NANOG Update Susan Harris JANOG9 January 25,2002 9:00- ---------------------------------------------------------------------- JANOG会長挨拶 最初に JANOG をやろうとしたのは4年前。フロリダの綺麗なホテルで、海を 見ながら、面白そうだね、やろうか?と話し合ったのが始まり。 ML を立ち上げてすぐに 500人集まり、今や 3000人を越えている。 今回、JANOG staff 総動員で NANOG chair の Susan女史 をお呼びした。 ====================================================================== 素晴らしい歓待をうけまして、ありがとうございます。 みなさんにお会いしてお話しできることを嬉しく思います。 以下の方々に謝辞を申し訳あげます。 Ikuo Nakagawa Rie Shimada Toshio Tachibana Takashi Arano Kuniaki Kondo JANOG9 sponsors! ---------------------------------------------------------------------- NANOGはJANOGと同様、年に3回ミーティングを開催している。特に焦点を置 いているのが *Internet, MPLS などのオペレーションに関する諸問題。 *大規模なバックボーンネットワークの諸問題。 *ISP、エンジニア達へ教育の場を提供 運営に関する問題を取り上げている。 現在、将来(遅くとも6ヵ月いないにじつげんかのうな技術)をとりあげてい る。あまりに先をみこすと希望的観測となってしまうし、IETF でプロトコル が制定されていないことまで踏み込む必要が出しまう。 ---------------------------------------------------------------------- NANOGという組織は非営利の団体であり、業界を代表しているわけではない。 希望さえすれば、誰でも参加できる。MLもあり、画期的な議論が行われてい る。推定で、購読者だけでも1万人以上いる。 NAONG のコーディネータをしているのは Merit network と呼ばれるところ で、私が所属しているところでもある。そこで私はテクニカルライターとして 仕事をしてきた。 Merit networks はミシガン州 Ann Arbor にあるミシガン大学のキャンパス 内にある。Merit も非営利団体であり、Radius を生み出したことでも知られ ている。設立は1966年。ミシガン大学、ミシガン州立大学、Wayne大学という 3つの大学のメインコンピュータを相互に接続するシステムの開発を行うため に設立された。 現在ではミシガン州の4年制の大学の運営に色々とかかわっている。 また Merit は、地域的なネットである Michnet の運営もしている。 ---------------------------------------------------------------------- NANOGには、多くの日本の方々にも参加して頂いているが、その中の一人、 水越氏に、以前「NANOGの中には operator も researcher も vendor も入っ ている。なぜそのような、すべての人達が集まる組織を作ることが可能だった か?」という質問を頂いたことがある。 簡単に答えると、これは歴史の偶然の産物である。 ---------------------------------------------------------------------- Merit の過去の経緯をもう少し話させて頂くと、1987-1995年、全米国立科 学財団が行ったネットワークの中心的な存在だった。NSFNETは、全米でも初め て構築された、高速なネットワークだった。そもそも NSFNETは、非営利。メ ンバーも教育関係者が主。 NSFNETは、3tire の構造であり、NSFNETに13の地域ネットワークが、さら にその下に数百のキャンパスネットワークがぶら下がっていた。 [NSFNETの地域ネットワークの一覧] *BARRNet *SDSC *JVNCnet *SESQUINET *Merit *SURAnet *MIDnet *Westnet *NCAR/USAN *PSC *NCSA *NWNet *NYSERNet この運営にあたり、それぞれの地域のオペレータの代表者とMeritの代表者が 年4回、いろいろな形で会合の機会を設けた。この会合が、NANOGへと発展し ていった。 ---------------------------------------------------------------------- NANOG も大きな変化の波にされてきた。それはインターネットの大きな変革 の時期とも重なっている。 非営利であった NSFNET も商用ベースの ISP へと取って代わられて行く、 そんな時代だった。 *90年代半ばまでに、NSFNET のアーイテクチャを新しくすること *商用ISPに NSFNET が取ってかわられること *NAPとの繋がりを強めて行くこと これらのことは、本来 NSFNET が目標としていたことであった。 90年代にはいると、商用ISP の人達もミーティングに参加するようになった。 それに伴い地域のオペレータ、さらには、ベンダ、リサーチャ、教育関係者と、 段々と参加者の層も厚くなって行った。 こういうこともあり、charter を見直し、1994年に NANOG という形で、最 終的に固まった。こうすることで、新たな時代の中で、幅広い役割に対応でき るようにしようと考えた。 ちょうどこの時期。各地域のオペレータが NSFNET から商用ベースのネット ワークへの切替えを行った。そして 1995年に NSFNET はその機能を停止し、 それらは各地域のバックボーンへと吸収されていった。 MCI や Sprint といったところが、NSFNET のバックボーンを受け継いだわ けだ。 それからもしばらくは、全米科学財団からの支援が NANOG に対して行われ、 現在は、その財源は参加費やベンダーやホストからの資金援助を受けて運営さ れている。 ---------------------------------------------------------------------- それでは、NANOG Meeting に関して、今まで聞きたくても聞けなかったこと などがあるかと思います。そういった皆さんからの質問も受け付けたいと思い ます。 *NANOG参加者はどういう人達か? -ここ(JANOG)にいる人達とほぼ同じような人。非常に開けっ広げに議論する ことを好む。 *どんな議論、どんな発言が飛び出すのか? -こんな馬鹿な話をいままで聞いたことがない!ということを公然という人も いたり、元FBIの人へ、「お前はおれを嘘つきだといいたいのか?」と発言 する人もいる。 *参加者はどのような組織から来ているのか? [どこから(組織)から来ているかというグラフ] => ISP(43%), Vendor(27%).... *[参加者数のグラフ] 参加者は順調に伸びていることが見て取れる。 前回は、去年10月に行われた。9/11 のテロの1ヵ月後に行われたことも あり、参加を取り止めた人が多かった。 日本の方でも、本来は参加する予定が、キャンセルする人が多かった。企業 で海外出張が禁止されるというやむを得ない事情があったようだ。 会議自体は、カルフォルニアで無事行われた。現地からの参加者が多かった ために、結果的にキャンセルはあったが、かなりの参加者があつまった。 *[参加者国別リスト] 今回、日本では 13人になっているが、通常から考えるとかなり少ない。い つもは30人はいる。 日本はアメリカを除いて、常に参加者が最大の国でもある。 ---------------------------------------------------------------------- 実際に会場に来られない方でも、オレゴン大学が作成した multicast シス テムを使って、リモートで参加して頂いた。 去年のNANOGでは、同時接続数で 20〜30、だいたい 50-100 人程が利用した。 RealMedia を使った参加者も多く、146人の参加を頂いた。 multicast は native link を張るのが問題になることが多い。IPv4 を使っ て、これまで色々と技術的な問題に直面した。そういう経緯もあり、multicast のインフラはローカルに置いておこうということになっている。 今後、multicast の接続は Internet2 の GigaPoPを使って接続性を確保する 予定だ。 IPv6 を使っての接続はミシガンのMerit へとトンネルをはって、提供してい る。 ---------------------------------------------------------------------- 会場では、squid のキャッシュを使うことを強く勧めているが、まだ使用者 はすくない。実際に Squid を使ってもらったのは、参加者の6人に1人程度。 *ミーティング・スケジュール | Morning | Afternoon | Evening ------+---------+-----------+---------- Sun. | Moving | Tutorials | Tutorial | | | or Host Party ------+---------+-----------+---------- Mon. | General | General | Beer`n | Session | Session | Geer,BOFs ------+---------+-----------+---------- Tue. | General | End mid- | Moving | Session | afternoon | ------+---------+-----------+---------- 夜のイベントには Beer'n Geer パーティがある。スポンサとなったベンダ がビールを振舞う。そのかわり、ミーティングの参加者へ機器を展示してよい。 ただ、コマーシャルを目的としていないので8社に限定。テーブルに機器を 置くことしか認めていない。 *[これまで Meeting でスポンサとなった企業の一覧] ---------------------------------------------------------------------- 具体的なプレゼンの内容について。 どのような形で提案されてくるか?だが、プレゼンをやって欲しいという要 請を受けて頂いて、やってもらうことが多い。 もちろんプログラム委員会というものもあるが、JANOGにあるプログラム委 員会とは、若干役割が異なっている。 NANOGのプログラム委員会では、メンバは、なにか特定の TOPIC について責 任を持つということはしない。主な役割は、プレゼンの資料をレビュすること。 まもなく2月に行われる Meeting でどのような TOPIC が取り上げられる かという具体例について、いくつかお話ししたい。 *DNS サーバの損傷(rootサーバでの問題) -Evi Nemeth, CAIDA F root server の測定を行った。 *負荷の 14%は構成のおかしなクエリーによる。 *クエリーの 20%は本来存在しない TLD への参照 ->企業内のみで使われているドメイン名などが外部にクエリとして洩れて いる。 *クエリのソースアドレスとしてプライベートアドレスが付けられている *サービスアタックの防止について ->DNSをリフレクタとして DOS攻撃が行われている。 これほどすさまじいクエリの負荷が掛かっていたにも係わらず、root server のパフォーマンスは、通常では考えられないようなすばらしいものだった。 *Tire-2 とコンテンツプロバイダ間での新たな peering の事情について -Jeb Linton, EarthLink peering については2つの変化があるというのが趣旨 * 7社の tire-1 が、将来的に、同じコロケーションスペースにおいて、 OC-48 を用いた高速な次世代の peering を行うことを計画している。 * 高価だったトランジットサービスの価格が、段々下がって来ている。 =>このため、従来からあるような NAP や、専用回線を用いた peering とい う方法との価格的な差が無くなって来ている。 さらにパネルディスカッションも、ここでは設定されている。NAP の IX 情 報についても update される予定(LINX@London) *国際版の IPv6 の IXポイントというのも内容に含まれている。 *IS-IS の挙動に関する解析について *IS-IS の packet trace の解析。 *収束問題について *一秒未満で IGP の収束を行う方法 などのトピックが予定されている。 *ドメイン間のルーティングの問題点について -Olaf Maennel and Anja Feldmann *characterというツールを開発 *MRT tools も使用。 =>flap dampening における問題点を解析 *GIANTにおけるネイティブ multicast サービス -Agnes Pouele, DANTE & Jan Novak, Cisco Europe で構築予定の GIANT と呼ばれるネットワーク上で、ネイティブな multicast サービスについての発表が行われる予定。 GIANT とは、ヨーロッパ全域を網羅する 10Gb のネットワークであり、28ヶ 国gが対象。2月には、ネイティブの multicast packet が流れ出すことにな る。 Grobal Crossing からは MPLS における経験についても発表される。 *MPLS for IPv6 *MPLS/VPN における問題点が取り上げられる予定。 プレゼンに関する事前の情報については http://www.nanog.org/mtg-0202/topics.html から確認できる。スライドについては、事前にお届けすることはできない。 ---------------------------------------------------------------------- 将来、期待&予定されるプレゼンについて *PANEL:インテリジェントな Route control 技術(次回) =>BGPによる最適パスの選択。 *specialized boxes が用意される。 multihome環境において、最適なパスを選択。 ただし、今回はパネルが設定されるだけで、具体的な話に関しては、5ま たは6月に行われる Meeting で出てくるだろう。 *4byte-ASをどのようにインプリしてゆくか? *AS number の枯渇問題について *AS 登録における問題例 *実装例 *Exchangeにおける native の multicast に関する peering について =>賛否両論がある。これも5または6月に行われる Meeting で取り上げら れるだろう ---------------------------------------------------------------------- 今年の秋、ARINと NANOG が初めて合同でミーティングを行う予定。 この主な目的は、オペレータへの情報提供を、特に ARIN を対象として行う ことにある。 両方の組織が日曜日にチュートリアルを行い、月、火は NANOG Meetingが、 水、木曜日には、ARIN のミーティングが続けて行われる予定。 さらに NANOG と ARIN との関係を深めるため、ARIN からヘルプディスクに IP アナリストが常駐し、情報提供を行う予定 ====================================================================== 質疑応答 Q(Sekiya) : 毎回、ミーティングの終わりに、次回はどのようなトピックが望 ましいかについて説明がありますが、あれは誰が、どのようにして決めている のでしょうか? A : 決定をしているのは、先程お話をしました、プログラム委員会のメンバと いうことになります。メンバの数としては12〜13名。私がその議長を務め ております。メンバはすべて専門家であり、具体的な名前等についてはウェブ から参照できます。 http://www.nanog.org/general.html プログラム委員会が一番の目標としていることは、幅広い分野から、さまざ まなプレゼンテーションを頂きたいいうことであります。発表者の中には、 researcher、ベンダ、オペレータなどがいる。 次の質問も予測がつく気がします。次のプログラムの提案でしょうか? Q : それもいいですね。でももう一つの質問は、プログラムコミッティーをど うやって選出しているのですか?についてです。 A : よく知られている人、本当の意味での専門家などが選ばれています。 Q(maemura) : NANOG 7年間やってこられた中で、NANOGの役割が変わって来た と思われることがあれば、お聞かせ願いたい。 A: できるだけ当初の役割から大きくはずれないようにと努力しているが、や むを得ない変化というものもあります。それは規模が大きくなったこと。当初 は100名程度だったのが、現在では700名程度が参加するようになってい る。 それから、商用的な利益というものが色濃く出るようになってきた。最近は、 エンジニアから直接私達にアプローチがあったりします。Web でNANOG のこと を知り、これはいい宣伝の場になるのではと考えるのでしょうが、そんな時、 私達がいうのは、「会社を代表して話をするということではなく、具体的に、 どのようなオペレータがきて、どのような話をするのか?その概要を出してほ しい」ということです。 Beer'n Geer のスポンサになりたいという企業も増えてきました。商用色を あまりださないように8社にすることを守っています。私達は本来の目的を守 ろうと考えています。オープンに情報を交換できる場を提供し、企業の利益を 前面に出さないということを守ろうとしている。 Q(ホーミン):comminity を長く続けていると、若い人がはいってこなくて、 高齢化問題に直面することが多いのですが、NANOGではどうでしょうか? A : NANOG もここにおられるように若い人達はたくさんいます。私は違うかも しれませんが。 Q(Tachibana) : NANOG へ参加するときの考え方(心構え)などについてコメン トを頂ければありがたいのですが。 A : 組織全体の運営にかかわることであって、難しい問題だと思います。どう しても組織なり会社から参加すると、(会社の)利益を代表するという考えにな りがち。これは運営側で厳しくスクリーニングをかけていくという方法が一番 だと思います。これは運営者側の責任でしょう。 Q(sekiya):漠然とした質問ですが、参加者が増えたときに一番大きな問題点は? A :人間の管理が一番でしょう。レジストリも大変ですし、スペースの確保、 ホテルの宴会場(100人程度がはいれる)を押えることも必要となります。 私達も、無制限に参加者を増やそうとは思っていない。800人が限度かな と思っています。 ----------------------------------------------------------------------