概要
IPv6が一般的に利用されるようになった今でも、IPv6でUPnPが使えない状態(対応ルータ/クライアントが存在しない)は続いており「IPv6がIPv4に劣る部分」として根深く残っていた。上記を含めたIPv6にまつわるUPnPの諸問題を解決すべく、昨年度より株式会社コナミデジタルエンタテインメント・NECプラットフォームズ株式会社の両社で共同研究・検証という形で対応を進め、2023年9月にIPv6でUPnPが動作するルータ/ゲームクライアントが市場に投入されるところまでたどり着いた。
セッション前半では、検証から市場投入までの流れや、現時点でのルータ・ゲームクライアントの実装について解説する。また、上記2社以外の実装/活用については、JAIPAが主催するゲームNW接続性WG内のSWGにて、情報共有や意見交換を交え進行中であり、そちらの状況についても共有する。
セッション後半では、IPv6向けのUPnPという技術について各業界に向けた下記メッセージを送りつつ、会場で議論を行います。
- To ルータベンダー、ISP
- ルータ側で対応 / OEMで対応ルータを採用することで、ユーザのIPv6通信体験を向上させることが出来ます。また、IPv6トラフィック比率を増加させることにつながり、IPv4維持のコストカットが見込めます。
- これまではUPnPというと暗黙にIPv4というコンテキストでしたが、今後は IPv6 / IPv4 という可能性があるため、カスタマーサポートの際には注意してください。
- To コンテンツベンダー
- クライアント側で対応することで、ユーザのIPv6通信体験を向上させることが出来ます。また、従来IPv4 UPnPを使わなければ実現できなかった機能(特別な設定なしにインターネットから家庭内ネットワークの機器を直接操作する等)が、IPv6でも実現可能になります
今回の9月の市場投入を皮切りに、今後各ルータベンダー/コンテンツベンダーでの実装が進み、冒頭に挙げた問題の改善が進むと思われる。 IPv4に依存していた箇所の見直し、IPv6通信比率の増加・品質向上のため、みなさんも是非対応しましょう!
最新参考資料(入門編)
参考資料1:今回のIPv6向けUPnP技術に関して、国内初の製品化に伴うプレスリリース
参考資料2:過去の関連講演(今回の講演内容は、これらの延長線上となるものです)
- JANOG49 「IPv6版ポート解放!? UPnPでWANIPv6FirewallControlを使った ゲームのP2P通信をしてみた!」
概要:IPv6でUPnPが実装されていないことに対する問題提起と、試験的な実装に関する報告。この講演がきっかけで、今回の正式実装・市場への展開が進行。 - CEDEC2022「ゲームにおけるIPv6向けUPnPの活用可能性と実装検証」
概要:IPv6向けのUPnP実装に関する試験実装の相互検証結果報告。また、ゲームクライアント・ルータの双方の視点から実装のベストプラクティスを解説。 - JANOG51.5「「IPv6ポート開放」という概念を整理・理解しよう」
概要:IPv6でなぜUPnPが必要なのか?という理由のうちの一つ「IPv4で行なっていたポート開放が今のIPv6だと出来ない」という問題について掘り下げて説明。
場所
QTnet room(306)
日時
Day2 2024年1月18日(木) 15:00~15:45(45分)
発表者
公開資料
SLACKチャンネル
#janog53-ついにipv6向けupnpが実運用フェーズにーゲームのp2pオンライン対戦での活用フィードバックを添えて
アーカイブ配信
アーカイブ配信は2024年2月29日(木) 13:00をもって公開終了しました。