JApan Network Operators' Group
JANOG41は株式会社インターネットイニシアティブのホストにより開催します。

発表者インタビュー:福岡大学における公開用NTPサービスの現状と課題

JANOG41ミーティングDay3(1月26日)のプログラム「福岡大学における公開用NTPサービスの現状と課題」について、登壇者の福岡大学情報基盤センターの藤村 丞さんと、同大学のNTP運用を担当されているNTT西日本の谷崎 文義さんにお話を伺いました。


JANOG41ミーティング実行委員会(以下、JANOG): これまで福岡大学におけるNTPに関するお話は、様々な場所で講演をされていますが、今回JANOGのプログラムに応募したきっかけを教えてください。

  • これまでの講演
    • 2016年7月:JANOG38 沖縄BoF
    • 2016年9月:第35回インターネットと運用技術・第20回セキュリティ心理学とトラスト合同研究発表会
    • 2017年2月:APRICOT 2017
    • 2017年6月:QUNOG8
    • 2017年10月:ENOG47

藤村 丞さん(以下、藤村): 当大学におけるNTPサービスの現状と課題について、これまで話をしてきましたが、トラフィック減少が見られず、課題の解決に至っていないことから、もっと多くの方々に現状を知って頂きたいと思ったからです。また、自分達だけでは、対応に限界があると思ったこともあります。

JANOG: トラフィックの減少が見られないということですが、どの位のNTPトラフィックがあるのでしょうか。

谷崎 文義さん(以下、谷崎): 160~180Mbps程度です。これは大学で対応できるレベルを超えていると考えます。詳細については、プログラムの中でお話ししますが、日本以外からのトラフィックが多くを占めています。

JANOG: すごいトラフィックですね。詳細が楽しみなところですが、福岡大学が公開用NTPを開始されたのはいつ頃からですか?

藤村: 1993年の初め頃に、汎用機の手動オペレーションで時刻設定を誤って大変な思いをしたことから始まったそうです。人手では誤りが発生することから、なんらかの方法で自動化が必要ではないかということで実装をはじめて、1993年10月に実験的に公開NTPサーバの運用を開始したと聞いています(*1)。

(*1) https://www.ipc.fukuoka-u.ac.jp/column/y2008/m10/

JANOG: 長い歴史があるんですね。その中でトラフィックの問題が顕著になってきたと。

谷崎: はい。1993年当時はインターネットで時刻同期することそのものが実験でしたが、現在では各社から専用アプライアンスが販売されるなど、ビジネスとして成立していて、実験の時代は終わったと思っています。

JANOG: なるほど。最終的にはサービスを辞めるべく模索中ということですが、とある方の12/19のtweetをきっかけに少し動きがあったようですね。

谷崎: そうですね、ようやく動きだした感がありますが、これは氷山の一角だと思っています。

JANOG: なるほど、もっともっと伺いたいことがありますが、続きはJANOGで明らかにしていただければと思います。最後に一言お願い致します。

藤村: はい、2点あります。一つは、現状をもっと多くの方々に知ってほしいということです。サービスや製品の設計は重要なことはいうまでもありませんが、このサービスの現状を知っていただくことで、みなさんたちのサービスや製品を振り返ってみていただければと思っています。
二つは、時刻の重要性です。『使えるところをなんとなく使う』でいいんだろうか?ということをお伝えして、みなさんが再考するキッカケになればと思います。

JANOG: 分かりました。今日は、お忙しいところありがとうございました。プログラムで色々と語っていただけるようですので楽しみにしておきます!!

ntp.jpg
福岡大学のNTPサーバを囲んで、藤村さん(写真左)と谷崎さん


福岡大学、藤村さんの取り組みやご苦労について、ぜひ、広島で、直接いろいろ聞いてみてもらえればと思います。