1. タイトル 電源ってネットワークが組めるんです 2. 発表者 椎名啓順(デンセイ・ラムダ株式会社) 3. ロガー 山田麻紀子(ユニアデックス株式会社) 4. 時間 2004年1月29日   15:45-16:45 発表:15:45-16:30 質疑応答:16:30-16:45 5. 発表の焦点・論点・議題 ・電源及び電源障害の詳細説明 ・電源管理 の二点について発表が行われた。 6. 発表の流れ +自己紹介  デンセイ・ラムダ株式会社において、スイッチング電源・UPS・発電発動機を  扱っており、顧客とのやりとりで得られた、ユーザのUPSに関する疑問や  トラブル事例についてお話したい。 +電源の説明  電源とは、電力そのものもしくは、その供給部及び分配部を意味する。  機器・設置場所・時間などへの依存性が高いため、トラブルの原因となること も多い。 +電源障害の説明  停電・電圧サグ(瞬低)・電圧サージ・過電圧・電圧不足(低下)  商用電源ノイズ・周波数の変動・スイッチングノイズ・高調波歪み +UPSに関して  電源障害は供給元から供給先までの間で、何が原因で何処で発生するかはわか らない↓  そのため「UPS」が必要である。    −給電方式の規格    a)常時商用給電方式 :障害時に発動。高効率。ノイズは伝わる。    b)常時インバータ方式:常時稼動。低効率だが、ノイズは獲る。  −課題    有寿命品であり物理的に散在するため、UPSの管理は煩雑。 ↓   「運用管理手段」の必要性     例)ソフトウェアとの連携機能、ネットワークインタフェース搭載化、        絶縁機能を保有  −UPSの一元管理    ベンダー独自仕様での取り組み     例)複数PCのシャットダウン、複数UPSの一元管理、リモート端末から 管理      ↓    規格統一の動き     例)標準MIB対応、JEMA-MIB +電源部に関して   a)ミッドレンジサーバ :メーカー規定耐量、冗長構成、ホットス ワップ   b)PC    :ATX規格   c)小型・1Uネットワーク機器 :小型化、海外生産  ⇒傾向として、小型化、安さと耐量がトレードオフ +課題   鉛フリー   PLC(電力線通信)   UPS一元管理(統一規格) +質疑応答 ※()内は氏名および会社名 Q1(横山さん@NEC):UPSの基本的な機能、UPSと冗長電源との関連について 教えてください。 A1:UPSも冗長構成を組めるものがありますし、ホットスワップ機能を搭載して いるものがあります。 もし、絶対に電源を落としたくないのであれば、UPSを冗長構成して運用するこ とが必要です。 逆に、機器側に冗長電源あれば、普通のUPSをそれぞれ接続してバックアップす る形で充分だと思います。 ただし、2つのUPSから電源が来るので、その制御を行う管理ソフトを UPSメーカーから提供してもらうことになります。 (UPSの冗長構成が必要になるレンジについて) 通常、UPSの冗長化は行わなくてもよいですが、クラスタを組んでいるシステム などでラック1本分ですとか容量的にコンセントを超えるシステムの場合は、並 列運転のUPSの効力が発揮されると思います。 Q2(エグチさん@富士通システム):UPSを多段で組む場合のデメリットは? A2:損失ポイントや故障ポイントの増加などの観点ではデメリットもありますが 前段が安定化を行う CVCFでバックアップしているのであれば、特に相性などの問題はないと思います UPS多段ではありませんが、長時間連続稼動させる環境を作るために、エンジン ジェネレータと多段でUPSを設置する形を活用することが多いです。 Q2-2:停電信号が取れないため、結果CVCFの後段にUPSを導入することになって たりしますが、特にUPS設置により問題を起こすことはないと考えてよいですか? A2-2:はい。 Q3(エグチさん@富士通システム):UPSのトラブルが機器トラブルに発展したの ですが。 A3:環境依存ですが、原因としてはバッテリトラブルがほとんどだと思います。 UPSの使われ方で劣化度が変わります。安定稼動していても、UPS内蔵バッテリ の劣化は進みます。 最近ではバッテリを含めて保証期間を延長するベンダも出てきています。 UPSを導入した時点からバッテリの管理を行う必要あると思います。 Q4(芦田さん@イッツコミュニケーション): 分散された電源サプライ管理に興味があります。 SNMPエージェントをUPSに搭載して伝送装置と別ユニットとして稼動させる際、 そのユニットに使用するバッテリの潮流はありますか? A4:通信インフラをバックアップするような用途では、傾向として バックアップを必要とする単位が時間(H)単位で要求されています。よって、 そのバックアップ時間に対応したバッテリ容量が必要となっています。 また、柱状設置するUPSではその管理方法はSNMPエージェントでの対応よりも、 お客様の要請どおりの管理手段を搭載する事がまだ主流です。 Q5(高田さん@メディアエクスチェンジ): 御社ホームページに常時インバーターの効率を明記してください。 また、高効率開発に注力していただきたい。 A5:分かりました。 まとめ  電源周りのトラブルは原因追求が難しい。よって、トラブルを減らすためにも  UPSの導入が必要である。実際の設置は複数箇所にわたるため、  その運用は煩雑である。運用性を効率化し、UPSの特性を活かすためにも、  統一規格による、UPSの一元管理が求められている。  今後のホットトピックとして、鉛フリー・PLCが挙げられる。 7. 所感  日頃あまり接することのない分野のお話でしたので、大変興味深かったです。  UPSの機能をフルに使えるよう、一元管理やリモート管理に関する技術が  標準規格として確立されることを期待しています。  個人的には、PLCについて詳細なお話をお聞きしたかったです。