JApan Network Operators' Group

JANOG20周年に寄せて (20 years of fun and progress)

みなさんこんにちは! JANOGの会長をやってます吉村です。

これまでのニュースレターでもすでに触れられていますが、JANOGは今年で設立20周年を迎えました。人間ならば祝・成人ですね! ネットワーク技術の運用者が集う任意団体として、1997年に発足したのがJANOGの始まりです。JANOG発足秘話については、JANOG2代目会長の近藤邦昭さんがすてきな記事 (※1) (※2) を以前書いてくださっていますので、ぜひご覧になってみてください。

NOG(のぐ)について

JANOGのようなネットワーク運用者の集まりは、Network Operators' Group (以下NOG)と呼ばれ、いろいろな国や地域で発足しています。 海外のNOGに目を向けてみると、ヨーロッパ地域のNOGであるRIPEは1989年設立、北米地域のNANOGは1994年設立、アジア太平洋地域のAPRICOTは1996年設立と、長い歴史を持つグループがいくつかあります。JANOGも、設立以降の20年間にたくさんの人が集い、精力的に活動し続けてきました。現在は約6800名の会員が参加しています。

20年の秘訣は?

JANOGがこの20年間アクティブに続いてきた秘訣は一体何なのでしょうか? 一般的な認識と違うかもしれませんが、私がJANOGの活動に携わったこの10年ほどの経験をもとに思うことを、2つほど書いてみます。

1. 存在価値を大事にしている

一つ目は、JANOGが立ち上がった目的 (※3) や、設立時からの基本的な存在価値を、メンバーが今も変わらずに大切に守り続けているからなんじゃないかなあと思います。

JANOGの存在価値って、きっと皆さんの心の中にいろんな定義があるのだと思いますが、

  • オペレーションに役立ちそうな、経験と実践に基づくテクニカルな話題を話す場であること
  • 皆でわいわい意見を交換したり、議論すること
  • たくさんの人に会えること
  • 個々人のスキル向上に役立つこと
  • (大きな話ですが)ひいては、インターネット全体に貢献すること

などが、今も大事にしているコアなポイントとして挙げられるでしょうか。

そういう根本的な価値を大事に思いつつ、もう一つ、「参加すると元気になる」ということも、私自身が個人的にとても大切にしているJANOGの価値です。たくさんの人に会って話を聞き、JANOGの雰囲気に触れると、明日からまた元気にいっちょ仕事頑張るかーと思います。JANOGの活動を通して自分自身が充電されてる感じがあり、こういう体験を通して、次回もこの場に来ようと思います。日本のインターネットに貢献するという大きな設立目的を掲げているJANOGですが、そういう大きな話とはまた別に、参加する人がちょっと元気になるコミュニティであったらいいなあと思っています。

上にあげたこと以外にも、皆さんの中で、JANOGにいろんな価値を見出してくださっていたらうれしいです。今これを書いててふと思いましたが、人それぞれが感じている、単一ではない色んな価値をまるっと内包しているところも、ひょっとしたらJANOGが長く続いている大事な要素の一つなのかもしれないですね。

2. JANOGは全員野球である

もう一つは、メンバーの協力を必要としているコミュニティであるためではないかと思います。JANOGは、その全てがボランティアで運営されています。ミーティングの運営スタッフもさることながら、ご協力いただくホスト企業や協力企業の皆さん、プログラム発表者の皆さん、メーリングリストで発言している皆さん、普段の運営やシステムの運用に携わっている皆さんなど、色々な方に支えられています。一部の人におんぶに抱っこではなく、多くのメンバーの協力があることで初めて成り立つコミュニティです。「これでJANOGがうまくいく!」という完成した方法や理論は無く、多数の人の力を借りつつベストプラクティスを探しながら走り続けている、ある意味、未完成のコミュニティです。

慶應義塾大学 環境情報学部名誉教授の熊坂賢次さんのツイッター (※4) に、こんな言葉があります。私の好きな言葉です。

「自分だけが打っても勝てない。しかも全員が打てるわけではない。でも自分が打たないと勝てない。全員が、自分が打たないと勝てない、と信じると、誰かが打つ。その誰かは自分だ、とベンチメンバー全員が信じると、奇跡が起こる。」

JANOGも全員野球なんだと思います。未完成だからこそ、多くの人が、自ら参加したり、応援したり、貢献したいと思う野球チームであることが大事で、そういう場にしようとみんなが努力し続けていることこそが、もう一つの秘訣だと感じてます。

元気になるコミュニティに

楽しいことだけがコミュニティではありませんが、大変なことも含めて楽しかった、充実していたという思いが、参加するメンバーを活気づけ、人を惹きつけ、この20年間を形作って来たのだと思います。上で書いたようにJANOGは完璧ではなく様々な課題もありますが、21年目に向けて、参加する人がますます元気になり、全員野球に参加したいと思ってもらえるコミュニティにしていきたいなあといつも思ってます。7月のJANOG40ミーティングでは20周年記念イベントも企画していますので、元気に20周年をお祝いして、21年目へのテープを一緒に切りましょう!

 

(※1) https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No61/0320.html

(※2) http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060604/239889/

(※3) https://www.janog.gr.jp/doc/janog-comment/jc1.txt

(※4) https://twitter.com/kumakenG/status/4115359614