JANOG50ミーティング 企画編成委員の小林です。

Day3 (2022年7月15日) 13:00から1F武道館A+Bで行われる 「ネットワーク自動化に必要なデータとその管理方法と活用方法とは?」 の発表者である、株式会社エーピーコミュニケーションズ 横地さん、ジュニパーネットワークス株式会社 塚本さん、合同会社 DMM.com 大山さんにお話を伺いました。

上段左から 小林、大山さん、塚本さん
下段左から 神谷、横地さん、立松

このプログラムのキーワードのSSOTについて教えてください

横地さん:ネットワーク機器の設定情報や構成情報など人間が管理している台帳的な情報と、実機そのものの状態が運用上のミスや管理上の不手際によって差分が出てしまうことがあると思います。
SSOTとはSingle Source of Truthという考え方で、唯一の正しいソースを作ることで、ドキュメントと実機の差分をなくし、かつ関係者が同じデータを扱うことで、正しい情報を保てるようにしようという考え方です。

塚本さん:例えば運用部や管理部で同じ製品を管理していたとしても、運用部ではアプライアンスの設定やIPアドレスの管理をし、管理部ではどこで買ったかや減価償却がいくらかを管理していると思います。
もし、各部が分散管理をしていると、実際には破棄したのに会計処理では残っているなど不整合が起きてしまう。
SSOTの考え方を取り入れ、分散多重管理を一つにまとめた方が管理上や運用上のメリットは大きいと思います。

大山さん:SSOTはネットワークの自動化だけの話ではなく、データの扱い方の用語で使われます。
特にハイパージャイアント企業は、SSOTの考え方でNWの自動化を行っています。
日本ではこの考え方についてあまり議論されていない内容なので、会場で意見交換ができると嬉しいです。

小林:自社では使いやすいようにツールの内製化をしているのですが、情報が多重管理されてしまっていました。
どのようにツール間の横通しをするのかということに課題は持っていたので、とても興味深い内容ですね。

大山さん:DMMでも自社で内製するという選択をしていて、独自の要件に対してすぐに対応できるなどの利点はあると思っています。
ハイパージャイアントでも同じような考え方で開発しており、この選択は正しかったと思えますが、彼らがどのような手段を用いているかわかっていないです。
より良い手段があれば取り入れたいので、本会議では分野にこだわらず広く意見を募って議論できると嬉しいです。

現状の困りごとについて教えてください

横地さん:SIerの立場として運用者が何が困っているか、リアルの話を聞きたいと思っています。
SIerとして作って終わりというわけではなく、運用も見据えたものを作りたいと考えています。
会議では運用者がどういう課題を持っていて、どういう解決手段があるのかといった引き出しを多くしたいと考えています。

塚本さん:SSOTという考え方ややり方は調べれば出てくるのですが、リアルの課題感については調べても出てこないです。
あと、ハイパージャイアントの事例は特定の話なのか、一般的な話なのかということも気になっています。
JANOGの本会議では、リアルな課題感や取り組みを聞ける場にしていけると嬉しいです。

大山さん:運用者の立場として課題はあるが、SSOTに対してどういう手段を取れるかということに興味があります。
我々は「OSSを拡張する」のか、「商用製品を使う」のか、「内製化を進める」のか、「やらない」という選択肢の中で内製化を進めるという選択を取りましたが、本当に我々がやっていることが局所解になっていないかが心配です。
また、5年前の当時の調査から現在のアップデートをし、それぞれの方法の良いところと悪いところを見直したいと思っています。

最後に参加者に向けてお願いします!

横地さん:このテーマは過去のJANOGであまり扱われてこなかったテーマだと思っています。
せっかく採択してもらったので、幅広く意見を交換する場にしていきたいです。
本会議は私たちが情報を提供する場ではなく、参加者同士の意見が色々な方向に飛び交う場となればいいなと思います。

塚本さん:JANOGは運用者も含めて色々な立場の人がおり、意見交換としてはとても良い場所だと思っています。
この議論に正解は無いとは思いますが、何らかの方向性であったり新しい発見が得られる場となれば嬉しいです。

大山さん:DMMの情報管理の過去から現在までの事例や学びを共有していきます。
我々の手段については批判的にみていただいて、より良い方法があれば参考にしたいのでご意見いただけると嬉しいです。

インタビューにご協力いただきありがとうございました。