JApan Network Operators' Group


JANOG33 注目プログラムのご紹介 [第二弾]「未来の二つの顔 ~電話とインターネットの狭間で~」

JANOGスタッフの松下です。JANOG33の注目プログラムご紹介の第2弾です。今回は、「未来の二つの顔 ~電話とインターネットの狭間で~」についてです。ご登壇いただく石田慶樹さんと前村昌紀さんにお話を伺いました。

このプログラムはインターネットガバナンスについて考えていくものですが、この話題にはなじみの薄いオペレータも多いと思います。しかし近年、国際機関や各国政府がインターネットをコントロールしていこうという動向が出始めていますので、私たちオペレータもインターネットを運用している当事者の一人として、全く無関係ではいられません。このプログラムをきっかけに、ぜひ多くの方に興味をお持ちいただければと思います。

プログラムページ
未来の二つの顔 ~電話とインターネットの狭間で~
発表者
石田 慶樹 (日本インターネットエクスチェンジ株式会社)
石田 慶樹 (日本インターネットエクスチェンジ株式会社)
前村 昌紀 (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
前村 昌紀 (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
聞き手
松下 太志 (JANOG33実行委員)

インタビュー

このテーマで応募した理由を教えてください。
2012年12月のWCITの少し前から、国際的に政府のインターネットガバナンスに対する関与に関する議論が特に盛り上がってきており、この問題は適切な対応がされないとインターネットがちゃんと動かなくなることにつながりかねない、大きな不安定要素だと感じたからです。
このままなにもしない場合、どんな未来を思い描いていますか。
例えば、AS同士が気楽にピアリングできなくなったらどうしますか。国のレギュレーションに縛られ、ビジネス上の理由や技術的なポリシーベースのピア先の決定が法制度で許容されなくなる、または認可がいるようになることも考えられます。
なぜそんな未来になるのでしょう。
インターネットは通信事業者間のバイラテラルなピアリングだけではなくマルチラテラルなピアリングもあればトランジットもあるといったやり方でやっていますが、もしもITU的な政府間・通信事業者間のバイラテラルな調整だけに限定されるというようなことをインターネットにも適用されたらどうなるのか。また、国際条約になればそれを国内法に適用することが求められるようになる可能性もあります。現実に、ライセンスを取得しないとインターネットの運用ができない国も存在します。
国内において、この問題に関わっているのはどんな人たちですか。
JPNIC、JPRSがICANNに関わる組織ということでやっています。あとは政府以外だと個人レベルでごく少数の名前を挙げられる程度でしょうか。アカデミアでインターネットガバナンスをメインにやっている人は少なく、利用者からの関与も非常に限られているのが現状です。
オペレータに具体的にできることはなんでしょう。

例えばOP25Bなど、様々な議論を経て運用として実現されましたが、そういったやり方をこれからも続けていくことでしょうか。ルールも必要だけれど、技術や運用で何ができるかを十分わかったうえでルールが決まらないとよくないでしょう。運用者が一番インターネットを支えているので、そういう意識でガバナンスをみてもらえればと思います。

また、IETFやICANN、APRICOT、その他いろいろな場がありますので、そこへの参加を通じて相互理解を深めてほしいです。JANOGのような国内のオペレーショングループに関与するだけでも違うでしょう。いざという時にはそういったところから挙がってくる現場の声が力になると信じているので、まずはこういったテーマもネットワークのオペレーションのひとつだと思っていただければ嬉しいです。

どんな人に聞いてもらいたいですか。
JANOGにいる人はすべからくです。若い人や学生さんにも聞いてほしいですし、ベテランにも意外と知られていないことだと思います。このようなインタビューの場でお話してインタビュアーのみなさんに知っていただくだけでも、ひとつ大きな効果があると思います。そういう意味で、JANOG本会議でこのプログラムが採用されたことは、非常に嬉しいし、ここから更に、オペレータの皆さんがもっとガバナンスを意識して下さるようになるといいと思っています。
最後に参加者へのメッセージをお願いします。

どの辺がわからないか、どれくらい知らなかったかということを、ぜひ率直に教えてもらいたいです。また、JANOGのみなさんの動きや考えをJPNICなど、国際的なガバナンス動向を追っている人たちとどう連結できるか、そしていかに効果的に意見を発信できるかについても議論したいです。

ICANNのトップページに、誰がインターネットを動かしているのか「Who runs the Internet?」という図があり、ここにはネットワークオペレータも描かれています。自分たちもその一員であるということに感じてほしいです。

技術的に実現不可能なことや運用で無理なことをやろうというルールを決められても困るので、今すぐ意見表明とまでは言いませんが、気がついたときに意見を述べられるようにしないと手遅れになる可能性があると思います。


以上、インタビューの内容でした。インターネットガバナンスの近年の動向について、まるで本番さながらにお話を伺うことが出来ました。そのすべてをご紹介することはできませんでしたので、ぜひ会場に足を運んでいただいて、議論に参加していただければと思います。今後のインターネットの姿について、ぜひ一緒に考えていきましょう!


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