JApan Network Operators' Group
JANOG35は特定非営利活動法人ふじのくに情報ネットワーク機構 のホストにより開催します。

【注目プログラム紹介】壊れながらも使えるネットワーク

どんなシステムでも、100%トラブルと無縁なものはあり得ません。ネットワークも例外ではなく、トラブル対策は管理者の皆さんの大きな課題の1つなのではないでしょうか。Janog35では、「壊れながらも使えるネットワーク」と題して、より効果的な障害対策をするための議論をしたいと考えています。プログラムの内容を、登壇者の松崎吉伸さん(株式会社インターネットイニシアティブ)にうかがいました。(聞き手=JANOG35 企画編成委員)

面白いタイトルですが、「壊れながらも使える」というのはどういう意味なのでしょう?

松崎サービス運用者にとって、障害はつきものです。いつも何とかしてサービスの機能を維持し、可用性を高めていこうと頑張っている----------それが「壊れながらも使えるネットワーク」です。今回のプログラムでは、こうしたネットワークを維持するためのノウハウを、皆で共有できないかと思っています。例えばネットワークで、可用性を高める最も一般的な手段は「冗長化」です。この冗長化っていうのは、各企業が、過去にこなしてきた障害対応のノウハウの蓄積と言っていいんじゃいかと思うんですよ。「こういう時は、この部分が壊れやすい。だから冗長化しておこう」という。ですから、プログラムの中では実際に過去に起こったトラブル事例も紹介する予定です。

「壊れながらも使えるネットワーク」を作る際に、どこが難しいんでしょう?

松崎可用性を維持しようとすると、そのぶんコストがかかります。技術的に可能な冗長化の手段はたくさんありますけど、全部導入しようとすると、すごくお金がかかってしまう。理想的な冗長化を実現したくても、お金がなければない袖は振れません。そこで僕たちは、自社のサービスのユーザーの利用傾向を見て、「俺たちが期待されている冗長化ってなんだろう」というのを考えるんです。そして、どこに一番力を入れて守るのかを決めて、一番ユーザーへの悪影響が少なくなり、かつ現実的な費用でできる対策を講じます。プログラムではそういった「守るべき」重要な部分を、みんながどういう風に決めているかを聞いてみたいですね。例えば、「設備面ではすごく頑張って、そのぶん人は減らしている」など、企業によって冗長化の方針は違うと思うんです。

プログラム中で、一番の見所はどこでしょう?

松崎事例ですね!インターネットイニシアティブで導入した冗長化手法を例に、「壊れながらも使えるネットワーク」を実現するためのチェックポイントを見ていきます。僕が5年前に出会ったトラブル事例も紹介します!トラブルが起こった時は「本当にごめんなさい、ごめんなさい」と思うものですが、それを基に、どんな対策を講じたかが重要です。トラブル後には何に気をつけてネットワークを改善したらいいのか、ヒントになるといいなと思っています。


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写真●松崎吉伸さん(株式会社インターネットイニシアティブ)