JApan Network Operators' Group

発表者インタビュー: ネットワークとムーアの法則に関わる10の予測

1日目(7月27日)のプログラム「ネットワークとムーアの法則に関わる10の予測」で語りたいこと・議論したいことなどを、登壇者の土屋師子生さん(アリスタネットワークスジャパン合同会社)に自由に語っていただきました(あいづち: JANOG40ミーティング実行委員)。


JANOG40ミーティング実行委員(以下、JANOG): 今回のプログラムについて大いに語っていただける、とのことですが。

土屋師子生さん(以下、土屋): うん。まず、タイトルとか概要を見てみんなが気になっていると思われるところから。これオペレーターと関係ないんじゃないのか、というところから。

これまでのJANOGミーティングで、whiteboxに関する発表は何回かあった。

でも、これまでは運用者や使用者が、自分達で作って、使える機器が出たよ、という話しかしてない。

今回は、マーチャントシリコンを導入することでネットワーク設計・運用とかがどう変わっていくのか、という話をしたい。過去のJANOGミーティングで関連してる発表はこの辺かな。

マーチャントシリコンの導入でハードウェアの価格に差異がなくなって、更にホワイトボックスって形である程度の販売価格をユーザーが分かるようになると、付加価値を上げるために独自実装で勝負してくる・せざるを得ない所も出てくるかも。そうなったとき、ユーザー側は本当の意味での標準化技術を見極める能力が必要になってくる。みんながどの技術を使うのか、採用されていくのか、そういう視点が重要になってくるのでは。それがないと、ベンダーに取り込まれて(ベンダーの独自機能にロックインされて)しまうって事もあるかも。

例えば、データセンターデザインを選択して、Trillライクのプロトコルって事を選ぶと、ベンダーロックインされるんじゃないかな。そうなるとベンダー側は次は労せず勝てるので、ロックインさせたいって思うかも。ユーザ側はインターオペラビリティがなくなるとか、数年後そのベンダーや機器やOSが本当に生き残ってるのか、という危険性を抱えることになる。

別の話ではあるけど、ベクトルシャイムの10の予測(10 predictions about networking and Moore’s Law from Andy Bechtolsheim)の6番にもあるとおり、製品のライフサイクルは短くなっていき、どんどん新製品が出てくる。そういった状況でオペレーターはどうすべきか? ネットワークデザインはどうあるべきか? というのを議論したい。IMG_5811.JPG

JANOG: なるほど。今回のプログラムの対象は誰を想定してます?

土屋: 誰がこの話に一番食いつくか、だよね。それはわからん。プロトコルの選択などが、今までと比べてわかりにくくなってくる事も考えられるから、ユーザー側では自分たちでキャッチアップするか、本当の意味での目利きというか、信じられる人の存在が重要になってくるんじゃないか。 現時点で気になっているのはネットワークデザインへの影響かな。あと、ベクトルシャイムの10の予測は運用者にとって、いいことなのか。

何個かアイディアもあって、自分なりの確信みたいなものはあるけど、本当の答えはもってないので、みんながどう考えて、どういう手法をとるか聞いてみたい。事前資料は公開するのでぜひ見ておいてほしい。

JANOG: ありがとうございました。

土屋: じゃ、福島の日本酒を予習しに行こうか。