-------------------------------JANOG4 ログ------------------------------ プレゼンテーション名:ひそかにすすむIRCサーバ接続実験網の整備 〜仮称C3〜 時間:13:25〜 発表者:湯川 隆広(インテリジェント・テレコム) 記録者:秋山 ゆかり(プライスウォーターハウスコンサルタント) ------------------------------------------------------------------------ ここのタイトルの仮称となっている3Cの意味だが、Commercial Chat Consortiumで、 3Cということになっている。これは、インターネットマルチフィード主催がおこな っているIRCサーバ接続網である。 実験の背景と目的 インターネットでちゃっとをしている人は増えている。中でも、ダイアルアップの 個人ユーザが商用ISP経由でちゃっとを利用するという方が増えている。このダイア ルアップユーザ向けに、いくつかのISPが自社のユーザ向けにIRCサーバや他のちゃっ とシステムを提供しているが、そのサービスを提供している会社の中でしかちゃっ とができないので、それでは面白くない。インターネットだとどこか他のところと 繋げるので、どこに繋ぐのかは関係なく、世界中で、広範囲で使えるちゃっと網を 構築した方がよい。このような理由から、インターネットマルチフィードが主催と なって、この実験が今年1月からスタートした。その前で準備段階というものがあっ たが、ユーザに公開しはじめたのが1月である。実験の目的としては、商用ISPがIRC をサービスとして提供する場合の問題点を明確にし、運用、ユーザサポート、サブ プロバイダーとの接続、専用線ユーザはどういうふうにするのか、ポリシーはどう するのかを決めるためである。 参加ISP 現在、MFEED, IIJ, IMASY, Itnet, OCN, Infosphere, 3web, nnc-net, nifty, biglobe, infoweb, dream Netの12社が参加している。 現在の網の規模と新規参加について 現在の網の規模として、サーバが17台接続されている。これは、参加ISP数よりも多 いのだが、HUBとなるISPでは、冗長性のため複数サーバを用意しているためである。 HOPの数は、4-6になっているが、接続形態により、多少の変化がある。先ほどの冗 長性というはなしもあるが、接続形態が動的に変わるため、一番小さい時で4、大 きい時で6となっている。 新規参加のことだが、接続条件さえ守ってもらえたら参加は可能となっている。こ の参加ISPのなかでも一番最初から参加しているのは半分くらいなので、ぼちぼち増 えているという状況である。詳細については、主催であるインターネットマルチ フィードに問い合わせてほしい。 接続モデルだが、MFサーバを使用している。これは、中央HUBとしてのみ機能してい て、直接クライアントの接続は受けていない。他のISPサーバからの接続を受けてい るが、これは無条件で受けているわけではなく、ISPのユーザしか繋げない。これは、 自分のところのユーザはユーザサポートすると意味である。これは、技術的なこと ではなく、ポリシー的なものである。 他のサーバについては、自分のところのユーザであるということで、認証をおこなっ ていて、クライアントからの接続を受け付けている。他のISPさんからの接続も受け 付けている。これは、ネットワーク網的な形である。 図でネットワーク構成を上記の内容について説明。 実際には、ISP3、4と書いてあるのは、今の規模でみると2段目までしかない。 サーバースペック。 各社でどういうサーバスペックを使用しているのかを説明。 Pentium166MHz−PentiumII400MHz UltraSPARC 166MHz−UltraSPARC II 300MHz Mem: 128-256MB OS: FreeBSD2.2.5-3.2, Solaris 2.5.1-Solaris 7 IRCd: 2.9.5+JPS, 2.10.2, 2.10.2p1(3種類のバージョン) 見てもらってわかるように、それほどスペック的に大きなものは必要ない。 具体的な実験結果について。 まず、メッセージ遅延量の測定を行った。サーバ間接続ができ、網ができたので、実 際のメッセージ遅延がどれくらいあるのかを測定してみた。方法としては、専用の チャンネルを用意し、特殊なクライアントをはりつけることにした。各サーバに接続 したクライアントが時刻情報を送信すると同時に受信した時刻情報と受信時刻からメッ セージ遅延を測定した。これを定常的に実施した。 この実験の結果をグラフをみながら説明した。グラフの横軸は遅延量で、 縦軸は頻度 である。グラフの数字の見方だが、0.1 というのは、観測メッセージの10%がこの遅 延をもっているということになる まず、最大遅延量としては、5秒 通常の状態で 3秒以内という感じになっている。0秒、 1秒、2秒、3秒のところにピークができているが、このピークには意味がある。 0秒付近のものは若干他のものと違っていて、サーバソフトウェアのコンパイルすると きの設定で違っている。そのサーバよりも下位にサーバを設定できるかどうかの設定 が原因となっているが、下位にサーバがないようになっていると、レスポンスがよく なる 次に、1秒付近が一番多いが、下位にサーバが繋げられる設定になっている場合が1秒 になりやすい。サーバに接続された場合、サーバ間との通信が重視されているので、 クライアント間の通信は待たされるので、これが1秒だから、1秒となっている。1秒 の次が2秒、3秒となっているので、2秒、3秒のところにもピークができている。その 理由だが、サーバのバージョンが動作が違う原因となっている。2.9.5のバージョン では、1秒の次は3秒になりやすい。しかし、2.10.2は、1秒の次は2秒になりやすい。 このバージョンの違いは、バージョンによってその辺りが改善されていることがわか る。 現在のIRC網の規模としては、HOP数というものにはほとんど影響されていない。 定常的に測定しているということで、MRTGによって、グラフ化することができる。 ほとんど1直線になっているところが、ほぼ1秒のところ。ぽこぽこでているところが 2秒になっている。 負荷試験について。 実力がどの程度なのかを知るために、試験してみた。方法は、各サーバに数百から1000 クライアントを接続しメッセージ遅延の測定にて試験中の遅延量の変化を観測した。試 験期間外と比較して遅延量のばらつきは増えたものの遅延量自体に大きな変化はない。 網としては非常に安定している。試験中の測定データとして、総クライアント数として は、2489、中継サーバのトラフィックは、最大430Kbps,リーフサーバでは、240Kbps、 サーバのロードアベレッジなどの負荷は、試験期間外とくらべて目立った変化はない。 グラフの説明。 試験期間外と比べてもそれほど変化はない。1秒、3秒のところに集中しているのは普段 とは変わりないが、すこしばらつきがでている。1秒台のところだと、通常のピークは ぎゅっと下がる。その分、ばらつきが多くなっている。実際にこれくらいの負荷をかけ てはみたが、ばらつきは多くなったが、網としての安定(最大遅延量など)にはたいし て影響がないということがわかった。 今後の課題。 今後の課題としては、技術的課題では、より多くのクライアント接続(2000−40 00)クライアント/サーバ時の検証やサーバ数自体を増やし、網としてどうなるか、 そして、ユーザの認証、いたずらされた時どうやってユーザを特定するかなど、が技術 的課題である。 運用的課題は、ユーザの特定が簡単なので、ダイアルアップのユーザのみとなっている が、専用線ユーザまで拡大したい、それからユーザサポートをどうするかを検討している。 実験期間が今年の9月までであるので、今後どうしていくのかを検討していく必要がある。 質疑応答 橘さん: 独立のIRC網ということで構築を進められてきて、参加ISPのユーザが参加しているが、 既存のIRC網との相互接続について、それからFuture Planについて聞かせて欲しい。 湯川さん: 既存のIRC網については、実験当初は考えていたが、その後は、既存のIRCnetはだれで もつかっていいよというPublic Service的なもので、今やっている実験網は、自分の ところのユーザをクライアントとしているので、ポリシーがだいぶ違う。現在のところ IRCnetに繋げていく予定はない。今後のプランについてだが、実験のまとめと今後のプ ランはこれからつめていくことになっている。