JApan Network Operators' Group
JANOG42は株式会社ZTVのホストにより開催します。

JANOG42の第7回ニュースレターはプログラム「IPv6アドレスの番号計画、どうしてますか。〜 あれっ、みんなどうしてんだろう 〜」についてお届けします。

 


JANOG42ミーティングDay3(7月13日)のプログラム「IPv6アドレスの番号計画、どうしてますか。〜 あれっ、みんなどうしてんだろう 〜」について、
登壇者の日本インターネットエクスチェンジ株式会社の中川 あきらさん(以下、あきらさん)、株式会社インターネットイニシアティブの松崎 吉伸さん(以下、松崎さん)、さくらインターネット株式会社の吉岡 渉さん(以下、吉岡さん)、広島大学の近堂 徹さん(以下、近堂さん)にお話を伺いました。

ipv6.png

左から、広島大学の近堂 徹さん、さくらインターネット株式会社の吉岡 渉さん、日本インターネットエクスチェンジ株式会社の中川 あきらさん、株式会社インターネットイニシアティブの松崎 吉伸さん

 

JANOG42ミーティング実行委員(以下、JANOG)

今回、なぜこのテーマを取り上げようと考えたのでしょうか?

あきらさん

ご存知の通り、IPv6はもうすでに世の中に普及しており、本格的に取り組んでいく時期になっていますが、
まだIPv6について考えていない人が居るように感じています。
また、アドレス分配の視点から見ると、IPv4では向こう1年分のアドレスしか分配されませんでしたが、
IPv6では一度に膨大な空間を得られるため、長期的な計画を行う必要が出てきます。
よって、これまでIPv6を利用・運用してきた各方面の技術者の番号計画を参考にして頂き、
これからIPv6を扱おうとしている方、もしくは既に扱っている方に向けて、
IPv6の運用がやりやすくなればよいなと考えたのが本テーマのきっかけです。

JANOG

まさに、今回のJANOG42のテーマである「つなぐ、つたえる、つみあげる」に相応しい発表ですね。

あきらさん

そこは意識していませんでしたが、偶然に一致してましたね。(笑)

JANOG

そもそもIPv6のアドレスにはどのような特徴があるのでしょうか?

近堂さん

広島大学の学内構成員に対してIPv6の説明を行うと、第一声で「長いっ!」と言われます。
しかも、16進数にあまり馴染みがなく、わかりにくいと言われるケースが多いようです。
ただし、実際のところは利用者がIPv6アドレスを意識するケースは少ないと思います。

吉岡さん

IPv4と異なり、IPv6はネットマスク長が/64で固定というのがアドレス設計上楽になっていると思います。
また、「::1」のように省略出来るというのはIPv6アドレスならではのメリットだと思います。

省略によって設定も楽になります。
 

JANOG

IPv6とIPv4を併用(デュアルスタック)する場合、IPv6の番号計画時にどのような考慮が必要でしょうか?

吉岡さん

IPv6アドレス番号計画の最適解は組織によって異なると思いますが、
本プログラムでIPv6アドレス番号計画の考えの一つとして情報提供できればと思っています。
例えば、16進数は運用を考えると分かりづらいと思いますし、
IPv6アドレスが長いとconfig投入やトラブルシューティングが大変になります。
この辺りを本会議でみんなで議論できればと考えています。

近堂さん

これまで運用してきたIPv4のネットワークの中に、IPv6を入れていく難しさがあると思います。
これまでのIPv4の運用ノウハウがありつつ、IPv6での広いアドレス空間を生かしてどのように番号計画するかのバランスを考えないといけないと思います。
例えば、IPv4アドレスを埋め込んだほうが良いとか、VLAN IDを埋め込んだほうが良いとかいろいろな選択肢があります。
本会議では、これまでの運用ノウハウとIPv6アドレスの特徴を活かしたいという思いを、どう表現していくかに面白みや色々なヒントがあり、そこが根本的なところか否かなどで話が盛り上がると考えています。

JANOG

話変わりますが、今後IPv6はどのようになっていくとお考えでしょうか。

松崎さん

世界的に見るとIPv6の普及が徐々に進んでおり、ソフトウエアや機器が標準でIPv6をサポートしているため、
IPv6の取扱はしやすくなっている状況にあります。
特にモバイルの世界ではNATの限界が来ており、IPv6を採用している事業者が多いほか、
若い世代でのモバイル利用増のため、IPv6を無視できない時代に来ていると思っています。
インターネットトラフィックを見ても、インドではfacebookトラフィックの50%がIPv6で、アメリカでは70%となっているそうです。

エンドユーザーは世界的にはIPv6を意識せずに使っています。
将来的には今後もっと伸びていくと考えています。
もしかすると、今後30年位を考えると、ネクストバージョンも考えなきゃいけない時期かもしれませんが、
当面、僕達が現役で働いている間は、IPv6が主流になっていくんじゃないかなと考えてます。

JANOG

最後にIPv6だからこそできる、IPv6ならではの管理方法があったら面白そうですが、
当日はそういったお話しが出そうですか?

松崎さん

当日ババン!と発表があります。笑

吉岡さん

IPv4のように、細々とした苦労をして管理しなくてもいいってのは一番のメリットですね。

近堂さん

IPv6なら「/64」割当てしておけばよく、IPv4のようにサブネットを拡張する必要がないため、管理は楽だと感じています。
なので、IPv6オンリーに早く移行したいなぁ、と感じています。

JANOG

本会議当日はいろいろな議論が出てきそうですね。
会場を巻き込んでいろいろな討論が出来ると面白そうですね。
本日はありがとうございました。