JANOG56 最強プログラムの紹介

はじめに

JANOG56企画編成委員のまいやです。

いよいよJANOG56が近づいてきました!みなさん5/23に公開されたプログラムタイムテーブルをご覧になりましたか?今回もプログラムが盛りだくさんで、私自身タイムテーブルを見ながら「これは聞きたい」「でもあっちも気になる」と悩んでしまいました。その中でも特に印象的だったのが、AIや自動化に関するプログラムの多さ。LLMを使ったネットワーク運用やAIダッシュボード、バックボーン設計の話まで、“AIを使っている現場”からの発表が数多く並んでいます。さらに、宇宙線や集合住宅インターネットなど、いろいろなキーワードのテーマが並ぶ構成も特徴的でした。JANOGらしい“ごちゃ混ぜ感”の中で、偶然の出会いや予想外の学びが生まれる。そんな期待感のあるタイムテーブルだと感じました。

ということで、今回の“最強プログラム”を作り上げた「最強の人」、いのうえさんに、プログラムに込めた思いや工夫についてお話をうかがいました!

縁がつながるプログラムタイムテーブル設計

いのうえさんが意識したのは、JANOG56のテーマでもある「縁(えん)」。多様なジャンルの議論を通じて、参加者同士の縁が自然に生まれるように。そんな思いから、ジャンルや時間帯、部屋の組み合わせにあえてばらつきを持たせたと語ります。

「興味のあるプログラムに参加した後に、同じ部屋である次のプログラムに参加したら思いがけず刺さった。そんな偶然の縁が生まれるようにしたかったんです」

その“刺さった”体験が、その場での議論につながったり、別の誰かと意見を交わすきっかけになったりする。そんな“連鎖する縁”を大切にしたかった、といのうえさんは語ります。

さらに、セッション終了後に議論を続けられる替え玉エリアも活用し、セッション単体で終わらない交流の場を意識した設計がされています。

プログラムタイムテーブル作成のこだわり

今回のタイムテーブル作成では、「議論のきっかけとなる機会は多い方がいい」と考え、できるだけ多くのプログラムを盛り込むことを意識したそうです。休憩時間をしっかり確保しつつ、詰め込めるだけ詰め込む“パズルのような作業”だったと、いのうえさんは語ります。

ほとんどのプログラムにはアーカイブ配信が予定されており、会場で見られなかったセッションも後日視聴できます。発表内容をより多くの人に届けたいという思いも、タイムテーブル構成を検討する上で後押しになったそうです。また、Day2とDay3のお昼時間を12時に固定したのは、わかりやすさを優先したこだわりのひとつ。ただしその分、構成上の自由度が限られ、他のプログラム配置に制約が出るなど苦労もあったとのことです。

今回は個人的に多忙だったこともあり、短期間で集中してタイムテーブルを完成させたそうで、早めに完成したことで時間に余裕が生まれ、見直すことができたといいます。その結果、最強プログラムにも選ばれることとなりました。

いのうえさんの推しプログラム

充実したプログラムが並ぶ中で、いのうえさんが特に推したいのが、Day2の「ただものだんだん、NOC茶会! 〜せっつい故障も今日は一服 ご縁で開く運用の未来〜」です。JANOG55の「おいでやすNOCはん!〜なんぎな故障もはんなり解決。その知見を集めて運用の新たな未来を紡ぐ〜」の続編となります。

若手や現場に近いNOC担当者のリアルな声が聞けそうで、誰が聞いても当事者意識を持てるセッションだと感じたそうです。また、参加者からの質問や意見も歓迎されており、「JANOGは講演会ではなく、マイクの前に立ってこそだと思っているので、議論が盛り上がってほしい」といのうえさんは話します。

また、このプログラムには、JANOG56のテーマである「縁」への意識も強く感じられたといいます。応募時のアブストラクトからもその姿勢が伝わってきたこと、特にNOC経験3年目程度の若手に焦点を当てている点は新しいと感じたとのことです。

さらに、「社内のNOC担当同士ではなかなか得られない“違う現場の知見”に触れられる機会としても貴重。ノウハウや悩みを共有し合うことで、業務改善のヒントにつながるような場になるといいですね」と語ってくれました。

このセッションをきっかけに、組織を超えた情報交換や世代を超えたつながりが生まれることを、いのうえさんは期待しています。

話したくなるJANOG、話せるプログラム

JANOG56では、通常のLTに加えて「LT for Network Beginners」 「過去プログラムへの返答LT」の2種類が新たに設けられています。「LT for Network Beginners」は、ネットワーク業界に入りたての方や技術職ではない参加者に向けたライトニングトークで、発表を聞いて「なんとなくわかる」「分かった気になれる」ことをコンセプトにしています。内容は基本的なテーマが中心で、初心者にも親しみやすい構成です。「過去プログラムへの返答LT」は、過去28年間のJANOGで発表されたプログラムをひとつ選び、それを改めて振り返ったうえで今とつなげるLTです。発表者自身が「当時の発表からどう変わったか」を語ったり、業務にどう影響を与えたかなど、“縁”をテーマにしたエピソードが期待されます。

いのうえさんは「LTだけど議論の時間があって、ちゃんと深掘りできる作りになっているんです。初心者でも参加しやすい入口になると思います」と語ってくれました。

このように、ネットワーク初心者が気後れせずに参加し、自分の言葉で話せるような場づくり。そこにも“縁”を大切にするJANOG56らしさが感じられました。

参加者に届けたい「つながり」

いのうえさんは、JANOG56を通じて「日々の業務改善のヒントや、新たな出会いを見つけてほしいですね。できれば、今回生まれた縁から次回JANOGの登壇にまでつながったら、プログラム委員としてこれほど嬉しいことはありません」と語ってくれました。

ジャンルやキャリアを越えて、多くの“縁”が生まれることを願って設計されたJANOG56のタイムテーブル。

ぜひ会場で、偶然の出会いや新たな議論を楽しんでください。

最強の人 いのうえさん