インターネットを運用するISPやキャリアでは、セキュリティや安定性のさらに上位概念として通信の秘密という憲法にも決められた守るべき規範があります。一方で、コンテンツ事業者などでは自社サービスの更なる活用を目指し、通信事業者と組み合わさり、特定のアプリケーションを優遇するいわゆるゼロレーティング問題が最近になって急速に注目されるようになりました。
ゼロレーティングは既存の特定コンテンツが優遇されやすく新規アプリケーションとの競争が除外されるといった主張で、国や地域によっては禁止されるような事態も発生しています。
ところでゼロレーティングを支える技術の一つにDPIといったパケットの中身を調べる技術が使われていることが知られています。そもそもDPIとはどういった行為を指すのでしょうか、また、このようなゼロレーティングを行うために通信の秘密に関係した行為は許容されるのでしょうか。
これまで、ネットワークの安定運用の目的として、緊急時に行われる場合には正当防衛、緊急避難については違法性が阻却され、常時行われる対策としては、目的の正当性や行為の必要性、手段の相当性を満たすものについては認められてきました。
本セッションではゼロレーティングを支える技術であるDPIとローカルレギュレーション(日本では通信の秘密)について共有し、さらにゼロレーティングを前提としたDPIや特定コンテンツへの接続性が優先されるネットワークについてオペレータはどう考慮すべきかを議論します。
石田 慶樹 (日本ネットワークイネイブラー株式会社)
幡谷 一哲 (ノキアソリューションズ&ネットワークス株式会社)
クロサカ タツヤ (株式会社 企/慶應義塾大学)
岡田 雅之 (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
奥谷 泉 (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
発表資料 (石田)
発表資料 (幡谷)
発表資料 (クロサカ タツヤ)