何故か? -> 北海道には情報がなかなか入ってこなかったため、補助金などの申請に することが、非常にすくなかった。 +H12年度は、-> 申請 北海道1件(全国169件)、採択 0件 +H13年度は、-> 申請 北海道1件       採択 0件           厚生労働省の室長にあって、初めてこの状況を知った。 +H14年度は、フォーラム、シンポジウムを開催し公募をアピール。 -> 申請 30件 採択 7件 やはり、情報が大切! -情報が集まらなければ何もできないし、また、活用されなければ価値がな い。 ・2つ目の例 「データをどう使うか?」 -道庁定年後、札医付属情報センターの研究生になった年配の方、  コンピュータは不得意でも、お世話をして上げると、使えるようになり、  いろいろな経験や知恵があるので、同じデータでも面白い資料を作り出し、 データマイニングができた。  インフラ整備して、データ蓄積して、そこで疲れてしまって、データを使う ことを忘れている! -> 年寄りには若者とは違う視点がある。 -今は、ITが役に立つことを実際に見せることが必要。 ->年配の方は、やりたいことを沢山もっている。それをITで簡単に実現でき るようにしてあげることが必要。 -同じデータでも、使い方によってかわってくる。 -> データマイニングが重要である。 ・乳がんの例から見るべきこと -何故、いま平成10年のデータが最新のものとして載っているのか? -> 部分的にしか情報化されていなかった。 北海道の各市町村で集計 > 道庁で集計 > 厚生省 > 外郭団体 > インタ ーネット上で公開 こんなに時間がかかっていてはIT化のメリットとはいえない。 -データを吸い上げられるシステムを作ることも必要である。 -数字のマジックがあるので、数字だけ信用してはだめ。  正しいデータを得るためにも国民一生一カルテの実現が望まれる。 -実現するには? -> 裏でネットワークがしっかりしていなければいけない。 ・医療費日米比較(一部マスコミの情報だけでなく、沢山の情報から判断する ことが必要) -日本は、長寿社会世界一:医療の評価の指標の一つである。 -アメリカの6分の1の医療費で、日本は世界一の長寿社会を実現している。 -現状は、かなりよい。少子高齢化先進国であるので、これからが問題。 ・それで、今までのやりかたでは、そろそろ限界!? -どうするか? -> ITを「フル」活用する。 ・IT利活用による健康行動理論の推進 -「インターネット禁煙マラソン」ではかなりの効果があった。 +通常の禁煙達成率 約30% +インターネット禁煙マラソン 約70% -> 今度は「インターネットダイエットマラソン」をやろうと思う。 -ITの積極的な利用。 -> わかりやすくいうと、「どこでも逆ナースコール(転ばぬ先の杖)」 -カッコ良くいうと、「戦略的防衛医療構想」で、一生ーカルテへと発展させ たい。 -そこで、これからはゼロクリック:ダブルクリック、ワンクリックの次。 -ITをこのように活用するとなると、ユビキタスネットワークが必要になる。 ・ユーザシステムの進化 -今はもう21世紀。もう"クリック"も必要ない、"ゼロクリック"ここにビジネ スチャンスがある。 -> それが「戦略的防衛医療構想」である。 -これから目標とするサービスは、"転ばぬ先の杖"的なサービス。 + 体重計にのると自動的に電子カルテにデータをおくり、健康監視しいて、   やばくなったらメールがくるようなシステム。 +「逆ナースコール」 -> ネットワークに常時接続されている生体センサーから、心電図データが 遠隔地の医療機関に送られ、カルテデータと照合される。 体調の異常が検出されると、医療機関から自動的に「大丈夫ですか?」 とナースコールされてくる。    極端な場合は、救急車でかけつけ、一命を取りとめることもありうる。 +「インターネットダイエットマラソン」 -> お店で買い物する時に、携帯電話にて電子タグから読み取った情報(カ ロリーや栄養素等)を自動的に送り、今までのデータ(電子カルテ情報) と総合判断して、やばいときには「注意」、大丈夫なら「OK」を、携帯 電話へ送信。 -究極のビジネスモデルとはなにか? -> お金は払っているが、払っていないように感じるサービスである。   「グリコのおまけ」    おまけが欲しくてアメを買う。おまけは無料だと思っている。    #騙しているわけではない。消費者は分かっている。でも、欲しいから 買ってしまう。    こんなサービスがITで実現できるはず。 ・インターネットの現状 -日本のインターネットは、安全か? -> 大手町一極集中したようなネットワークでは安全ではない。 -これからインターネットはライフラインとして使われるようになる。 -> 医療系で利用するには、現状のインターネットでは難しい。 ・MDX:医療系Internet -インターネットの回線はいつも混雑しているので、医療系専用のバイパスネ ットワークを実現を目指した研究が開始されている。 -現在、特定非営利活動法人 日本医療情報ネットワーク協会へ発展  (Japan Medical Information Network Association:JAMINA)   http://www.jamina.jp -医療専用のネットワークをどのように実現するか? -> そもそもお金があったら実現可能。    そこで、医療系では経済性が異常に重要なのだ。    人の命はお金で買えないと言われるが、    実際には、寄付の集まった人、お金持ちは、心臓を買える。 -そこで、IPv6に期待できるように、工夫。 ・SINETが不通の時の代替路 -SINETに故障が発生したときに、NORTHに切り替わる。 ・日本の研究情報ネットワークの二重化と札医 -道内の大学の中で、早くからバックボーンの二重化を実施しており、SINET が落ちたときでも通信が確保されている。 ->これらを、SINET(文部省)とIMNET(科技庁)の二重化により北海道で実 現したかったが、IMnetがなくなってしまった。 そこで、、、 ・位相空間アドレスポリシー -IPv6 位相空間アドレスポリシーを提案する。 -> IPv6のアドレスに、電話番号、郵便番号のように実社会の地理的な位置 情報をアドレスに埋め込んでおく。 -IPv6のアドレスは無限か? -> 否、有限である。 -再配布可能な最小の/48をどこに割り振るか? -> 一個人に割る振って、どうする!、そんなの無駄!! -> 全国を8地域に分け、なおかつ二重化し16ヶ所に割当てる。 これでも十分に使える。(43億x43億x64Kのアドレスがある) ・IPv6と地域IXの促進 -サブネットに位置情報を埋め込んでいることにより、同一地域アドレスの通 信は東京を経由せず、地域IXでの迂回により通信することが可能となる。 -全国に地域IXが必要になる。 Bフレッツグループを使えば、何億円も使わずとも、実現できる! ・細胞・人・全世界 -"細胞を動かすエネルギー"="ATPエネルギー=細胞社会のお金みたいなもの" -"人間を動かすエネルギー"<="お金" -"インターネット社会を動かすエネルギー知識を共有するエネルギー" <="情報のエネルギー"  この情報のエネルギーによって社会、医療も変っていく。 ---------------------------------------------------------------------- <質疑応答> (Q.質問、A.回答、C.コメント) (発表者から会場に向けて) ・このプロジェクトにどれだけ参加してもらえるか? ・そもそもIPv6でハッピーになれるのか? 今、なっている人がいたら、教えて欲しい。いないでしょう。  ハッピーになる工夫を、IPv6だとできそう。 C.IPv6の開発に係わっている者です。以前はIPv6のアドレスをとると、v4では 通信できなくなるようなこともあったが、今はちゃんとIPv6で失敗するとv4 でつながるようになっている。 A.えっ?本当?、そんなこと言ってた?、だったら、すぐ使いたい。  使わせて!、 ともかくこのような失敗したらv4でつながるというような、  優れもののアプリがほとんどない! Q.実世界をアドレスで実現するのは面白いが、世の中にはアドレスがどこから 来ているかわかると困る人もいるのではないか? A.だから、悪いことはできなくなり、セキュリティをあげるのにも重要。 :特に医療機関では。しかし、匿名性を確保できることも必要。 そこで、解決策として米国国防総省で特許をとった「オニオン・ルーティン グ」の利用を考えている。 通信の中身を玉葱のようにいく層にも暗号で包んでしまい、AからBにどのよ うに流れているかわからなくすることができる。また、連結可能な匿名化を 考えている。 しかし、ますます、ネットワークが重要になる。  これはネットワークが落ちていたら使えない!のだ。 C.IPv6でこのようなことは誰も考えていないと思う。 8.所感 発表中、終止、辰己先生の勢いに(関西弁に?)会場が圧倒されていたように感 じました。先生の取組みと今後の医療の発展と、IPv6についての今後の発展に 期待したいと思います。