------------------------------------------------------------------------ JANOG13 パネルセッション 電気通信役務利用放送法による通信役務上での放送 発表者:(敬称略) 南佳成(ユーズコミュニケーションズ) 牧園啓市(ソフトバンクBB) 沖本忠久(NTTスマートコネクト) 雨宮直彦(KDDI) 大出富康(ビービーケーブル) 河崎憲一郎(スカイパーフェクト・コミュニケーションズ) 四方清隆(富士通アクセス) 時間:2004年1月30日(金)15:30〜17:00 場所:JANOG13会場 赤坂プリンスホテル宴会場「五色」 記録者:鈴木 康之、津島 雅彦 議題(abstruct): 既存の電気通信設備上での放送事業が本格化するのに伴い、今までと違った 放送アプリケーションが台頭し、より簡単でより多くのユーザが利用できるようになる。 ここで、放送事業の電気通信設備利用の可能性、またその際の問題点や放送と 通信における技術的な相違点等をディスカッションし、その将来性・現実性を探る。 発表ログ: 南/牧園 ・ソフトバンクとユーズコミュニケーションが同席するのはすごい   ・ちょっと気になる話 巨悪NTTを正式に分割すべきについて熱弁(孫社長) やっぱり光ケーブルが一番(闇と昼間) ・何を楽しむ? ・一般家庭の居間にいま何が必要か? ADSL、電話、広末のポスター? いや、テレビ/ステレオ! ===> 放送メディア ゲームも強い(若者) ・ストリーミング PCで見る? 普段からみてる? 画面が小さくてみにくい 音がとぶ 「カクカク」してしまう ・日本はIT先進国か? 韓国と比較すると。。。普及率は韓国の方が上! 日本は20位(インターネット指標ランク) 国の補助も韓国が厚い! ADSL/VDSLモデムも良いやつが多い 民族性もある? 一般家庭のPC/internet普及率 日本は韓国に比較して低い ・日本のインターネットの使い方って? 日本はIPアプリケーションを使う/使える環境にない。 メールとWebだけ? ゲームとかは利用されていない? VoIPはお金が取れるアプリ ・プロトコル UDP VoIPが使用 ちゃんと監視できてる? TCPの方は管理し易いけど、UDPはねぇ。。。 ・いろいろな要求への対応が必要 沖本 ・いままでストリーミングを長く手がけてきた立場から発表 ・IP網で放送事業がうまくいくのか? ・昔(95年ころ) 甲子園やライブコンサートなどメジャーなイベント中継に携わってきた 当時は珍しかったので、みんな小さい画面でも、よくみていた。 そのころ、流れ者は、インターネット上で単に流すだけの放送の「まね」 をしていた ・今 コストも考慮する時期 個人でもいろいろ相乗りしつつコンテンツをながすことができる 趣味、趣向の多様化 ・大規模システムを構築するのは良いけど、コストはどう回収するのか ・廉価なシステムが必要な時代になりつつある ・トラフィックが読めない。 P2Pは多いし、パターンは読めない、運用も大変 ブロードバンド化で巨大なトラフィックが流れる 3Mbps*1万人だと30Gbpsも必要になる(どないすんねん) マルチキャストで300chは無理でしょう。 やっぱりコスト回収が大変。どうやってビジネスモデルを構築しますか 専用ハードや専用ソフトはコストがやっぱりかかってしまう 本当にトラフィックパターンが読めない! ・放送の世界ではIPだけじゃない。 映像もIPも同じひもにのせる(CWDM) D1/D4って知っていますか? やっぱり原点に帰りましょう ・PC以外のデバイスも出てきている STB、ゲーム機、ケータイ、カラオケ ・N/W屋として運用全体が把握しにくくなっている ・通信屋、放送屋の境界があいまいになってきている ・大事なことは L3だけじゃなくて、L1/L2の管理も必要 官民合わせて前に進まないとことは解決しない IP屋さんがもっと放送のことを勉強しないといけない 放送屋さんにとってもIP網はとっつきにくい ・今日議論したいこと ISP/放送屋さんっていまどう考えているの? 自社だけで完結か、委託か? IPって放送に向いているか? 本当にUDPですか? 技術的なトレンドを教えて欲しい 雨宮 ・キャリアの立場として発表 ・光プラスという名で放送サービスを始めた ・私はIP派。IPでなんとか放送できると考えている。 ・サービスそのものの差別化は難しい分野 ・光プラスの実験(400世帯)でのユーザーの声 やっぱりインターネットは早いほうがいい、でも高いのは嫌 VOD(レンタルビデオ)は店に行かないならいいな アンテナ、チューナーは高いし、工事は嫌 サービス毎に窓口や請求書がいっぱいあるのは面倒。一本化して欲しい。 ・コストとサポートが差別化のキー アクセスラインの統合 1本の光ファイバーに全部乗せちゃえ サービス窓口の統合 ===>一つのプロバイダがすべてのサービスを提供するのが一番 ・NTTのお陰で光ファイバーのエリアが広がったから、サービスも提供し易くなった ・単一プロバイダによる、光ファイバ+IPが最適解では? internetサービス (IP)電話 同番移行が可能 衛星アンテナ工事不要 VOD可能 IPmulticast(UP+FEC)で高品質で経済的な放送 高い品質の映像を提供中 自己制御可能なCDNを構築出来れば安く提供可能 請求、サポート窓口一本化 大出 ・IPを使った放送を手がけている ・いまはADSL上での放送だが、帯域さえあればどんなメディア上でもよい ・過去の放送は、インターフェース毎に免許も異なる(衛星、同軸、空中) ・IP放送のよいところ ==>一つの免許いろいろなインターフェース(衛星、同軸などと決めなくてよい) でのサービスが可能 ・じゃあIPではどんなもの(コンテンツ?)がのせられるか? ・放送の定義とは?通信の定義とは? その境目って何だろうと自分も考える 世界的にも定義は一つに定まっているわけではない 同報性、同一性 ・今後は放送もデジタル化されていく ==>IPに乗りやすくなる いづれかは通信回線を使って放送する時がくるのでは でもIP化された瞬間にネットワークどうしよう ・いろいろなコンテンツ、サービスがテレビの上でIP経由で流れる ・サービスは放送だけでは無く、VODもやっている ・テレビを使ったアプリケーションがみんなIPになる ・それらの融合がやっぱりおもしろいと考えている ・一番難しいのはお金を取れるだけのサービスを構築すること ・お客様に対してそれだけのサービスが提供できるかがキー ・どんなテクノロジーを使うかはそれほど重要ではない。 マルチキャスト 閉じた網であればなんとか制御可能だろう 最近のマルチキャストの使われ方はどうなんだろうか? QOS 放送陣はIP網に送出する前まではQuality保証できるが..... IP網に入った瞬間の保証は無いはず ・実際にどうながしているの? 流れるがままのUDP VODの場合は、どこにサーバを置くのかがキー IPはベストエフォートだけど。でも、ロス無しなんてサービスは存在しない ・流れたら流れたで地獄が 本当は10G欲しいけど。ネットワーク的には辛い。 家庭内でもテレビとパソコンの場所が違うように、そもそも捉え方が違う。 TVと(IP)N/Wの技術は違う。 技術の差 考え方の差 違うビジネスモデル 提供側はテレビとパソコンの設備を一緒に置けるのは便利。 ・実際は競合している場合じゃ無い 技術的に出来たとしてコストが難しい。 コンテンツ保持者が王様。 どこからコンテンツを取ってくるのかが悩み。 コンテンツ保持者と団体交渉できるくらいの同士をそろえたい。 こういった場で話しが出来ることが嬉しい。 河崎 ・新しい放送サービスの話。 Opticast(光ファイバをつかうけどIPじゃない)。 光ファイバーでテレビを流す。 スカパーのコンテンツを送る。 現在、役務利用事業者の登録申請中。 ・技術的な仕組み 衛星から信号を受信、光ファイバで伝送し、マンションへ配信 マンション内は同軸ケーブルでOK ほかにもFMや地上波、BS放送も空き帯域を使って配信してしまえ! 光ファイバ1本でほぼすべてのテレビ放送が楽しめる ・WDMの場合 ある波長をIP通信で、残りの波長で映像通信を流す 2002年にNTTと一緒にテスト テストの時は、BSと地上波は既存の施設を再利用 ・周波数利用のイメージ 770MHz以上は周波数のみを移動させてファイバーに乗せる マンションに届いたらまた、もとに戻す ・オプティキャスト スカパーと同じにする予定 スカパーのチャンネルは、衛星とほぼ同じ アナログFMラジオ、地上波アナログTV、BSデジタル、 地上波デジタルTVもパススルーで乗せる ・なぜIPではないのか? コンテンツ権利保持者がIP伝送に同意しない(IP=不法コピーという連想) Opticastはクローズドな「ローテク」N/Wだから問題なし! 権利的にはデジタルCATVと同じ扱いだからコンテンツ屋さんも同意 ・JANOG向けの話 品質や権利保護の仕組みが出来ればいいなぁ ブロードキャストのコストも見合うと良いな 単一のネットワークは安くて、便利だとは思うけど 「ローテク」以上の品質があればIP網に行くかも 品質が確保され、権利保護の仕組みがちゃんとできれば放送もinternetへ移行しうる。 ==>そのためにはどうすればよいのか議論したい 四方 ・唯一のメーカー屋として出席 ・通信/放送の融合は技術的にはどうすればよいのか? ・今後の動向は非常に気になる ・韓国のIT視察ツアーでみたこと 放送局では放送と同時にinternetにも流さないと放送局としてなりたたない? 南 ・韓国の貧富の差 PCをあちこちでばらまいている テレビを持っていない人にもばらまいている?? ・でも、PCしか持っていない人も多いのでストリーミングが発展しているという話もある ・放送の責任は非常に重い ・技術的なキーを押さえていかないと、市場に入り込めないと危惧している 四方 ・韓国の親がこどもを家に引き止めたい(激しい受験戦争) インタネットゲームのために家にBBを引く ゲームのある一瞬の動作が勝負の差につながるのでQoS遅延なども重要 子供は家では遅延がおおきくてゲームにならない、といって PC房(インターネット版ゲームセンター)にいりびたる ・ADSL12Mのトラフィック観察(自宅にて) AOLのストリーミングでテスト(TCP) 21:00から02:00あたりでADSLのトラフィックピーク==>帯域使用率変動 夜中はスピードが落ちる 理由は不明だがある時間帯にストリーミング断があった 再度立ち上げてもまたストリーミング断 1Mのストリームを安定して流すには帯域2Mくらいは必要ではないか。 500K〜2Mの間で変動する 右側が古い時間軸 現在の回線Qualityはストリームを安定してサービスできる状況にない。 見るに耐えるストリームは最低帯域1Mくらいは必要では? 国会中継の300kbpsストリーミングは見るに耐えない ・放送・通信の融合に使える技術 多重化技術 データ多重(TDM、ATMなど) 物理多重(PON,WDM、CATVなど) ・B-PONの構成 PONにも色々あるがトポロジーは同じ。フォーマットがイーサかATMの違いだけ PONと波長多重は別物 PONは1対Nの構成 ・波長多重はITU-Tで決めたものをIEEEで採用 ・多重化すると問題がでるもの ・何でも同じ方法で流そうとすると問題が出るもの IP多重 他トラフィックの影響がよめない チャネルが取れない 波長多重 WDMは波長変動に敏感 ロスだけの問題ではなく、温度や湿度によっても影響が出てくる 18dB以上の光は受け付けない ・放送で求められるものは 広告媒体など。 ・要求される品質 目的の多様化==>要求品質も多様化するのでは? ディスカッション: 南 ・放送と通信の違いは? 沖本 ・似ているようで似ていない。流れるもの、コネクタ形状(cannon端子とか) ・業界のなりたち(ビジネスモデルなど)も違う ==>背景の成り立ちなどは異なる文化というイメージ ・放送は流れるのが当たり前、通信は24hしっかり監視してきた。 ・放送はエリア限定(地方局。全国ネット) 通信は限定なし? ==>IP網とは異なるイメージがある 南 ・技術者として今後どんなスキルが必要になってくるか? 沖本 ・放送事業の成り立ちを正しく理解しなければならない。 ・そのうえで、技術を理解しなければならない。 ・通信屋としては符号化、変調復調などの放送技術の理解が必要。 雨宮 ・放送を初めてみて感じたことがある。放送は映像のきれいさやなめらかさを  求めるが、通信はどこでエラーが出ているのかをきちんとチェックする ・通信は、どこの装置でどんなエラーがでているかが把握できる  放送は、放送ではエラー箇所の切り分けがムヅカしい ・サービスきりかえ時の時間(放送:瞬時、通信:数秒)の違い ・放送の品質を越えた製品を作って欲しい 南 ・IP技術者としてコンテンツの保護についてのissueは? 大出 ・放送か通信かの違いは、あまり関係が無いと思っている。ただし、サービスの  発展の仕方は全然異なり、また全然違うところで発展してきた。でも今後は  お互いの交流でだんだんかわってくるのではないか ・コンテンツに関しては、放送の権利が放送と通信で異なる ・ブロードバンドに関する放送の権利ってあってもいいんじゃないのかと感じる ・最近は番組作成時からネット通信を念頭において権利確認/契約を  しておくケースが出てきた。だんだんコンテンツ作成側の意識もかわってくるだろう。 河崎 ・コンテンツの権利に関しては、放送業界のしきたりもある。いままでの放送は  物理層が(衛星とか)決められてそのうえでサービスがされてきた ・権利を持っている人たちと話すと、要はビジネスなのでインターネットというどこでも  アクセスできるN/Wにコンテンツをのせようとすると権利料が莫大になる。  安くしようとすると制限される。  それをどう解決していくか ・アナログ的な問題が残っている。サービスエリアが限定される。光ファイバーな     ので新しいマンションが出来るとそこまで持っていかなければならない。でも、     引けない場合もあるなどの敷設の問題がある。ファイバの特性の問題もある。 南 いろいろな技術があるなかで富士通アクセスさんがわれわれを満足させる製品をだせますか? 四方 だします。だすしかないでしょう! 南 次のJANOGにも引き継いで行きたい。技術的にも成熟しているので、 継続して話しをしたい。 質疑応答: 岡本(eAccess) ・IPv6での品質保証について、実証実験例もふくめて説明してほしい 河崎 ・NTT西日本のIPv6配信実験に参加して、コンテンツ権利者の方を  スカパーとして紹介する、などで協力している。 ・現時点ではいろいろ幅広く試している段階。  コストなどの点で放送できるメディアがあり、ニーズがあれば  何でも使いたい。 水越(NTT) ・放送しているコンテンツ中でLiveのものの割合は? ・固定の帯域でストリーミングを流している理由は? ・Live以外のものならコンテンツの固まりをファイル転送みたいにすれば、なにも  固定レートでやらなくてもいいのでは? 雨宮 ・うちはLiveはやっていない。 大出 ・BB-TVは2chをIP化して放送している。マルチキャストでいつも送っていた方が  STBなどの設備をクライアントに設置しなくてもよい。コスト的にSTBは  ユーザ側に跳ね返るので、蓄積型は好まれない。 ・しかしネットワーク的にはダウンロード型の方が管理が楽になるだろうし、  権利保障の仕組みもちゃんとできてくればダウンロード型のコンテンツ提供法も  考慮できるだろう。 河崎 ・スカパーやオプティキャストは、番組素材がライブであれば、  そのままライブで流せるシステムになっている。 ・放送業界では、蓄積型のコンテンツ提供(サーバ型放送)について、  NHKほかの皆さんが集まって、サーバーPという団体で検討中。 記録者所感: なじみの少ない放送に関わる分野、しかも錚々たるメンバーによるパネルとあって、 ログ記録が大変であった。 しかしながらパネルを通じて、インターネットが、社会に不可欠なインフラとして 今後さらに認知されていくであろうと痛感した。 ------------------------------------------------------------------------ 以上