JANOG50企画編成委員の塩沢です。

プログラム紹介のニュースレター第7弾となる今回は、Day 2の16:15~17:45に開催の「スプリンターネット」について紹介します。会場はメインアリーナ、懇親会の前に開催される2日目最後のプログラムです。

今回は発表者の東日本電信電話株式会社の水越 一郎さん、JPNICの前村 昌紀さん、 BBSakura Networks株式会社の白畑 真さん、中央大学 総合政策学部教授の実積 寿也さんに、お話を伺いました。

「スプリンターネット」というタイトルですが、このプログラムを応募した理由を教えてください

水越さん:もともとはセキュリティ関係の時事ネタについて取り上げる勉強会を開いていたのですが、その中で「ウクライナ政府からのICANNに対する要請」という記事を見つけたのかがきっかけです。そのことについて調べていたら前村さんが解説しているブログを見つけ、これはJANOGで議論したいと思って前村さん達にお声がけして応募しました。

ウクライナ政府からICANNにはどのような要請があったのですか?

前村さん:2022年2月に、ウクライナ政府から ICANNに対して、ロシアのccTLD (.ru , .su , .РФ)の無効化、これらのccTLDに対するSSL証明書の無効化、ロシアに設置された2つのルートDNSサーバの無効化という3点の要請がありました。
ICANNのような国際的なインターネットの資源管理団体は政治から独立しておりそのようなことはできないような仕組みになっています。どういう仕組みで政治独立性を担保しようとしているのか、他方で今回のような政治性の影響を受けざるを得ない局面というのもあるのでそれをテーマを議論したいと思っています。

実積さん:今までインターネットを支える仕組みはボーダレスでやってきたのに、急に国境ができてしまっています。これまで裏方だったインターネットが政府からしたら武器の一つとして使われるようになってきたのは重要な課題だと思ったので、水越さんには一番質問をしやすい壇上に上げてほしいと頼みました(笑)

白畑さん:今インターネットの形が変わりつつある節目だと思っていて、その世界観や構図をみんなと共有して議論できる機会を作りたいと思ったのがきっかけです。全世界的に何がおきているかを大局的な観点で紹介したいと思っています。

プログラムの内容について教えてください

水越さん:まずは司会の実積さんから、スプリンターネットの定義や今回の経緯を時系列を追って説明していただきます。その後、前村さんからはICANNといった国際的な団体からみた観点、白畑さんからはGAFAMといったBig Tech からみた観点、最後に私から国内事業者からの観点と、それぞれ異なる立場からみた スプリンターネットの動向や課題ついて切り込んでいきます。

また、今回は議論の時間も多めにとる予定です。参加者の皆さんも巻き込みながら、「スプリンターネット」に対して様々な意見を交換できれば思っています。

最後に、参加者に一言お願いします

白畑さん:いろんな方にインターネットガバナンスも含めて広い意味で興味を持っていただけると思います。

水越さん:自分が聞きたいと思ったセッションを企画したので、みんなも食わず嫌いをせずに聞きに来てください!

前村さん: 今回のセッションの打ち合わせだったり、他の会議でこのテーマ話しているうちに、考えが進んで別の見方し始めたりして、私自身が楽しんでいます。皆さんもご一緒に!

インタビューにご協力いただきありがとうございました。様々な視点からインターネットの今後のあり方についても議論できるようなプログラムでとても楽しみです!