JApan Network Operators' Group
JANOG43は株式会社デジタルアライアンスのホストにより開催します。

プログラムインタビュー「IPv4/IPv6デュアルスタックなリアルタイムP2P通信を行うオンラインゲームにおける、現在の国内/海外ネットワーク環境と、それに対する検証環境の構築手法」

 

JANOG43企画編成委員の花井です。

今回紹介するのはDay2の「IPv4/IPv6デュアルスタックなリアルタイムP2P通信を行うオンラインゲームにおける、現在の国内/海外ネットワーク環境と、それに対する検証環境の構築手法」のセッションでご登壇頂きます、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの 佐藤 元彦  さんにお話を伺いました。

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写真:佐藤 元彦  さん(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)


今回のプログラム応募のきっかけは何でしょうか?

ここ数年、ネットワーク関連のカンファレンスの場で触れられる"トラフィックの中身"が、動画トラフィックや所謂ハイパージャイアントに関連するものばかりで、ゲームの通信に対する関心が薄れていると感じていました。一方で、モバイルブロードバンドの発展が進み、スマートフォン向けゲームであっても高度な通信が行われるゲームが増えてきている中、ゲーム開発の立場からの通信に関する情報発信もまた、あまり見ない状態だと感じていました。

ネットワークに携わる人との相互理解が薄れゆく状況は、双方にとって不幸な未来を招きかねないと思ったため、また、それを改善するための足がかりになればと考え、今回応募しました。

発表テーマについての意気込み / 特に聞いてほしいことはありますか?

「今のブロードバンド・モバイルブロードバンド環境はゲームにとってどうなのか?」を理解する一助として、大規模なリアルタイムP2P通信をIPv4/IPv6デュアルスタックで行なった場合、どの程度通信可能なのか、という点について、接続性・遅延傾向のデータも合わせ、解説します。

さらに、一部の不安定な環境への対策として行なっている、WANエミュレーターを活用した検証について、実機によるデモ含め、紹介します。 使用するWANエミュレータはOSSで公開(※)しているので、講演を聴いて興味が湧いた方は、是非お試しください。

JANOG参加者へのメッセージや、期待すること、特に議論したいことなどありましたらお願いいたします!

IPv4枯渇に伴い、CGNを導入するISPが増えていますが、とりわけ一部の海外地域において、P2P通信が極端に不安定になる現象を測定しています。CGNに関しては中々情報がないため、知見をお持ちの方がいたら、会場で是非議論したいと思います。

また、前述のWANエミュレータに読み込ませる "遅延・帯域再現データ" を記録するためのクライアントをJANOG43に合わせて、OSSとしてさらに公開します。 ゲーム業界だと「開発中のタイトルの通信テストを行うために環境データが欲しいが、サービスインするまでは環境データが取れないため、テスト用の適切なパラメータが把握できない」という課題が往々にしてあります。その解決として、上記の測定データについて、オープンデータのような仕組みが出来れば良いなと、ここ数年考えてはいるのですが、その運用について、中々良いアイディアがありません。

「Network品質計測 => 計測データの蓄積・共有 => プロダクトに必要なデータを用いて検証」 ということが、誰でも・簡単に出来るようになると、皆が幸せになれると思うので、上記実現について、議論したいと思います。

そのほか、みなさんにお伝えしたいことはありますか?

IPv6の利用率や対応効果、海外のLTE回線で起きたトラブル/対処事例、IPv4/IPv6共存技術対策の実装、などなど、 様々な話題を用意していますが、時間の都合で、講演中はあまり詳しくは触れられないかもしれません。深堀りしたい方は、懇親会の場で是非お話ししましょう。


佐藤さん、ありがとうございました。今回のプログラム「IPv4/IPv6デュアルスタックなリアルタイムP2P通信を行うオンラインゲームにおける、現在の国内/海外ネットワーク環境と、それに対する検証環境の構築手法」は、Day2(2019年1月24日)の11時20分より大ホールで発表となります。
みなさまご期待ください!

https://github.com/KONAMI/EM-uNetPi