概要
近年、カンファレンスやイベントが盛んに開催される中、参加者にとって快適かつ安定したネットワーク接続は体験を左右する重要な要素となっています。しかし、数千人規模の大規模イベントを安定稼働させるための設計・構築・運用の知見は依然として不足しており、体系的に共有されているとは言えません。
本発表では、JANOG57 Meetingの会場ネットワーク構築・運用チームが、この「数千人規模」という大きな挑戦に際して、どのような設計思想を持ち、技術選定を行い、現場でどのような課題に直面したのかを紹介します。
具体的には、以下の内容について報告します。
– 高密度環境を想定したキャパシティプランニング、物理的なAP配置とチャネル設計の工夫、IPアドレス/VLAN設計、バックボーンネットワークの冗長化などのアーキテクチャ設計、特に2つの建物・3つの拠点という特殊な環境を繋ぐネットワーク設計
– 実際の構築作業で直面した課題、会期中に発生したインシデントやトラブルシューティング、モニタリングの手法と、そこから明らかになった利用状況やトラフィックパターン
– 今回の取り組みで「成功したこと」と、浮き彫りになった「次への課題」を整理し、今後の大規模イベントネットワークが目指すべき姿を考察
ただし、この発表は単なる経験談を一方的に語るものではありません。我々の実践を叩き台として、会場の皆様と共に「大規模イベントネットワークの最適解は何か」を議論し、このJANOGという場だからこそ生まれる知見を積み上げていくことを最大の目的としています。
議論ポイント
本セッションを通じて、会場の皆様と以下の点について深く議論したいと考えています。
1. キャパシティプランニングの最適解は?
– 数千人規模のイベントにおいて、1人あたりのデバイス数、必要帯域はどのように見積もるのが現実的か?
– 高密度なWi-Fi環境におけるチャネル設計、送信出力、セルサイズの最適なバランスとは?
2. 技術選定とコストのバランス
– どの技術を選び・組み合わせることで、利用者に「より良い接続体験」を提供できるのか?
– 認証方式(Open, PSK, 802.1X, OpenRoaming等)は、利便性とセキュリティをどう両立させるべきか?
3. 「繋がらない」をどう定量化し改善につなげるか
– 利用者からの「遅い」「繋がらない」といった定性的な声を、定量的なデータにどう落とし込み、根本原因を特定するか?
– リアルタイムトラブルシューティングに本当に役立つモニタリング項目や可視化の手法は?
4. 今後のイベントネットワークに求められるもの
– ライブ配信やインタラクティブコンテンツなど新しい利用形態が増える中、会場ネットワークはどう備えるべきか?
– 数千人規模の会場で「今後標準となるべきベストプラクティス」は何か?
本プログラムでは議論を重視し、参加者の皆さまにとって充実した意見交換の場となることを目指します。あらかじめ設定したテーマに加え、事前に募集したフリーテーマも取り上げ、各テーマごとにマイク前の複数参加者と講演者が同時に議論を交わす形式を採用したいと考えています。さらに、ご要望に応じて参加者の持ち込み資料を投影し、より具体的で深い議論へと発展させることも検討しています。
場所
本会議場1 コングレコンベンションセンターB2F ホールC
日時
Day3 2026年2月13日(金) 15:00~16:20 (1時間20分)
発表者
Tomoki Yoshikawa
Yuto Yoneda
公開資料
各種情報
| ストリーミング配信 | 実施する |
| アーカイブ配信 | 実施する |
| SNSやSlackでの議論 | 制限しない |
| プログラム種別 | 登壇者から応募のあったプログラムです |
アーカイブ配信
本会議終了後、順次配信予定です
