---------------------------------------------------------------------- Title : CATV インターネットの動向及び設計・運営上の注意点について Presenter: 趙 福勇 (日本シスコシステムズ株式会社) Time : 14:35-15:15 Logger : 倉橋 智彦 (株式会社インターネットイニシアティブ) ---------------------------------------------------------------------- Part 1. CATV インターネットの動向 ○ インターネット動向 ・家庭ユーザからインターネットへのアクセスが普及してきつつあるが、 アクセス回線が遅くては意味がない。 ・ダイアルアップ接続が一般的だが、時間がかかって遅い。 ・また常時接続ではなく、電話代が問題となる。 ・これらの問題点が、インターネットの普及を阻害する要因となっている。 ・音声及びビデオサービスを、一つの IP ネットワークに統合。 VIDEO 配信には 2Mbps 必要。 ・CABLE、DSL、WIRELESS 等の高速アクセス媒体。 -> CATV インターネットの可能性。 ・全てのユーザに高速ネットワークを提供するには、一つのサービスに拘っ ていてはいけない。 使えるものは何でも使う。 ・NTT が全国に光ファイバーを引くまで、ダイアルアップで良いのか。 -> インターネット利用に大きな差。 ・すぐ使える and ユーザニーズに応えることが重要。 ・選択肢が多く競争が激しくなるのは、ユーザにとっても良いこと。 CATV: 下り-40M/上り-10Mbps、5〜6000円/月 ○ CATV インターネット動向 ・同軸で 2.7Gbps まで伸ばせる。 ・家庭までの高速アクセスネットワークとして認知されている。 ・MCNS(Multimedia Cable Network System Partners Limited) によって DOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specifications) が策 定された。 ・標準化により低価格化が実現し、また商業展開の準備が整う。 ・様々なサービスを一つに統合することによって、別々の ISP に料金を 払わなくてよい。 -> 低価格化、手続き簡単。 ・CATV が現在唯一。 ・Cable Modem にはボイスポートがあって、電話の接続が可能。 ・テレビも同じ箱に収容可能。 VoIP 対応機器を使用する。 既に製品あり: CISCO uBR924 ○ CATV インターネットサービスの特徴 ・双方向・大容量・常時接続。 ・より多くの個人ユーザ。 ・放送と通信の融合が可能。 ・種々のサービスを統合可能。 ○ CATV インターネットサービス例 ・TITUS ALLNET サービス(大和、相模原等) 初期費用 22,000円 テレビ、電話と合わせて 1万円/月程度 ・NTT の ISDN 常時接続サービス 128kbps 1万円/月 と較べて魅力的。 ○ CATV インターネットの伸びの予測 ・脅威的な伸びが予測される。 ・アメリカでは、2003 年に 10000台、普及率にして 10% に近くなる。 ・日本ではまだ普及率は低いが、加入 600万戸を越えている。 -> 無視できないマーケットに。 ○ CATV 事業者の将来像 ・2005年までに双方向 IP サービスの提供。 ・2010年までに完全デジタル化。 ・2010年までに 700社以下に。 小数精鋭になって欲しいという、日本政府の意向。 ○ CATV インターネットの今後の注目点 ・NTT の光ファイバ網を活用する。 ・NTT は競争相手であると同時に、味方でもある。 ・新電々と共同で、電話サービスを予定している所もある。 ○ DOCSIS ・標準化により低価格化が実現。 ・ユーザの選択肢も広がる。 ・Layer-1、-2 に特徴。 ・Layer-1 には、HFC(Hybrid-Fiber/Coax) を利用。 利用は必須ではない。 ・下りと上りの変調方式が異なる。 下り: 変換効率良い 雑音に弱い 上り: 変換効率それなり 雑音に強い -> CATV の特徴 Part 2. CATV インターネット設計及び運用上の注意点 ・RF(Radio Frequency) 上り: 5〜42 MHz 下り: 55〜750MHz ・日本とアメリカでは、帯域は 6MHz。 ヨーロッパでは 8MHz。 ・ノイズの影響を考慮する必要がある。 CATV は、一本のケーブルを複数のユーザが共有している。 上りチャンネルの雑音の影響が大きい。 ・BER(Bit Error Rate) QPSK が最も雑音に強い。 ・日本は集合住宅が多い。 ・対策 1. 770MHz の帯域に変換する。 2. DSL の利用。 3. LAN 配線の利用。 4. 無線の利用。 ○ Trouble Shooting ・RF 技術に精通しなくても大丈夫。 -> RF 技術者を友達にすれば OK。 Q and A: (Q: Question、A: Answer、C: Comment) Q. 現在は DOCSIS 1.0 と 1.1 があり、次の 2.0 では 1.x との互換性が無 くなると聞いた。現時点で DOCSIS 機器を選択する場合、1.x を買う のは控えるべきかどうか? A. 現在は DOCSIS 1.0 あるいは 1.1 の機器が出荷されている。DOCSIS 1.2 は消えそうである。 DOCSIS 1.1 では VoIP に対応している。 CISCO 製品の場合は、規格の違いはソフトウェアアップグレードで対 応可能。 Q. 日本では small start が多い。private LAN と Internet 接続を同一の 機器で賄うことは DOCSIS では無理であると思われるがどうか? A. (法人向けはどうする? という質問と捉える) 法人向け製品も、学校やホテル等を対象に既に出荷されている。 Q. 導入例の箇所で、最大速度が 512kbps と 1Mbps の二種類があるが、その 切り分けはどのようにして行っているのか? A. Cable Modem が速度制限を行う。 DOCSIS では、コンフィグファイルに最大速度を記述する。 Q. 導入例の場合、どの程度の人数で回線を共有しているのか? A. 下り 40Mbps 1チャネルを 500人ぐらいで共有している。 上り 10Mbps も、同様に 500人ぐらいで共有している。 Q. 上流 ISP の線が細いと、そこがボトルネックとなるであろうし、また、 500 人全員に同時に使用されると、やはり困ると思われる。実際の流 量はどの程度か? A. 透過型キャッシュサービスを導入したり、バックボーンを太くしたりする 対処が必要である。 アクセスネットワークだけでは、全ての問題を解決することは出来な い。 A. 実績として東急 CATV では、住居変更といった理由を除くと、昨年の サービス開始から解約者がほとんどいない。 Q. 透過型キャッシュサービスに対する、製品の対応状況等はどうか? A. アメリカでは昨年からサービスを開始しており、2000人ぐらいで共有して いるが、現在までに苦情は出ていない。 Q. IPv6 対応予定はあるか? 導入例の場合、固定 IP address の割り当ては 1個であるが、今後はど うであるのか? A. CISCO IOS は、IPv6 に既に対応している。 IP address の割り当てについては、今後 IPv6 が主流になれば、その 際にそれなりに考慮する。 Q. Cable Modem 接続の場合、上りと下りとで最大速度が異なるが、実際のファ イル転送速度はどちらで制限されるのか? A. CATV ユーザ間であれば上りの速度で制限される。一方、CATV ユーザ以外 との間であれば、下りの速度で制限される。 C. JPNIC としては、CATV インターネットのグローバル(アドレス)化は、既に 認可している。 ----------------------------------------------------------------------