JApan Network Operators' Group
JANOG41は株式会社インターネットイニシアティブのホストにより開催します。

発表者インタビュー:JC1005 改訂の提案

JANOG41ミーティングDay3(1月26日)のプログラム「JC1005 改訂の提案」について、登壇者のBBIX株式会社の芦田 宏之さん(以下、芦田)、NTTコミュニケーションズ株式会社/インターネットマルチフィード株式会社の川上 雄也さん(以下、川上)、KDDI株式会社の平尾 利崇さん(以下、平尾)、日本インターネットエクスチェンジ株式会社の馬渡 将隆さん(以下、馬渡)にお話をうかがいました。また、JANOG Comment(JC)について、JANOG運営委員の平井さん(以下、平井)に解説いただきました。
 


JANOG41ミーティング実行委員会(以下、JANOG): 応募したきっかけを教えてください。

馬渡: JC1005は、「IXに接続する際の標準的な設定」として2005年に発行されましたが、発行から10年以上が経過し、時代にあってない箇所がありました。そのため、新たに文書を起こし、時代にあった内容に改訂したいと考えました。

JANOG: ちなみにJCとはなんですか??

平井: オペレーターが必要と思ったことを文書化したものです。ちなみに今回のJC1005改定では、JANOG Commentの運用について(JC9)の項番4.2「メンバー提案文章の発行手続き」に則って進めていますので、JANOG Meetingにて皆様に改定内容を説明し、その賛否を問う必要があります。

JANOG: ありがとうございます。では、現在のJC1005が発行された経緯を教えてください。

平尾: JC1005発行以前は、IXに繋ぐときに誰でも参照出来るようなドキュメントはなく、有識者の人が繋ぎにきている状態でした。徐々にIXに接続した機器の設定に起因する、IX装置やIX上でのルーティングのトラブルが増えていきました。JC1005は、その対処として、一般的なIX接続構成を標準化したものであり、私がその案を書いて、いろいろな意見をもらって作ったのが経緯となります。

馬渡: 実は、海外ではJC1005のようなものが、海外IX事業者によってパブリックに公開されていましたが、英語なので読むのも大変でした。日本版ほしいよね!という流れもありました。

平尾: ISP以外に、ケーブルテレビ事業者等がIXへ繋ぐケースが増えてきたのも、2005年くらいでした。そういったこともあり、IRS(Inter-Domain Routing Security)の会合でIXのルールがありますという発表をしたところ、誰でも参照できるドキュメントを作っておいた方がよいという話になりました。どうやって周知するかを考えた時に、JANOGがよいだろうとなったのですが、ちょうどIRSの中心にいたのが近藤邦昭さんで、当時はJANOGの会長だったという繋がりがあったのです。

平井: JC9や技術文書ができたのも、このタイミングですね。コミュニティが中心になって、必要な仕組みが整えられました。

 

JANOG運営委員の平井さんと発表者のみなさん
JANOG運営委員の平井さんと発表者のみなさん(写真左から平井さん、芦田さん、馬渡さん、平尾さん、川上さん)

 

JANOG: では、現在のJC1005を改定するきっかけを教えてください。

芦田: JC1005が発行されてから10年以上が経過し、IXに繋ぐ組織や方法が多様化しています。ISP間のインターネットトラフィックの交換にとどまらず、様々な用途に使われています。そのためルータが直接繋がるという従来の前提も通じなくなったりしています。この改訂ではそのような変化に対応したいと考えています。

川上: 昔はDC内のラックからラックに配線してIXに接続することが多かったですが、最近では遠方から専用線や広域イーササービスを利用して接続したり、その回線に複数の事業者で相乗りしたりするような接続形態も増えています。

馬渡: IX接続するお客様が、IXスイッチがあるデータセンタで1RUスペースだけ借りてスイッチを置き、そこからIXに接続するといったことも出てきましたね。

JANOG: どういう人からの意見がほしい、どういう人にこのJCを読んでほしいですか?

馬渡: Internet Week 2017で開催したPeering In Japan BoFで、本改訂に関する報告を実施したところ、既にIXに接続している組織の方が多く、そういった方々にとっては、既に分かっている話だったかもしれません。もちろん、そういう方々にも見ていただける文書でもあるのですが、どちらかと言うと、これからIXに繋ぎたい人に見てほしい、そういう方にわかる文書にしたいと思っています。

川上: かつてはIXに繋ぐ事業者はISPが主でしたが、ここ5年くらい見ていると、いろいろな分野で新しく事業を起こして、初めてAS番号を取得されたような事業者がIXに繋ぐケースが増えてきています。まだIX接続に慣れてない人にもわかってもらえる文書にしたいですよね。

平尾: IXはL2屋さんなので、大きいISPを運営しているわけではありません。繋ぎにきている人たちなど、スキルを伝えてくれる人からのコメントがほしいです。

JANOG: 最後に一言お願いします!

馬渡: 細かいことでもいいので、コメントをいただきたいです!JANOGメーリングリストだけでコメントをもらうのは厳しい面があるので、このニュースレターきっかけでも、コメントいただければありがたいです。
 


提案中の文書は、以下のURLから参照いただけます。ぜひご覧いただいて、気がついたことがあれば、コメントをいただければと思います。

https://docs.google.com/document/d/1DWVmvOMGXn_F40WWbmxox2FBc0AAsfwcMUD93d2Y-rs/