1. タイトル 広域イーサネットとキャリアサービス 2. 発表者 河野 美也(シスコシステムズ) 記録者 村本 健一(NTTコミュニケーションズ) 3. 時間 2003年1月23日 17:00〜17:30 4. 発表者の焦点、論点、議題 ・今年でイーサネット30周年、インターネット生誕20周年を迎え、最近 ホットなキャリアでの広域イーサネットサービスの今後についての考察 したい。 ・キャリアからみた広域イーサネットサービスへの思いとしては、そろ そろ運用が厳しくなってきているので何とかしたいということではない か。例えば、障害対策が非力、設備のコスト増大、SLA、QoSなども必要 性、などが課題。 ・これらの根源的な問題としては、UNIの概念がない、スケール、冗長性 確保とループ回避、などが考えられる。 ・いくつかの提案としては、H-VPLS、EoE 、IPLS、Pseudo Wireなどが あるが、どれもキャリアの要求を完全に満たすものではないように思わ れる。 ・では、これらの課題に対してブレークスルーするためにも、キャリア として、Internetとして、広域イーサネットサービスとしての基本精神 に立ち返って再考したい。 5. 発表の流れ 発表資料のとおり。 6. 質疑応答 (質問) Ethernet over Ethernetについては、メトロイーサフォーラムで議論中 しており、IETFに持ち込んで標準化しようとしている動きはだいぶ前から あるので、これから出てくる可能性があるのではないか? (回答) Tenor NetworksのSoddar氏が、昨年12月にIEEEにてプレゼンを行なった。 しかしながら、あまり良い感触ではなかったと聞いている。今のところ、 IEEEとしては、あまり新しいEncapsulation方式に対し、積極的には見え ない。 (質問) イーサネットといえども落ちないことを望んでいると思うが、STPやリンク アグリゲーション、MPLSなどで冗長をとるやり方あると思うが、皆さん は どのように運用しているのか? (回答1) 一区間であればリンクアグリーゲーションが良いのでは。ただ、トラヒック が分散されない、リンクの片方が落ちたら学習機能がなくなりトラヒック が フラットになるなどの課題もある。また、Meshであれば、RSTPが 好き。MPLSは専用線のメタファが好きでない。 (回答2) L2でどれだけ冗長性をとるべきかというと、基本的にコア系はL3で冗長性 を取るのが吉だと思われる。L2で冗長性をとるのは難しい。 (回答3) 可能な限り下位レイヤで冗長を取りたい。トポロジカルなプロテクション は今のところSTPに頼らざるを得ず、限界がある。特に大規模なスケール であればやはりL3優位。 STPドメインは小規模に留めたい。この点についても何らかのブレーク スルーが必要。 (質問) キャリアとしてプライベートネットワークに対しては、どんなアプリケー ションが走っているか分からないユーザ企業のネットワークに入り込んで どこまでに管理するかということが課題ではないか?例えば、ユーザ企業 からアプリケーションに問題がある際にLayer2側に対応を求められること も良くある。 UNIを変えるのは良くないのだが、それ以外でクローズなインターネット の運用において対処方法はないのでは?そもそもUNIで切ることは難しい のでは? (回答) インターネットはオープンだが、オープンかクローズかの議論ではなく、 End to Endでの整合性が取れれば良いのとのがインターネットの精神。 輻輳制御は端末で行い、ネットワーク側は最小限の処理でOKというのは、 TCPがコネクションコントロールするところにある。例えば、マネージド サービスにすればブレークスルーするかもしれない。また、ユーザ企業の 中まで踏み込めば解決するかもしれない。 7. 所感 キャリア戦国時代の真只中で、広域イーサネットサービスのあり方は、各 キャリアの今後の運命を左右するkeyサービスの1つではないだろうか。 河野さんのご意見のとおり、各キャリアは様々な問題や課題を抱えながら 運用しているのが現状であると思われるが、それが逆にキャリア各々で サービスの付加価値を付けやすい環境にあり、ユーザ獲得のチャンスで あるということも言えるのではないか。 ネットワーク運用者が苦労しながら貯めたノウハウが、積極的にサービス に活かされることを今後も期待したい。 以上