JANOGerのみなさん、こんにちは。JANOG57プログラム委員の古田です。
本日はDay1の本会議場1で開催されるプログラム「【実践】IPv6版ポート解放 〜家庭内ネットワークにおけるIPv6通信パターンの変化の波を乗りこなそう〜」をご紹介します。
プログラムの紹介
2025年頃から、エンタメ分野ではIPv6を活用できる家庭用ゲーム機が増え、さらにIoT分野ではIPv6前提のMatter対応デバイスが登場するなど、家庭内ネットワークでIPv6が“再注目”される条件が揃ってきました。
しかしながら、IPv4や共存技術に関する知見は多い一方で、Native IPv6の運用や活用に関する理解はまだ十分とは言えません。
JAIPAのWGでは、この状況を受けて「ポート解放」という切り口からIPv6時代の通信のあり方を整理し、IPv6対応UPnPの調査や実装事例の公開などを進めてきました。
本プログラムでは、国内外の事例を踏まえながら、IPv6におけるポート解放の意味や活用シナリオを、背景の異なる登壇者それぞれの視点から解説します。
さらに、ゲームやMatter IoTにおける実際の活用可能性や、全通信をサーバ経由とする設計との比較なども含めて議論を行い、家庭内ネットワークにおけるIPv6活用の理解を深め、より多様な通信の選択肢を持てる環境づくりにつなげることを目指します。
今回のプログラムはどのような問題意識から応募されたのでしょうか
今日、家庭内ネットワークの議論はどうしてもv4やIPv4/IPv6共存技術の話が中心であり、Native IPv6に関する知見は限られていると言わざるをえません。
しかしながら、ゲーム機やMatter等のIoT制御をきっかけに、IPv6をそのまま使える宅内環境を前提とした通信設計が現実味を帯びてきています。
その上で、家庭用ルータの境界で通信をどう許可・制御するのかは避けては通れないテーマであるため、Native IPv6のメリット・デメリットや実装・運用上の問題を整理、議論したく今回のプログラムを立ち上げました。
今回のプログラムは、「必要か不要か」を結論づけるための場というよりも、まずポート開放が何のためにあり、どんなメリットやデメリットがあるのかを整理し、参加者それぞれが理解した上で今後どう活用していくべきかを考えるきっかけにしたいと考えています。
どんな人に参加してほしいですか?
家庭内ネットワークに関わるすべての立場の方に参加していただきたいと考えています。
Native IPv6の家庭ネットワークが普及するにあたり、トラフィックの性質はこれまでと異なるものにならざるを得ません。コンテンツを作る人、家庭用ルータなどの機器を提供する人、そしてISPとしてネットワークを運用する人など、多くの立場の人が集まることでこれからの家庭内ネットワークのあり方を一緒に考える場にできればと考えています。
たとえば、
- ISPの運用・サポート・サービス企画に関わる方
- 家庭用ルータやCPEなど宅内機器の開発・設計に携わる方
- ゲームやリアルタイム通信、IoTなどのアプリケーション開発者
- IPv6の実運用や設計に興味のあるネットワークエンジニア
といった方々には、特に聞いていただきたい内容です。
担当プログラム委員の感じたこと
正直なところ、登壇者との打ち合わせの段階では「IPv6のポート開放は本当に必要なのか?」という点を私自身も十分に理解しきれているわけではありませんでした。同じ認識の人もいらっしゃると思います。本プログラムは、そう感じている方にこそぜひとも参加していただきたいプログラムです。大雑把に不要だと切り捨てるのではなく、「何のための技術なのか」「どんな場面で役に立つ(あるいは役に立たない)のか」を考えてみることは重要だと感じました。
Native IPv6の家庭内ネットワークをどう設計し運用していくのか、確かな正解はまだ誰も持っていません。その中で、コンテンツをつくる人やルーターをつくる人などの、パケットを生成する人とそれを処理する人が同じテーブルに集まり議論できる点は、JANOGらしいプログラムだと感じています。新たな時代のネットワークの形を共に考えたい方はぜひとも参加していただきたいです。

