TOP   |   新着情報   |   開催概要   |   会場案内   |   プログラム   |   ホスト   |   アンケート   |   スタッフ
JANOG18 Meeting

我々の支えるネットワークの明るい未来のために、積極的な 意見の交換を行い、今後の方向性を見出すことのできるような ミーティングを開きたいと思います。 出席者全員が議論に参加する、そんなミーティングにすることが スタッフの目指す共通のゴールです。


インタビュー「直流って使える?」


■ はじめに ■


JANOG18ミーティングではPC自身がテーマ決定、スピーカ集めや発表内容の全てをプロデュースする「プロデューサPC」制度を採用しています。
今回プロデューサPCの一人、吉本さんの持ち込み企画「直流って使える?」についてスピーカの皆様とスタッフによる事前打合せを直撃しました。
ここでプログラムの作りこみ過程と中身をを少しだけご紹介します。



■ 出席者 ■

プロデューサPC  吉本慶氏(インターネットマルチフィード)
スピーカ  廣瀬圭一氏(NTTファシリティーズ)
 跡部信行氏(楽天)
共同プログラム検討委員長
(PCチェア)
 外山勝保氏(NTT)
 鶴巻悟氏(BBIX)
広報委員長
(PUBチェア)
 田島弘隆氏(ネットマークス)
(注:スピーカの藤本幸一郎氏(NEC Corporation of America)は都合により欠席)




吉本: この直流ネタのそもそもの経緯は、仙台のJANOG(注:JANOG17,2006年1月開催)で、私と藤本さん、跡部さんが発熱対策について激論をしたのがきっかけなんです。ランチミーティング程度だったんですが、熱が入ってしまい午後のセッションまでに食い込んだほどでした。そこで発熱とか消費電力を議論していくうえで直流電源(DC)が浮上してきたんです。 今回のセッションを直流について議論するきっかけにしたいと思っています。直流は使えるのかどうかの議論のスタート地点に立てればよくて、極端な話、使えないって結論もありだと思っています。

廣瀬: 消費電力は直流を議論するうえでの一つの大きなポイントですね。いま直流の有用性を検証する実験をアメリカでやっていて、参加者の直流推進派と議論してきたんです。きっかけは3年前のカリフォルニアで起きた大停電で、省電力対策として州政府が資金を出して、ベンダが機器を持ち寄るもの。この辺のお話ができれば面白いですね。

吉本: この問題、実はお財布を握るコンテンツプロバイダさん(ICP)がポイントだと考えてます。電気代が安くなるならIDCとICPの利益は一致する。今回は技術論だけでなく、コスト面も話題にしたい。

跡部: コスト構造を把握する上で運用面も重視していきたいです。過去ラックスペースの問題で移設も数度経験しており、移設コストが改善できるとうれしいです。

廣瀬: コスト構造は検討事項が多いんです。CPUは常に100%では無いし、UPSを2重化するか、稼働率や空調とか。試算では大体2割前後の節約になるんです。 実際のデータ取得はこれからですけどね。

跡部: 直流が損失が少ないとは聞いていたが、これほどとは驚き。

廣瀬: 24時間365日動いている設備なので1割でも減らせれば万歳ですね。実はあるITベンダさんが「たかが10%」と言ってたんです。インフラとしては重要なのに。

外山: 先日のNANOG37(注:サンノゼ開催)でIDCの設備についてのセッションがありました。主にエアフローなど発熱について議論してて、以前JANOGスペシャルセッション(注:INTEROP TOKYO 2005にて開催)でやったIDCネタの再現みたいだった。

廣瀬: 熱問題で箱ベンダさん曰く、ラックの上のほうが壊れやすいらしいそうです。まずHDD、メモリが壊れるとか。

跡部: うちはあまり限界まで積んでないからどうかなぁ。

吉本: 積み方はいろいろ工夫して努力してきました。でも、それにも限界を感じ始めたので、次の着眼点が直流による節電だったわけです。 ただ、導入にはそれぞれの立場でコストがかかると思うので、それを電気代のランニング費用の節約でまかなえれば実現性もあるのかなあと。 理論だけだと実現って難しいですからねえ〜



吉本: 直流は理論的には魅力を感じるけれど、実際にオペレーションできるだろうか?危険じゃないのか。

跡部: 直流電源を使ったこと無いんで想像できないです。コネクタがどーなのとか。

廣瀬: じゃぁ実際のコネクタを持ってくるか写真などで見せましょうか。

外山: 今回の直流ネタに関していろんな人に意見を聞いてるんだけど、誰に聞いても「直流って危険なんでしょ」って言いますね。

廣瀬: 普段使っていないからそんなイメージになるんでしょうね。

外山: あと、環境問題ってキーワードになるかな?

廣瀬: 施策の1つになるかもしれませんね。アメリカでは州政府の補助があるし。

外山: それって重要で、普及を目指すなら政府の一押しが最初は重要になるでしょうね。



外山: 当日の議論の方向をどうしましょうか。直流推進なのか中立なのか。

吉本: 原則中立的にしたい。答えを求めるわけでなく、議論のきっかけにするのが目的なので。

廣瀬: もっともですね。直流の議論への1つの投げかけにしたいですね。

吉本: 議論の進め方はパネル形式にして、各プレゼンの区切りに議論を入れるましょうか。とすると廣瀬さんの負担が大きいかな?

廣瀬: 資料の準備自体はれほど負担ではありません。まずはIDCさんやICPさんの立場からから問題提起して、それに回答するってのも有りですね。

外山: 現状の交流だけの環境からプラス直流環境の場合について議論するって流れにするのもいいかも。





左から廣瀬氏、跡部氏、吉本氏


いかがでしたか?

上記は打合せのホンの一部だけですが、当日は直流の安全性や実験について大変有意義な議論が交わされました。

あまりなじみのない直流電源なので議論できるか不安だというアナタ、大丈夫。
ミーティング出席者の大半が同じスタートラインに立っています。
皆さんぜひJANOG18の会場で議論しましょう!