ネットワーク作業自動化の道: 信頼性と効率性の両立

概要

KDDIでは多くのお客さまに快適で安定した通信サービスをご利用いただくために、その基盤となるIPネットワークの維持・メンテナンス作業を日々実施しています。
お客さまを第一に考えた品質意識の高さから、絶対に作業ミスを発生させないよう、IPネットワークを扱う作業の多くは「実績のあるCLIを中心とした人手による作業」でした。さらに、新しい自動化技術を組み入れることにより発生し得るサービス影響リスク、大規模かつ多岐に渡るネットワークへの市販自動化ソリューションの適用の困難さから、作業の自動化が進んでいませんでした。また、自動化を取り入れたとしても「導入した自動化の仕組みが属人化し、広まらない」という問題もあり、自動化が進まない別の理由の1つとなっていました。

近年では通信サービスが重要な社会インフラとして浸透しており、商用作業の安全性に向けられる目は一層厳しくなっています。しかし一方で、大規模であるがゆえに人手による作業でミスをなくすには限界があるという考え方も市民権を得るようになってきました。IPネットワークが担うサービスの多様化と共に必要な作業数が増大しており、業務効率化のためにも自動化の機運は高まっています。しかし、作業ミスを起こさないことを保証しつつ新たに作業自動化の仕組みを導入することは、これまで人手×CLIによる作業を中心としてきたIPネットワークエンジニアにとっては大仕事のように捉えられ、二の足を踏んでしまうのも事実でした。

本発表では、作業の自動化を進めたいが、高い安定性・信頼性を求められる大規模ネットワークに対し、人手作業からの脱却にハードルを感じていたネットワークエンジニアと、そのネットワークエンジニアを後押しするために立ち上がったソフトウェアエンジニアとがコラボレーションし、どのように作業自動化の困難を乗り越えたかについて、そのアプローチと開発したプラットフォームについて紹介します。

自動化に不慣れなネットワークエンジニアでも活用できる自動化プラットフォームを目指し、利用者個々人の環境構築を必要としないJupyterの共通基盤をクラウド上に構築。ノウハウの伝承や万一のトラブル発生時に作業者が判断をしやすくすることを目的に、実行コマンドを単にスクリプト化するのではなく、作業ステップの順序や意義、期待される作業結果をJupyter Notebook形式で一緒に管理するようにしました。さらに、再利用性を高めるテンプレート化支援の仕組み、常に最新のテンプレートを作業に利用できる仕組みも開発しました。また、汎用性も考慮したプラットフォーム設計により、陳腐化しにくく属人化を防ぎ、継続利用を促進するプラットフォームとなりました。これらの取り組みで、自動化の恩恵である効率化と作業の均一化によりエンジニアの負担軽減と人為的な作業ミスの削減が実現されたのはもちろんのこと、プラットフォームの支援によりネットワークエンジニア自らが自動化に取り組み、広げていこうというモチベーションの向上も実現できました。

最後に、本発表では、皆様と以下の点についてお話したいと思います。

[主なトピックス]
・どうして自動化したいのか?(自動化のメリット)
・自動化に立ちはだかる壁(スキル、社内の理解を得られない、とっつきにくい)
・ネットワークエンジニア+ソフトウェアスキル
・作業手順書作成の効率化(Jupyter、Jinja2のテンプレート作成支援)
・スキルの習得と継承をどのように行うか
・常識にとらわれないクロスファンクショナルチームの構築

議論ポイント

・皆さんの現場にも自動化の壁はありますか?ありましたか?どのような壁でしたか?

・皆さんの現場で利用している自動化ツールは何ですか?なぜそれを使っていますか?

・ネットワークエンジニアがソフトスキルを持つべき?どのぐらいのレベルが必要?

場所

第3展示場A

日時

Day2 2025年1月23日(木) 13:30~14:30(1時間)

発表者

祐斗
Yuto Kishi
KDDI株式会社
長野 知幸
Tomoyuki Nagano
KDDI株式会社
藪原
Osamu Yabuhara
KDDI株式会社

公開資料

【公開資料】ネットワーク作業自動化への道_信頼性と効率性の両立

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