JApan Network Operators' Group

発表者コラム: “Segment Routing” - Chasmを越えてついに実用段階へ、そしてこれからのNetwork Programmability

JANOG40ミーティング1日目(7月27日)のプログラム「“Segment Routing” - Chasmを越えてついに実用段階へ、そしてこれからのNetwork Programmability」について、発表者の河野 美也さん(シスコシステムズ合同会社)に発表の展望を語っていただきました。


“Segment Routing” - Chasmを越えてついに実用段階へ、そしてこれからのNetwork Programmability

IPネットワークは、それまでのような電話のためのネットワークでもなく、伝送自体のためのネットワークでもなく、コンピュータを接続するためのネットワークです。そのため、コンピューティング領域からの要請は、ネットワークアーキテクチャにとって大変重要です。

振り返ってみると(JANOG40のテーマは「今までを振り返る、これからを知る」です。振り返り大事!)、IPネットワークに対する当初のコンピューティングからの要請は、「何もしなくてよい。ネットワークはひたすら愚直にbitを運べ」というものでした。インターネットのアーキテクチャ原理はEnd-to-Endであり、高度な機能や制御はホストやアプリケーションに実装するため、ネットワークはdumbでよいのです。そうは言っても、高信頼性やリソース最適化を実現したいサービスプロバイダは、Fast Protection、Traffic Engineeringを実装し、ネットワークを高度化してきた訳ですが。

しかし近年、コンピューティング領域からの要請は大きくなっています。ネットワークも、コンピュータと同じように運用したい(SDN, Programmability, IaaC (Infrastructure as a Code)…)。ネットワーク機能も仮想化したい(NFV…)。さらに、あらゆるものがつながり、あらゆることが解析対象になり得るディジタル時代に向けて、「サーバレスアーキテクチャ」などの、On demandで必要なときだけ必要な機能がコンテナとして起動し、使い終わったら停止する、というモデルが提唱されています。ネットワークとしても、On demandで、接続性の提供や必要な動作を行えるような、柔軟性・迅速性が必要になります。

Segment Routingは、Fast ProtectionやTraffic Engineeringなどネットワークの高度化をシンプルかつスケーラブルに実現し、かつ柔軟なネットワークプログラミングを可能にする技術です。JANOGにおいても、JANOG32のライトニングトークで取り上げていただきました。しかし、技術の有用さと、それが実際に普及するかは別問題です。

今回のJANOG40では、俊英アーキテクトであるKDDI宮坂さん、Softbank松嶋さんにご登壇いただき、彼らの視点から、Segment Routing技術について語っていただきます。また、これからのネットワークアーキテクチャに関しても展望していただきます。

なお、Segment Routing技術詳細については、事前チュートリアルを実施させていただきましたので、ぜひこちらをご参照下さい。

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発表者の河野さん(一番右)と宮坂さん(右から2番目)
事前オンラインチュートリアルを担当された竹田さん(右から3番目)と鎌田さん(右から4番目)