JApan Network Operators' Group
JANOG44は株式会社アット東京のホストにより開催します。

西日本のインターネットをもっと熱くするためへのさらなる一歩

概要

    
近年、西日本に進出するコンテンツ事業者やデータセンタの選択肢の増加、回線やトランジットの価格低下など、
ISP事業者も大阪に進出の検討材料が整ってきました。

年に1度やってきた大阪ピアリングフェスの参加者も増加傾向にあり盛り上がってきていますが、
西日本をもっともっと熱くするため、まだ進出を迷っている方への"the one"になるような議論を行わせてもらいます。

発表者

熊本 豊(ミテネインターネット株式会社)

生野 勇貴(株式会社オプテージ)

高澤 信宏(ヤフー株式会社)

モデレーター

原 幸之助(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)

資料

西日本のインターネットをもっと熱くするためへのさらなる一歩(生野)

西日本のインターネットをもっと熱くするためへのさらなる一歩(熊本)

西日本のインターネットをもっと熱くするためへのさらなる一歩(高澤)

質問回答

頂いた質問から登壇チームにて可能な範囲で回答させていただきました。

 

 

Q.ヤフーさんに質問です。大阪に出たことによるメリットはありましたか?

大阪に出るメリットがないから、と東京のみでpeerするコンテンツ事業者が多いので聞きたいです。

A.DR構成が取れていることが大きいです。弊社は日本国内のお客様が90%ですので、国内で東西冗長を重視しております。ニュース、天気、災害情報等、非常時にも皆様にお伝えすべきコンテンツを東西でISPの皆様にお渡しできる環境がある点が重要とかんがえています。(高澤)

 

Q.東北中心だったため存じ上げないのですが、堂島問題の詳細を教えてください

Q.堂島革命とはなんですか?

もしかして通信業界だと当たり前な話でしょうか?!

A.説明足りずすみません。データセンタ話で話があったとおり、堂島には4つのデータセンタが隣接しています。しかしそのデータセンタ間接続の敷居が非常に高いものでした。

この事を「堂島問題」としています。ただ、2016年頃にこの問題を一部のデータセンタ間で解消したサービスが発表され、他社もそれに追従するような形で現在は低価格・高品質な回線提供ができることになり、そのことを「堂島革命」と読んでいます(熊本)

 

Q.CSPが大阪に出てくるためには何が必要なのでしょうか?

A.西日本のインフラには課題はないので、これ以上求めるものはございません。後は、CSP側のコストと日本国内でのインフラ運用のポリシーをどうするか次第化と思います。(高澤)

 

Q.低遅延を目指すとコストアップになりませんか?ここが気になります...

A.コストアップは仕方なしと思っています。ただし、2年前からするとそのコストアップの差も徐々に縮まってきているのかなと思っています。低遅延はコストアップに対してエンドユーザの満足度向上の一手となると思っています。(熊本)

 

Q.大阪が盛り上がっているのは単純に景気が良いからですか?そうすると福岡とかも盛り上がってるのでしょうか。

A.当時の堂島エヴァンジェリストをはじめとして盛り上げたいという思いを持ったアツい人が大阪に多かったんじゃないかなと思っています。エクイニクスさんの進出も大きな要因なのかと思っています。(熊本)

 

Q.既に東京でPeer接続しているISPについて、接続を切る/優先度を変更するなどの対策を取られてますか?

A.西日本ISPであれば大阪で接続出来るようになれば大阪にトラフィックを移行させて頂くような調整をします。西日本ISPと東京でPeerしている場合においてエンドユーザさまから遅延に関する問い合わせなどがあった際に大阪での接続が無いときはPeer解消の相談をさせて頂く場合もあります(生野)

 

Q.ゲームのトラフィックって、御社の全体のトラフィックのうち何割程度なんでしょうか?

A.トラフィック自体はそこまでありません、微々たるものと思います(熊本)

 

Q.学生です。

単純な質問で、なぜ東京に比べて大阪への接続の値段が高いのでしょうか?

A.需要と供給のバランスだと思います。ちなみに需要がある東京-大阪の回線はバカ安いです(熊本)

 

Q.淀川を渡るルートや橋をみんなで作るとかしないですか?

A.ルートがたくさんあることはいいことなのですが、投資回収を行うのが難しいかと思います。現状も鉄道や道路(橋)の下を通していたりと、公共事業に相乗りする形の形態となっていますので。また、大阪は水の都と言われるだけあり、やはり水路が多いのも課題ですね。(原)

 

Q.遅延がゲームにとって重要なのはわかるけど、インターネット利用者のうちゲームする人としない人の比率はどんなもんなんでしょう。

そして、ゲームユーザ向けに投資するコストはゲームしない人が間接的に負担しているということはないですか?それは公平ですか?

A.比率は測れないためわかりませんが、インターネットの利用方法が多種多様になってきた中ですべてを公平にするのは難しいと思っています。また、その点でいえば動画コンテンツを代表するWebコンテンツに対しての投資のほうが大きいと思っています(熊本)


 

Q.個人的な感想ですが、大阪のデータセンターは上町断層沿いに多く、ちょっと心配です。何とかなりませんか。

A.大阪市内は南北で断層が走っているので地形として難しいですが、各DC事業者さんは免震構造などの対策はされています。また、その背景もあり、最近では北摂エリアなどのニーズも高まっているのではないでしょうか。(原)

 

Q.原さんに質問です。大坂北部のDC建設ラッシュも相まって、堂島一極集中から、少し大坂の地図が変わってくるのかなぁ、となんとなく感じていますが、元祖堂島エヴァンジェリストのご意見をお伺いしたいです。

A.はい、変わってくる可能性もあると思いますし、私も変わることを期待しています。というのも、やはり大阪市内の一極集中では国内第二のNW拠点としては乏しいので、大阪市内ともう1拠点でNW拠点を分散できる環境は必要かと思います。ただ、ファイバーや接続性(Peering環境)が重要になりますので、その環境整備は各事業者(DC/キャリアなど)の対応が必要不可欠だと考えます。もちろん、コストの観点で事業者間の競争も。(原)

 

Q.遅延対策でPeeringとありましたが、どういった情報をもとにPeering先の事業者を選定していますか?

A.元々、ISP同士の付き合いというのは有りましたので選定という感じではないのですが、

今まではPeerメリットがあまりなかったのでお互いが積極的にしていなかったという感じです(熊本)

 

Q.eスポーツへの取組みにオプテージさん力入れていますが

大阪ー韓国の接続はどのような状況ですか?

また今後の計画は言える範囲でお願いします。

大阪が韓国への接続性良くなるとさらに大阪が熱くなるかなと。

A.韓国にはゲームのサーバが多く存在することは把握しております。現状では残念ながらほとんどの通信がPeerではなくトランジット経由となっております。今後、韓国とダイレクトで接続できるように検討を進めて行きたいと思っております。(生野)

 

Q.e-sports対応の通信品質を考慮することは単独の別テーマだとはおもう。その上で、PUBG mobileに睡眠時間を削られている私の見解では主力のゲームはマルチユーザー型でサーバー経由で通信を行なっている場合が多くクライアント間のダイレクト通信遅延は問題にならないのではないか。

A.例えば、主力ではスプラトゥーン2、ストリートファイターVなどがクライアント間のダイレクト通信になっているのではないかなと思います。(熊本)

 

Q.世界的視点で見れば、東阪の遅延差は無視できる。DR的な価値が判断基準のではないか。

A.コンテンツ配信では東阪の遅延さは世界的に見れば無視できます。弊社はDR的な価値です。(高澤)

 

Q.大阪にきていないCSPを名指しで理由を聞いてみてほしいですw

A.こちらは当日に質問に立っていただいた内容となります!やはりコストですよね・・・(熊本)


 

Q.東京にいるCSPはなぜ大阪に進出しないんでしょうか?

A.事業者にもよりますが、大阪に拠点を出すということはコストもかかるので、ビジネス上成立するかという観点もネックになっているのかと思います。コンテンツも生活インフラのような重要なサービスはDR観点で大阪への進出もありえますが、ゲームなど話題性に左右されるものであれば、中々難しいというのが内情ではないでしょうか。皆様、大阪進出お待ちしております。(原)


 

Q.中部地方以外の地域(東北や九州)は東京と大阪の近い方とだけつなげば大丈夫でしょうか。両方つなぐメリットがあれば教えてください。

A.コストメリットは無いと思いますが、DRという観点ではつなぐメリットはあるのかなと思っています。大阪の災害で九州の通信インフラが断になってしまうので。

ただ、現在でも東京だけでの接続の方も多いですし、西日本ですと大阪のみ接続しているというISPの話も聞きます。片方だけでも十分にビジネスは出来る状況にはあると思います。(熊本)
 

Q.完全な東西冗長構成はコスト的に難しいCSPが多いのでは?

A.完全ではなく、コストに見合った冗長構成を目指すと割り切りも必要かと考えます。(高澤)


 

Q.CSPとの接続はPNIがほとんどと思いますが、ISP同士でもPNIしていたりしますか?

A.もちろんISP同士のPNIもございます。当社もありがたいことにいくつかの事業者さまとPNIさせて頂いております。(生野)

 

Q.ゲームの話を例にPeerするメリットをお話されましたが他にもあったりしますか?

A.Peerをするメリットのことでしたら基本的にトランジット経由よりもHOP数が少なくなる&コストが下がるかと思います。今まではトラフィック量でPeerをしていましたが、トラフィック量だけではなく遅延も大事ですということをお伝えするために今回はゲームの話をさせて頂きました。(生野)

 

Q.関西のゲームコンテンツ事業者は、どちらかというとクラウドネイティブな方々がとても多く、関西でコンテンツを配信するということを気にしている人が少ないような気がします・・・

A.残念ながらおっしゃる通り基本的にCDN等を利用されていますね。。。ゲーム業界とネットワーク業界がもっと対話するイベントがあればいいのになって思います(もうありますかね??)(生野)

 

Q.集まっている質問の中身を見たいのですが、どこからアクセスすれば良いでしょうか。

A.今回、回答を公開させていただきました(全員)

 

Q.西日本にCSPが新たに進出したとして、だいたい何年くらいで投資はペイすると「成功」ってことになるんでしょうかね。

A.東から西に進出した場合、東西コストは変わらず進出できているので、増強のタイミングで西に打つことでコスト増にならないような出方もあるかとおもいます。ここは増強ポリシーの建付けかた次第と考えます。(高澤)

 

Q.大阪のトラフィックって東京と特性が違うところありますか?どこどこ向けの割合が多いとか休日とかに片寄るとか。。

A.基本的には傾向は同じだと思います。(生野)