JApan Network Operators' Group
JANOG37は中部テレコミュニケーション株式会社のホストにより開催します。

第一宇宙速度を越えよ!


11月9日、愛知県名古屋市にある名古屋特殊陶業市民会館のフォレストホールの舞台上に立った。
JANOG37ミーティングの本会議場下見のためだ。1階席だけで、1,542席、4階席まで合わせると、2,296席もある立派なホールだった。ここでプレゼンをしたら、本当に気持ち良いだろうなというのが、第一印象だ。

フォレストホール舞台からぴょんと降りて、前方からいくつかの参加者席に座ってみる。足元も比較的ゆったりとしており、席も悪くない。真ん中より後方のややスロープしている席に座り、前方の舞台を眺める。下見に来たJANOG37スタッフが確認しながら、せわしく動いている。観劇用のホールらしく、舞台上でのスタッフ同士のやりとりの声は、非常によく聞こえる。

1月20日-22日の3日間このホールで行われるJANOG37ミーティングを想像してみた。ここ数年の傾向を鑑みるとおそらく500名を越えるだろう。前方の席で集中するオーディエンスも、後方からゆったりと見るオーディエンスもいるだろう。例年、後方での立ち見が出てしまうが、今回はその心配もなさそうだ。

そんなことを考えながら、JANOG37ミーティングのシミュレーションを続ける。

客席側のライトが落とされ、舞台上でプレゼンが始まる。席に座って落ち着いたプレゼンをするスピーカー、舞台上を左右に動き聴衆にうったえるスピーカーもいるだろう。舞台上のプレゼンが終わり、司会者のアナウンス「それでは、質疑応答に移りたいと思います。」を合図に客席も明るくなる。

質疑応答の時間がたっぷりとあることが、JANOGミーティングの大きな特徴である。質問がゼロであることはまれだ。セッションによっては、さばききれないほどの量の質問や意見が出ることがある。JANOGに参加し、発言しディスカッションすることは一番の醍醐味と言えるだろう。しかし一方、事後アンケート等で、「JANOGは敷居が高い、レベルが高いので質問しづらい」「特定の方しか質問ができていない」との、ご指摘をうけることがある。注意深く見ると、ありがたいことに毎回一定数の初参加の方がマイクの前に立ち、発言しておられるのも事実だが、ご指摘の通り、発言しづらい "何か" があることも事実だ。

マイクへの敷居緩和や多くの人への発言機会を設けることは、JANOGミーティングスタッフ、特に新しいスタッフが率先してこれらの問題に取り組んでいる。BoFの定常開催、初心者向けLT実施、プログラムの事前アンケート、パラレルセッションの実施、LTのニコニコ動画での配信などは、スタッフからのアイディアで実現したものだ。これらの効果については参加者からの評価に委ねたいが、当たり前にあったものではなく、問題意識を持った有志により提案され、実現への課題をクリアしたことで実行されたものであることを強調したい。


参加したことがある人なら、JANOGミーティング中に何度かマイクの前に立とうと思う瞬間があるのではないかと思う。しかし、席を立とうとすると、いろいろなことが頭をよぎり、腰があがらず、腹の下から膝にかけてグッと力を入れないと立ち上がれないことがある。その立ち上がるのに必要な力を僕は勝手に「第一宇宙速度(*1)」と呼んでいる。


発言するときに頭によぎる何かを振り切るものは、勇気かもしれない。その何かは分からないし、それ自体が思い過ごしかもしれない。それでも、あなたの「普通」は誰かの「すごい!」かもしれない。普通を臆せず発信してみよう!
自分の中で「当たり前すぎて言うまでもない」と考えていることは、実は他の人にとっては、ものすごく貴重なことかもしれない。

第一宇宙速度を越えて、JANOG37ミーティングでマイクの前へ立ってみよう!

JANOG37ミーティング名古屋でお会いしましょう!


JANOG 副会長 平井 則輔


*1 第一宇宙速度:ざっくり言うとロケットを打ち上げるのに、必要な初速度で、それを越えないと地表へ戻ってきてしまう。もっと詳しく知りたい方はWikipediaへ。