---------------------------------------------------------------------- −プレゼンテーション名:アジア太平洋地域のインターネットワークの現状について −時間: 13:55---14:25 −発表者: 小畑 至弘氏(KDD) −ロガ−: 森信・水口(NTT-WT) ---------------------------------------------------------------------- <前提> アジア太平洋地域と呼ぶのは,オーストラリアをアジア・太平洋に含んでいるから. このプレゼンテーションでは,アジア太平洋地域のIPネットワークが大きくなるに つれての動きを発表していく. ・アジア太平洋地域のトラフィックについて  アジアでは,日本のトラフィックがもっとも大きい.以前はオーストラリアが  もっとも大きかった. ・アジア太平洋地域でのインターネット関連団体活動についての紹介 ・今後のアジアでのネットワークの展開について 1.インターネット関連団体の紹介 1.1 APIC(Asia Pacific Internet Community)www.ap-ic.net  ・設立: 96年10月  ・目的:  - アジア太平洋地域でのインターネットの発展及びそのサポートを行う事.  - インターネットは運用が大切である為,トラフィックがうまく疎通する為の安定した   関係の構築.(発展途上国と如何に通信を確保するか)  - アジア太平洋地域でのインターネットビジネスフレームを構築する.  ・メンバー: −韓国: DACOM −香港: Hong Kong Telecom(現C&W HKT) −日本: KDD −シンガポール: Singapore Telecom −オーストラリア: Telstra 将来的には,アジア全般に展開していく予定  ・主な活動:   アジアのバックボーンを構築 −メンバー間でのフルメッシュインターネットバックボーン構築 −回線計画   回線をどのように施設していくか −Peer関係   Transit・Peeringをどのようにしていくか −中継   End-to-Endをどのように中継するか −障害対応   オペレーションをどうしていくか −相互バックアップ   対米バックボーンネットワークの構築 −どういうモデルでおおきくしていくか  ・収入・コストを考慮してのネットワーク構築  ・アメリカとの政治的な対応も実施  現在の結論として  ・アメリカでの通信事業者免許を取ったりする設備ベースでのネットワーク構築  ・アメリカの中に広く入っていく事によってTransit Networkの依存度を減らす  ・PAIX,AboveNet等との協調 −ジョイントピアリング  ・5社で共同活動してピアリング活動をしていく.   5社まとめてだったら話を聞いてくれる可能性が増える為  ・IPネットワークの規模  −対米回線 平均: 330Mbps 合計: 1.5Gbpsくらい(個々の詳細データは出せない) 最大: 400Mbps以上  −メンバー間 平均: 20Mbpsくらい. メンバー間はそれぞれ大体4Mbpsくらいの回線容量  −APICメンバー以外のアジア 平均: 22Mbpsくらい(KDDだと30Mbpsぐらい) 対米に対して10%ぐらいのトラフィック量  −ヨーロッパ 2Mbps(まだ少ない) 1.2 Abone(Asia internet holeding)www.abone.net  ・設立: 95年11月  ・目的: APICとほぼ同じである.  ・メンバー: IIJ,住友商事,NTT,伊藤忠等  ・活動: −インターネット接続サービス −A-boneサーバ(ホームページサービス,データホスティングサービス,  データベースサービス)も検討中 −ローミングも提供  ・ネットワーク構成: こちらはAPICと違い,日本がハブになっているネットワーク APICは各国それぞれが独自で回線を引いている やり方は違うけど,APICと同じゴールを持った活動を行っている 1.3 APIA(www.apia.org)  ・設立: 97年4月  ・目的: アジア地域でのインターネット普及  ・メンバー: ビジネスを基盤とする業界団体 メーカー等  ・特徴 政治カラーがどちらかというと強いビジネスを手段とする企業の利益代表 メンバーはISPだけではなくて,メーカも入っているのが特徴  ・主な活動   −政策課題 APECの会合に参加してアジアの代表 国際回線接続費用問題  トランジットを米国に一方的な支払いに対する問題点 ドメイン名の管理問題  IFWP,ICANN等に行きアジアの利益代表 Y2Kキャンペーン活動の推進 1.4 その他の団体   ・PTC   ・PPM   ・MAC   ・ATIP 2.APICのインターネットモデル 2.1 前提:  ・最近は国際トラフィックが旧来から言われていたインターネットモデル、つまり特   定のサーバ群(通常はホスティング事業者)からアクセス網に対して大量のデータが     送信されるモデルに近づいているようである.  ・昔はアメリカ全体にトラヒックが集中し、それを大手トランジット事業者(UUNet、   MCI等)が中継していたが,今は特定のコロケーションサイトからのトラフィックが   2-3割(多くて5-6割)占めている.  ・データを持っている所,それを中継する所,そしてそれをカスタマーに渡す所とISPの   役割分担が徐々に明確になってきているのではないかと思われる.  ・今までは制度上の問題で中継ISPが国に閉じていたが,これからは通信の解放でRegionalな   ISP,GlobalなISPが幅を利かせてくるのではないか.  ・ある程度の階層は必要だが,1社に集中するという階層構造は難しいのではないかと思われる.  ・大陸間の中継をしているISPが相互ピアリングによってネットワークの広がりが今まで以上に   大きくなるのではないか. 2.2 モデル:  ・大陸内中継ISP間の国際的なピアリング  ・グローバルISPが地域・国毎で大陸内中継ISPとピアリング  ・大陸内中継ISPがCommodity Internetとの接続の為にグローバルISPに中継料を支払う   ここ1-2年でこうなるのではないか.  ・どの様な形が最適なのか皆で納得する必要がある. 2.3 アジアのインターネットの将来  ・米国ISPの急速なグローバル化 NASDAQの急騰による巨大資本を武器にアジア全域に進出  ・アジアの連携 アメリカに抵抗する為に,アジアは連携してやっていく必要がある.  ・新しいケーブル(US-JAPAN,US-CHINA,PC-1)の敷設   WDMを使うのでビット単価が非常に大きく下がる. 相場が1/10ぐらいに下がると予測される. ---> 東阪のコストが価格低下に追いつけない.  ・M&Aが急速な進展 特に米国株式市場の急騰によりM&Aが今後更に進んでいくのではないか. 法律・規制による抵抗も先行き不明である.  ・技術(IP-VNP・MPLS)の発展 −技術の発展よりプライベート網等もIP網ベースになっていく為,それに対応する  必要もある. −電気通信事業の変質によってインターネットの将来は変わっていく. −BGP4ではこういう状況では耐えられないのではないか?  BGP4に変わるルーティング方式を日本から. <質疑応答> Q1.キャリア系のサービスもIPの上に載せてしまおうと考えているのでしょうか? A1. 今はWDM&SDHでやっているけど,ケーブルの方でもルータを置こうかという話もあり, 線が線でなくなると.2つの網を両方発展させる体力はない.インターネット,LANが ここまで大きくなると拡張が追いつかない.一つのインフラで公衆網と企業網両方の ネットワークを統合したい. 一番難しいのはProvisioningと課金である.IP電話でも一緒である. IP電話やVPNは機能的に相互接続できない事が多く,事業者同士で相互接続できない 為,ネットワークが大きくなる阻害要因である. Q2. アジアのトラフィック量は? A2. 1社あたり4Mbpsぐらい平均がある.(キャリアーキャリア).APICが始った時は   128Kbpsを満たさなかった.(2年前)   2年ぐらいで128Kbpsから4Mbps〜8Mbpsへ.アジアとの間の通信の伸びのほうが米国   との間の通信の伸びよりも大きいと思われる. Q2' 景気の悪い国への接続状況は進んでいるのでしょうか? A2' 格差は相当ある マレーシアとかは実際につなげてもトラフィックが流れないという状況になっている. 主要国を除くと微々たるものである. Q3. APIAでY2Kをやっているコメント.Working Group Y2Kでやっている.世界で一番まじめに Y2Kを考えている.Coordination CenterをSan Joseに作る.White HouseにもJANOGを紹介 しようと思っている.一番熱心なのは,日本である. Q4. BGP4の新しいというのは?(機能について詳しく) A4. ネットワークが広がっていって,世界をカバーしていくと,昔のモデルだと1個のリージョン   に1つのASを振ればよかったが,Region毎に独立したトラフィックがあればそこだけでPeer   すればよく,外にトラフィックを出さない.しかし,ASが増えていくと面倒になる.   Peeringを進めていきたいが,アメリカでも数千社,日本でも千社程ISPはいるため,皆と   Peeringするのは不可能である.その様な意味で中継ISPが必要である.   しかし,中継ISPの先のASもコントロールしたいがため,新しいBGPが欲しい.   ConfederationはAS内に閉じているため,外が見えない.