JANOG3 Log 14:40 ルータのQoS制御技術とその適用 林 謙治 日立製作所 logger: 水口 孝則(NTT国際通信),伊達 展成(大阪メディアポート) ----------------------- セッション: ルータのQoS制御技術とその適用 時間: 14:40 -- 15:00 発表者: 林 謙治氏(日立製作所) ルータQoS制御技術として、Diff Serveを中心に説明する。 1.はじめに 最近は安価なサービスがでてきている。 ・性能(QOS)を向上させようとしている。 ・Anything on IP 遅延などに弱いものがある。 ・従来のbest effort型からの移行 ・IETFでDiff-servの標準化を検討、基本部分が固まった。 2.Diff-Servの仕様と実用化状況 ・DSドメインを中心に設置 - Address、Port番号などでマーキングする。DS値(TOS)フィールド。 - 中継ルータではこのマーキングを見てルーティングする。 - 中継ルータではDS値にもとづく優先転送のみ。 - エッジルータではフロー検出およびDS値マッピング。 ・Diff Servを用いた実験結果 100MbpsのLANに100Mbpsの負荷パケットに加えて4〜16Mbpsの動画を 同時に流すとDS値をオン(=7)にしていると動画が乱れず、DS値をオフ(=0)に すると動画が途切れるというデモをIC'98期間中に行い、実証が得られた。 この作業を、ソフトルータで行うと性能の低下となってしまうので、 高速なDiffServルータが必要である。 ・Diff Servの考え方 高機能のエッジルータと高性能の中継ルータで目的の通信品質を提供する。 回線速度が低くフローの種類が少ないエッジ部分では、フロー検出とDS値 マーキングを行い、回線速度が高くフロー数の多いバックボーンではDS値 に基づく優先転送を行う。 高速ネットワークでDiff Servを実現するときにソフトルータでは性能が足りず、 Diff Serv等のQoS機能を専用のハードウェアで処理できるルータが必要。 ・標準化の状況 - DS Domain部分について標準化が進んでいて、 DS値の値、動作等が標準になる。 - 各ルータ部分に動作の定義するサーバ(ポリシーサーバという)と ルータとの間のプロトコル:COPSはまだ。 - DS Domain間ではSLA/TCAが使用される。 - RAPはまだ標準化できていない。 3.ルータのQOS制御機能。 ・従来のソフトウェアルータでのQoS制御 - 低速の回線でしか不可能 - ATMは2層以下しか制御できない ・これからのQoS制御 - ソフトウェアでは処理が遅くなるためハードウェアで実現 - ハードルータは、ルート検索、フォワーディング、QoS制御を専用の LSIで行う。 ・QoS制御を専用ハードウェアで行うルータの例:GR2000の機能について - Diff-Serv対応 - ハードウェアによるパケットフロー検出可。 - 最大1000万PPSの処理能力 - 入力と出力両方でフロー制御行っている。 4.QOSの適用のシナリオ ・輻輳のポイント プロバイダの網の中で、混雑が生じる可能性のあるポイントは、 - エッジルータから中継ルータへの回線 - 中継回線 ・ルータのQoS制御機能の適用例 平均化 - 各企業ごとに帯域を公平に(平均)分配できる。 優先分配 - ある、限られた帯域分までは、音声などのフローをWWWに優先して送る。 - WWW等の低優先フローは、回線に空きができたときに送る。 サービスの分割 - コスト負担の多いユーザの通信を優先する 5.まとめ ・QOSのサービスのニーズが高まっている。 ・Diffserv基本部分の標準化が固まった。 ・Diffservを使ったQoSサービスへの移行は、輻輳しやすいポイントから順次。 ・QoSサービスの運用実績の蓄積が大切。 ・網全体にわたるQoSポリシ実現については検討中である。 質疑応答 Q.QOSを優先する網の設計とか運用実績を議論するopenな場を作って 欲しい。(奈良先端大 山口さん) A.積極的に考える -----------------------