

HTTP 2.0のインパクト
- 概要
Googleが提唱した SPDY は既にChorme/Firefox/Operaなどのブラウザでデフォルトで有効になっており、またGoogle/Facebookなどでも既に実装されています。
IETF httpbis WG ではSPDYの要素を取り入れ、現在のインターネット上で最も使われていると言われているHTTP1.1を改善し、HTTP2.0として標準化プロトコルを作成中です。
GET/PUTなどのHTTPメソッドに変更はありませんが、SPDY/HTTP2.0では下記の様な変更が予定されています。
- ヘッダー圧縮
- text形式からbinary形式へ
- 暗号化
- マルチセッション
最も使われているプロトコルの改善はネットワーク機器や運用者にも多大な影響を与えると考えています。本セッションではSPDY/HTTP2.0が与える影響や設計の変更および運用の変化などを議論したいと考えています。
- 発表者
土屋 師子生 (シスコシステムズ合同会社)
西塚 要 (エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)
清水 一貴 (株式会社レピダム)
新村 信 (アカマイ・テクノロジーズ合同会社)
- 公開資料
- 資料: HTTP2.0のインパクト (土屋)資料: HTTP/2.0のインパクト on CGN (西塚)資料: HTTP/2.0のインパクト (清水)資料: HTTP2.0/SPDYのインパクト (新村)
- 参考資料
- 議論ログ
- Q:会場からの質問A:発表者からの回答/コメントC:会場からのコメント
Q: FWは今後どんどん暗号されてURLフィルタリングやマルウェアフィルタリングとか出来なくなってくるのか?
A: 出来なくなってくると思う。すでにHyperGiantを中心にhttpsによる暗号通信が普及しており、現状でも出来ない事が多いし、今後も広がっていくと思う。
Q: SSLのセットアップ時に書いてある証明書のCNぐらいしかIdentityファイルしかなくなってしまうと思うがそれに対応しているデバイスはありますか?
- 登壇者・会場からは対応しているというコメントなし。
Q: CGNの必要セッション数が減るとおっしゃっていたが、タブブラウザはタブが開いているときはセッションを保持しようとするのでその辺を考慮すると実際セッション数は削減することは出来るのか?
A: その点については考慮していかないといけない。タブブラウザのおける全体のセッション数は使い方・作り方に左右される。
Q: AkamaiはSPDY対応はユーザーが対応であればデフォルト対応させていくのか? それともコンテンツ屋ベースなのか?
A: SPDYをそのままサービス開始するかHTTP2.0を待つか、まだ社内で結論は出ていない。SPDY自身はサイト高速化サービスに位置づけているので、コンテンツ屋ベースを基本とするが、HTTP2.0がコモディティ化されれば、ディフォルトサービスになると思う。
Q: Googleはクイックの実装内でSPDY over UDPを独自実装しているが、このモチベーションってなんだか知っている方はいますか?遅延低減かな?
A: 遅延低減が大きなポイントになっている。GoogleではUDPの上でSPDYを流すQUIC以外にも、Fast Open TCPと呼ばれる、TCPの3-way Handshakeを省略するようなものも開発しており、これも遅延低減を目的としている。
Q: 西塚さんはセッション数低減への取組みについて発表されていたが、今後遅延対策は何か考えられていますか?
A: CGNを入れた場合の品質についてSPDYやWebSocketの速度計測や遅延対策の取組みを行っています。
C: 自社のモバイルルーターにhttp2.0クライアント&プロキシを入れたらユーザビリティが向上するのではないかと考えている。SPDYのプロキシってだれでも実装可能ですか?
C: オープンなので可能と思います。また、http1.1で終端して2.0で出ていくようなことも考えています。
Q: http2.0のIETFでの標準化っていつごろになりそうですか
A: 1年ちょっと出来ればいいなと思ってますが・・・・
Q: レイヤーが違うがマルチパスTCPとSPDYは狙いが同じなのではと感じている。どっちで解決するのがよりスマートなのか?と混在した場合に気をつけた方がいいことは何があるでしょうか?
A: アカマイとしてマルチパスTCPは実装していないが、オリジンサーバとの通信においては、配信アプリケーション側の制御により複数TCPを同時に利用してTCPのスループットを改善している。クライアントとの間では、ドメインシャーディングによりクライアントから複数のTCPを張ってもらい、見かけ上HTTPを並列動作させている。この部分がSPDYと良く似ている。現在のブラウザのHTTP制限下では、マルチパスTCPを導入してもHTTPが並列に動作しないので、効果はないと思われる。ドメインシャーディングとSPDYの比較、ということになると原理的にはSPDYが断然有利である。
A: 違いとしてはいままでたくさんあったセッション数を減らすのがhttp2.0であると思う。
Q: クライアントから見るとhttp2.0はセッション数が減るが、サーバから見るとセッション数が増える思うがその点はどうお考えですか?
A: その懸念はあるが、足らなくなったらセッションを切ることは出来るので特に問題ないと思われる。
C: ヘッダーコンプレッションが効くのでトータルな負荷は確実に減ると思う。
Q: 今の流れはセッション数を減らす動きだが、もし今後ブラウザやコンテンツ屋が逆の方向性に向かったらCGNの設計ってどうするの?
A: CGNが無い場合や入れた場合の品質についてSPDYやWebSocketの速度計測および遅延対策の取組みを行っています。