若者支援プログラム支援側へのインタビュー

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上段:近藤さん、鶴巻さん、髙木さん
下段:芝村さん、天野

JANOG52企画構成委員の天野です。今回のニュースレターはJANOG若者支援プログラムの紹介です。

そもそも、「JANOG若者支援プログラム」(以下:若者支援プログラム)とは、一般社団法人IPネクスト育成協会さんによるJANOG本会議の現地参加を支援する取り組みです。JANOG本会議に参加したいけど、金銭的な部分がハードルになっているという学生へ交通費、宿泊費、懇親会参加費用を支援しており、今回のJANOG52でも実施されます。

この若者支援プログラムはIPネクスト育成協会をはじめとする多くの方の支えによって成り立っています。この活動を継続していくには若者支援プログラムに対する想いを共有し、賛同していただける方を増やしていく必要があると思います。そのために今回は、若者支援プログラム支援側へインタビューを行いましたので共有させていただきます。

参加者紹介

鶴巻 悟さん 一般社団法人IPネクスト育成協会 代表理事
JANOG12でプログラム発表として初めてJANOGに参加。計9回発表を経験し、スタッフとしては実行委員長やプログラム委員長なども経験。JANOG16,19,36ではホストとして参加。

近藤 邦昭さん 一般社団法人IPネクスト育成協会 理事
NANOG9でJANOG設立を構想したメンバーの一人。(JANOG創設者)2000年から2007年まで会長を務めた。その他にもFlowOpsの立ち上げやJANOGがから派生したOpsグループ支援なども行っている。

芝村 正志さん 一般社団法人IPネクスト育成協会 理事
JANOG8で初参加以降、数多くのJANOGに現地参加。発表での登壇も複数、スタッフとして全種類の経験あり。九州・沖縄地域のNOGであるQUNOG(きゅうのぐ)のお世話係としての一面も。

髙木 萌さん 若者支援プログラム サポーター
JANOG38沖縄、JANOG40福島で若者支援を受けた。スタッフ、登壇も経験し、現在は若者支援サポーターとして活躍中。

若者支援プログラムができた経緯

天野:若者支援プログラムができた経緯について教えてください。

鶴巻さん:JANOG35において、当時のホストであるふじのくに情報ネットワーク機構さまが「ダイヤモンド・インキュベーションプログラム」として実施したのが始まりです。JANOG35に続き、JANOG36でも若者を支援する活動をやっていこうということで、若者支援プログラムという形になり、現在に至ります。

天野:そのような経緯があったんですね!もう少し当時のことを教えて頂いてもよろしいでしょうか。

鶴巻さん:今でこそ10代や20代の参加者は増えていますが、当時は参加者がほとんど変わらなかったため、1年経つと参加者平均年齢が1歳上がる感じでした。特に学生が参加するのは本当に稀でしたね。大学でもアプリケーションの開発に注目が集まり、インフラに興味のある学生が減っていたので、若者にネットワークの楽しさを伝えたいという想いからこの活動を始めました。

若者支援プログラムの今後

天野:今後の若者支援プログラム、若者支援者に期待すること、展望について教えてください。

芝村さん:若者支援プログラムへの門戸を広げたいと思っています。現状として、プログラムを知っている研究室や大学は学生に対して参加を促すことができます。しかし、この取り組みを知らない組織や学生がまだまだ多いことが課題だと感じています。そのため、この活動を知らない人に伝える点に力を入れていきたいなと思っています。

天野:確かに、悪いことではないですが、参加者が特定の大学や研究室に偏ってしまうことはあるかもしれないですね。私もJANOG51で若者支援者として参加させていただいたのですが、QUNOGの影響なのか九州地方の大学の方が多いと感じました。

鶴巻さん:QUNOGの影響はあると思います。JANOG36では九州産業大学や九州工業大学の教授、学生のみなさんなどに協力いただき、会場ネットワークの構築を行いました。そのような繋がりが学生に与える影響は大きいと思いますね。

髙木さん:私も当時お世話になっていた大学の先生やJANOGに参加していたサークルのメンバーに勧められてJANOGに参加した経緯があります。そのため、参加者には是非、情報発信をして欲しいと思っています。参加して良かったことや意外だったことなど何でもいいのでブログやSNSなどでアウトプットすることで次に繋がると思っています。

近藤さん:芝村さんも仰っていましたがやはり門戸を広げたいという想いはあります。もちろん同じ研究室の方ばかりが参加することが悪いわけではないですが、私たちの想いとしては幅広い方に参加して欲しいとは思っています。

髙木さん:他のネットワーク関係のイベントであの時若者支援として参加していた○○です!や若者支援で参加した子が数年後に○○に就職しましたと言って会社の名刺を渡してくれることがあったので、そのような流れが続いていって欲しいと思っています。JANOGに参加しようと思っていくれる学生がいなくなったら私たちは何もできないので、その流れを絶やさないことが重要ですね。

若者支援プログラムの今後についてもう少し

天野:若者支援プログラムを広げる、絶やさないための具体的な活動についてもう少し詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか。

芝村さん:若者支援で来ても議論のハードルが高いなど学生にとっては大変な部分もあると思います。来てくれた学生が嫌悪感を持たずにいい印象で帰ってもらうようサポートする努力はしていますね。

鶴巻さん:最近は地域NOGが盛り上がっているので地域NOGのみなさんとも連携して、若者支援プログラムを告知していきたいと思っています。

芝村さん:私は個人的にQUNOGのお手伝いもしているので、昨年、QUNOGの学生支援プログラムを立ち上げました。このプログラムは九州の学生を対象に、QUNOGへの交通費や宿泊費などを負担するという活動です。沖縄に行きたい!という「不純な動機」でもいいので、とりあえず、QUNOGに来てもらいインターネットを好きになって帰ってもらえればいいと思っています。このような活動をまずは地域から始めて全国に広げたいですね。

近藤さん:あと協会としてやっているのは、偉い人とご飯に行かせるという活動をしていますね。学生さんからすると社会の第一線で活躍している人と話す機会はほとんどないと思うので貴重な機会となっていると思います。

天野:私も多くの方とお話させていただきました。学生だと実際にサービスを提供している人と話す機会は少ないので非常にありがたかったです。就職活動でも会社の人とはお話できますが、どうしても選考のことを考えてしまうので、技術や今後のことについてざっくばらんにお話できるのでいい経験になりました。

若者支援プログラムの選考方法

天野:若者支援プログラムの選考方法について教えてください。

鶴巻さん:最終的な選考の可否は若者支援プログラムの選考委員を設け判断しています。若者支援プログラム選考委員には大学の教授をされている方やJANOGの運営委員などに協力していただいています。最終判断の前段階として、応募の際の志望動機と面談を応募者にはお願いしています。

天野:私が以前、若者支援プログラムに応募した時は、選考を通過させる前提の面談だと感じました。実際はどうなのでしょうか。

鶴巻さん:私たちとしては、落とす気で面談をしているわけではないので、基本的には応募者全員に来て欲しいと思っています。面談ではJANOGへの意気込みを一番重視しています。情報系の学部の方はもちろん歓迎しているのですが、情報系でない方の応募も歓迎しています。過去の若者支援プログラムでは情報系ではない方も参加しています。そういった意味では門戸は広がっていると思っています。ただ、予算に限りがあるので、応募人数によっては選考の必要があるというのが現状です。

支援企業・賛助会員について

天野:多くの方の支えにより、若者支援プログラムが成り立っていると思います。実際に、IPネクスト育成協会のホームページには多くの支援企業や賛助会員の記載がありました。これらの企業が支援企業になった経緯について教えてください。

鶴巻さん:JANOGのホストをしていただいた企業が若者支援プログラムに賛同していただき、支援していただいている場合が多いです。それ以外にも、私たちの活動に賛同していただける方から寄付していただいています。

天野:支援するための条件はあるのでしょうか。

鶴巻さん:賛助会員は、一口10万円での寄付をお願いしています。また、個人向けにはSyncableという非営利団体向け寄付フラットフォームを通して、寄付をお願いしています。

近藤さん:IPネクスト育成協会としては、若者のネットワークエンジニアを育てることを目標としているので、実はJANOGに行かせることだけが目標ではないです。今はJANOGに行かせるということを中心に行っていますが、今後他のイベントや活動があればそちらへの参加も促していこうと考えています。なので、「IPネクスト育成協会=JANOG若者支援」ではなく、「IPネクスト育成協会=若者のエンジニアを育てる」の方が正しいですね。

天野:支援企業や賛助会員になるとIPネクスト育成協会のホームページに会社名を記載していただけるという認識でよろしかったでしょうか。

近藤さん:そうですね。法人で寄付をしていただいている場合は法人名を記載させていただいております。個人の応募に関しては、記載しておりません。

天野:支援企業や賛助会員へ一言お願いします。

鶴巻さん:IPネクスト育成協会の活動を支援していただきありがとうございます。支援していただいている方のお気持ちによりこの活動が成り立っています。もし、この活動に賛同していただける方がいらっしゃいましたら、検討していただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

若者支援プログラム応募者へアドバイス

天野:今後、若者支援プログラムへの応募を検討している方、ネットワーク業界に興味のある学生に一言お願いします。

鶴巻さん:いろんな人と関わる、輪を広げることを意識して参加していただければいいと思っています。もしネットワークに興味があるのであれば、是非参加して欲しいです。

近藤さん:分からないことがあったらとにかく聞くことですね。聞いて怒る人はいないので、そこら辺の人を捕まえてどんどん聞けばいいと思います。若者支援です!って言えばみんな優しくしてくれます。

芝村さん:受け身の感覚で行くのではなく、議論に参加するなり、意見を持つなり主体的に動いた方が実りのある時間となると思います。

髙木さん:臆さず、聞くことが重要だと思いますね。全然わからなくても協賛ブースに行ってみたり、プログラムで質問してみるなどJANOGに参加したからこそできることを是非経験して欲しいです。今まで100名を超える学生が若者支援としてJANOGに参加していますが、誰一人として質問して怒られたという話は聞いていないので大丈夫です!


いかがだったでしょうか。

私も前回若者支援者として参加させていただき、多くの学びを得ることができました。ネットワークに関する知識が無くても皆さん優しく教えてくれるので少しでも興味があれば、是非参加して欲しいと思っています。今回のJANOG52に参加できなくても、来年の1月頃にはJANOG53が福岡で開催されますので、参加を検討してみてください。

また、今回インタビューに協力していただきました、4名の方に感謝申し上げます。

JANOGスタッフ一同心よりお待ちしております。