JApan Network Operators' Group


未来の二つの顔 ~電話とインターネットの狭間で~

概要

ルールが一度決まってしまうと、それを覆すのは非常に大変です。一方、ルールを決める前であったり、いままさにルールを決めようとしている現場であれば、ルールそのものを変更することができます。

インターネットそのもののルールを巡って、世界的な綱引きが、いままさに行われています。2012年12月のWCIT(世界情報通信会議)での、ITR(国際電気通信規則)の改定に向けた動き以来、インターネットへの政府の関与を始めとして、いわゆるインターネットガバナンスに関する不可測な問題への関心や懸念が高まっています。また、ICANNでは新gTLDプログラムによって1,000を超えるTLDが新設されようとしており、プログラム検討段階には話題に上がらなかった問題が、今になって浮上しています。またこの状況の中で政府によるインターネットへの監視行為も暴露されました。

こういった混沌とした環境の中、10月7日にはインターネットに関わる主要な組織の長の連名により「モンテビデオ声明」も公開( https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20131008-01.html )され、続いて 1net.org が立ち上がり、グローバルなインターネット協力体制の新たな方向性の模索も始まりました。

これらの話題は、NOGに集うオペレータの皆さんには、遠い雷鳴のようなもので直接的な関係はなく少し耳障りな程度の話題に過ぎないかもしれません。しかし、このまま無関心のままでは、明るくない未来がやって来る可能性が十分にあり得ます。特にインターネットを届ける立場として、このまま無関心のままでいることは未来に遺恨を残しかねません。

本パネルセッションは、今年山場が来そうなインターネットガバナンスの動きを紹介しながら、難解に見えるインターネットガバナンスの背景や現実を読み解いていくヒントとなるような内容を目指します。

発表者

石田 慶樹 (日本インターネットエクスチェンジ株式会社)

小川 晃通 (あきみち) (Geekなぺーじ)

前村 昌紀 (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)

水越 一郎 (東日本電信電話株式会社)


公開資料
議論ログ
Q: 会場からの質問
A: 発表者からの回答/コメント
C: 会場からのコメント

Q: 管理される未来と管理されない未来の二種類の未来があるとのことだが、もしも管理される未来がやってきた場合、自由主義陣営の国家だけでこれまでどおりの管理されてない(あるいは適切に管理された)インターネットを継続するという国際条約を締結すれば、現状を維持することができるのか?

A: いままでどおり、というのがNSAによる監視等も含めて現状通り、ということであれば、それは可能ではないか。市民に不都合な情報をある程度コントロールする、Google社によって世論誘導することも可能となるならば、十分にそういった未来もありうるだろう。

A: 昨年のWCITの議論ででてきたProcessingという表現がある。サーバの中で動いているプロセスやセキュリティについて、他国に影響を与えるプロセスに対して停止を迫るなど。そういったことの論拠に使われるのではないか、という印象を持った。

Q: 正直難しいが興味は持った。来週家に帰ってからまず自分はなにをすればいいか、アドバイスを。

A: 「 Geekなぺーじ 」を見てください。きちんとした記事が書かれていて、いろんなリファレンスが張られています。

A: JPNICにもインターネットガバナンスに関する情報をまとめているページがあるので、そこも見てください。

Q: IXの話については、先進国の大手企業が有利にpeeringを進めたいという意図のもとに積極的にやっているという印象があるが、実際のところはどうか。オープンインターネットを守ろうとしている人は、実は純粋にそれだけを考えてやっているわけではないように思う。

A: 正直そういうところはあると思う。プラットフォーム事業者が牛耳り始めているというところがなくはない。そこが自分としても非常に悩みどころである。

Q: 文句あったら言えよ、というのはそのとおりだが、言いたくても言えない人もたくさんいるのでは。ポリシーが決まってからインプリされるまでに10年や20年かかるケースもあり、インプリされたときにはポリシーを決めたその当時の人はいなくなって若い人が対応することになるかもしれない。次の世代のリーダーたちの気持ちをくみ取るような活動はあるのだろうか?

A: いい質問。アウトリーチは常に課題。がんばってやっているつもりだが不十分かもしれない。若い人にどうやって興味を持ってもらうか、という取組はICANNでもいろいろやっている。JPNICとして日本でどうやるかは難しい面があるが、なんとかしたいと思っている。

C: がんばっている前村さんを応援している。言論の自由と通信の秘密に非常にかかわりがある話、当然みんなが真剣に考えているんだろうと思っていたのに、、、。壇上のサングラスのような人とがんばって戦ってもらいたい。

C: インターネットガバナンスとは、インターネットを動かすルールを作る、ということだと考えている。しかし、ステークホルダーの中にはインターネットを使いたくない人、使わせたくない人が含まれていて、それが問題を複雑にしている。いわゆる環境問題と似ていて、極めて難しいことに挑戦していると感じた。

C: wakamonogの運営委員をやっている者です。若者も興味を持っているし一緒にやっていきたいと思っている。よろしくお願いします。

C: 二つの顔のスライドをずっとみていて感じることがある。市場原理に基づくという言葉が、なにかGoogleと結びついているように感じる。インターネットは人間の進化・進歩に貢献するために存在ものであって、それは市場原理というものとは違うと思う。そこに違和感がある。このスライドの未来のどちらかを選ぶというのだったら、自分はどちらでもない。世の中の進化のために何かをする、すべてのステークホルダーのためにみんなで考える。Googleもそういうことを考えているはず。人間の進歩とインターネットの進歩はともにあるはずだ。

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