JApan Network Operators' Group
JANOG41は株式会社インターネットイニシアティブのホストにより開催します。

発表者インタビュー:明日からはじめるネットワーク運用自動化

JANOG41ミーティングDay2(1月25日)のプログラム「明日からはじめるネットワーク運用自動化」について、登壇者の ITOCHU Techno-Solutions America, Inc./NetOpsCoding運営委員 の土屋 太二さんにお話を伺いました。


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JANOG41ミーティング実行委員会 (以下、JANOG) : 応募したきっかけは何ですか?

土屋 太二さん (以下、土屋) : 私自身は前職のISPで働いていた頃からネットワーク運用自動化に取り組んできました。その頃から「NetOpsCoding」というネットワーク運用自動化をテーマにした勉強会も運営しているのですが、そのような場で自動化について他社の人たちと話す機会が多くありました。実際にネットワーク運用自動化について取り組んでいる方々の話を聞いていると、運用現場のレベルで自動化を実現・導入出来ている企業は少なく、「何から取り組んだらいいのかわからない」「開発できる人がいない」「必要なスキルを学べる機会が少ない」という話をよく聞きました。そこで、そういった企業の持つ課題を議論する場として、JANOGはとても良いと思ったんです。というのも、JANOGには多くの運用現場のエンジニアが集まるだけでなく、マネージャーや経営層の方もいらっしゃいますよね。ネットワーク運用を改善することは一人のエンジニアだけで実現することは難しく、自動化することで運用の在り方が変える必要があったり、自動化の仕組みやチーム体制を組織として維持する必要も出てきます。そういった意味で幅広い層の方にネットワーク運用自動化の課題や感覚を理解していただきたいという想いがあって、JANOGでの発表を決めました。

JANOG: たしかに幅広い層の方がいらっしゃるJANOGはぴったりな場所ですね。土屋さんは現在アメリカで勤務されているということですが、自動化に対する意識について、日米で差は感じますか?

土屋: 感じますね。NANOG (North American Network Operators’ Group) 等へ行くと、大規模バックボーンの話をソフトウェアエンジニアが話してたりするんですよね。アメリカではネットワーク部門の中にソフトウェアエンジニアも一緒に働いていたりするケースが多く見受けられます。ネットワーク運用を理解した人が自動化開発に取り組む体制が整っているのが大きな違いですね。雇用が流動的であり多様性を許容する国際企業であれば、そのような混成チームを実現することも比較的可能なのかもしれないのですが、チームメンバーが固定化しがちな日本企業の場合では、成功実績が無い状態でいきなりそのような混成チーム体制を実現することは難しいのではないかと考えています。そのような環境で働く方々ができることの第一歩目として、ネットワーク運用を理解している人が自ら手を動かして、自身の業務を少しずつ自動化していかないと前に進まないと思うんです。とにかく運用者が自らやってみることが大事で、そのために「明日からはじめる」ことが出来るような発表内容にしたいと思っています。

JANOG: 誰でも「明日からはじめる」ことが出来るように、1月9日(火) にはオンラインで「明日からはじめるネットワーク運用自動化 始動編」を開催されるんですよね。

土屋: はい。本プログラムでの発表時間は60分と限られているので、始めはプログラミングの基本知識は省略して、ルータの設定自動化くらいから入ろうと思っていました。ですが、本プログラムに参加される方の中にはプログラミング (今回使用する言語は Python) そのものがハードルに感じる方もいらっしゃると思うんです。そこで、本当に誰でも「明日からはじめる」ことが出来るように、始動編では Pythonの基本的な書き方 (まずは変数や if 文・ for 文からはじめて、応用として正規表現やテンプレートエンジン、JSONファイル連携などもカバーする予定です) を皆さんに馴染みのあるネットワークを例題に説明していこうと思っています。

JANOG: プログラミング初心者の方も安心ですね!また、本プログラム前日 (1月24日 Day1) には「ネットワーク運用自動化BoF」も開催されるんですよね。

土屋: そうなんです。BoF は長久 勝 (国立情報学研究所) さんに誘っていただいて、一緒にやることになりました。自動化の実例が知れることはもちろんのこと、現場でネットワーク運用自動化にチャレンジしている人たちの温度感や本当に困っていることを聞けるのはBoFの形が一番なんじゃないかと思っています。また、現地に来られない方のために本BoFはリモート発表もサポートする予定です!自動化に取り組んでいる人はコアネットワーク担当の人ではないケースも多く、出張理由が作りづらいみたいなんですが、そういった方もリモートでどんどんJANOGに参加して欲しいです!

JANOG: 本プログラムだけでも十分参考になりますが、始動編やBoFがあることでより誰でも「明日からはじめ」やすくなっていますね!それでは、最後に一言お願いします!

土屋: 今はまだネットワーク運用自動化のスキルセットを学ぶ機会が少なく、プレイヤーも多くありません。ですが、オペレーターが自分たちで運用をより良くしていこうという流れは来ていると思うので、このチャンスを逃さずにキャッチアップして欲しいです!そして、会社に持ち帰ってすぐに実践していただきたいです!これをきっかけにみなさんの職場のネットワーク運用業務がより良くなって欲しいですし、もしすぐに実現出来なくても、実現するための職場でのディスカッションのきっかけになったら良いなと思います。

JANOG: 土屋さん、ありがとうございました!


インタビュー時、ニュースレターに載せきれないほどのアツい想いを語って下さった土屋さん。

ネットワーク自動化三部作、今から楽しみですね!