JANOG51企画編成委員の川越です。今回のニュースレターは若者支援プログラムのご紹介です。

JANOG若者支援プログラムとは、一般社団法人IPネクスト育成協会さんによるJANOG本会議の現地参加を支援する取り組みです。

JANOG本会議に参加したいけど金銭的な部分がハードルになってるという学生へ交通費、宿泊費、懇親会参加費用を支援するというものになりますが、JANOG51でもこの支援が実施されます。

JANOG51のテーマは“動き出す、一歩”ということもあり、「JANOGに参加してみたいけどこのプログラムに応募するかどうか迷っている」学生へ「実際に参加した側からの参加を後押しするコメント」などをお伝えしたく関係者による座談会を実施しました。

JANOG51スタッフの中から実際に若者支援プログラムを受けたかたと IPネクスト育成協会代表理事の鶴巻さんにお話を伺いましたので、応募を迷っているかたへの手助けとなればとても嬉しいです。

参加者紹介

若者支援プログラムでの支援経験者

嶋 勝也さん JANOG51実行委員長
 JANOG40@福島で支援を受ける。研究室の先輩から若者支援の存在を知る。
 若者支援がきっかけで一般参加、登壇、スタッフを経験。
 学生時代何者でもなかった自分をネットワークエンジニアにしてもらったコミュニティのためにもJANOG51では若者支援のサポートをしたい。 

井上 祐一郎さん JANOG51プログラム委員
 JANOG45@札幌で支援を受ける。ICTSCでJANOGを知った。
 JANOG44のランチ企画で若者支援の存在を聞き応募。スタッフ活動が楽しいことも聞き、スタッフとしても参加。 

髙木 萌さん JANOG51企画編成委員
 JANOG38@沖縄、JANOG40@福島で支援を受ける。
 友人から若者支援の話を聞き応募。その後若者支援サポーターとして支援する側に回る。スタッフ、登壇も経験し、現在はJANOG運営委員も務める。 

中川 稜さん JANOG51NETCON委員長
 JANOG39@金沢、JANOG40@福島、JANOG41@広島(インフルで欠席)、JANOG42@三重で支援を受ける。知り合いから若者支援の話を聞き応募。
 JANOG42では支援を受けながら登壇も行う。 

若者支援プログラム支援側

鶴巻 悟さん 一般社団法人IPネクスト育成協会 代表理事 
 

JANOG51実行委員

市野 真一さん JANOG51企画編成委員長
 配信のエース 

川越 真二 JANOG51企画編成アドバイザー
 今回の進行
 学生がもっとJANOGに来てくれないかといつも思っている
 


上段:市野さん、川越、井上さん
中段:鶴巻さん、中川さん、髙木さん
下段:嶋さん

もし若者支援プログラムがなかったら?

川越:もし若者支援プログラムがなかったら、JANOGに参加していましたか。

:なかったら参加していないです。若者支援に参加したのはJANOG40の福島でしたが、当時は大阪に住んでいて福島に行くとなると8万円ぐらいになっていました。知ったきっかけですが、所属の研究室で先輩から若者支援の話があったためです。研究室の教授もJANOGメーリスに登録していて、JANOGに参加することへの理解がありました。

また、若者支援をきっかけに当時知り合った学生とJANOG以外でも一緒に活動をしています。例えばICTSC(ICT トラブルシューティングコンテスト)では中川さんと活動していたり、髙木さんとも勉強会を実施したりしました。若者支援参加後も学生側でコミュニティを作成して面白いと思えることを実施しています。研究室以外の仲間ができたのは非常にハッピーでした。支援は一回しか受けていませんが、それ以上の恩恵を受けたと感じています。

中川:私も支援がなかったら参加していないと思います。現地に参加するためにはいろいろハードルが高いということもあります。もともとセキュリティを専門に勉強していて、JANOG39のセキュリティに関するプログラムに興味があったので応募を決めました。ネットワークのことはよく分からず、BGPってなんだろうという状態で、インターネットについてもそれほど興味がなかったのですが、とても面白いと感じることができ、今その業界にいます。
JANOG40で嶋さんと出会いICTSCなどでも一緒に参加できましたし、そのほかの学生とも繋がりできたのが非常に有益でした。

井上:私はJANOG45で支援を受けましたが、支援がなかったら参加できていないです。当時高知県に住んでいたため、札幌に行くとなると羽田経由になり交通費もかなりかかることになります。
また、就職について考える時期でもあったのですが、研究していた音波、ロケットに関する分野に進むのか、完全に趣味で勉強していたネットワークに関する分野に進むのか悩んでいました。そういうこともあり、ネットワーク業界のことを知りたくてJANOGに参加して いましたが、ネットワーク業界って面白そうだなあと感じることができたから 今の私があるのだと思っています。一緒に参加した学生の中にはネットワークに関する知識が半端ない人もいて、自分ももっと頑張ろうと刺激を受けました。

参加当時の話をもう少し

川越:みなさん支援が無かったら参加しなかった、参加したから今の自分があるということですが、実際に参加した時の話をもう少し詳しくお聞かせください。

:JANOGには多く参加してきましたが、若者支援を受けたJANOG40福島は非常に思い入れがあります。福島駅から会場まで距離があったので、一般参加者はタクシーなどで行っていたのですが、自分たちはお金がないので中川さんと一緒に会場まで歩いて行っていました。1時間ぐらい歩きましたね。

中川:ありましたねー、でも歩いている間にいろいろ話ができたのがとても楽しかったです。

:あとはJANOG40で知り合った人とJANOG41、JANOG42で飲んだりなどもしました。Day1やDay2しか参加できないので若者支援は見送ったという学生もいましたが、本会議が終わった後に一緒に観光に行ったり、JANOG若手の夜と称して飲んでいましたね。
インターネットに詳しい人がいるなあと思っていたら、入社後隣の席に座っていたなんてこともあるのでここでの縁はとても大事だと感じています。

懇親会で紹介してもらうのも嬉しかったですね。就職決まってます?といったインタビューもしてもらえてました。

川越:懇親会での写真がこれですね。(JANOG42の懇親会時の写真を見てもらう from JANOG43ニュースレター

:半分ぐらい顔と名前が分かります。

中川:今でも話もするし、仕事で関わりのある人も多いです。

:仕事で関わりがなくても、イベント行くと見かける顔ばかりですね。

参加への不安はない?

川越:初めて参加しようと思ったとき、参加するのが不安と感じたことはなかったですか。

:不安はありましたね、ハブられたらどうしようと笑。でも実際にはそんなことはなく、色んな人を紹介していただけました。余計なおせっかいと思われるかもですが、JANOG51でもそういう交流の機会を増やしていきたいと思っています。

中川: プログラムを聞く際に、支援学生用の席を用意していただいたのは助かりました。 近くに座った人と感想などを話すことができたからです。また、嶋さんの話のとおり、面白い人を 紹介してもらえたり、あそこに今いる人が誰誰だよと教えてくれたのが自分のためになりました。学生からいきなり話かけるのが難しいと思っているので、呼んできてあげるよなどと言ってもらえて紹介してもらえたのがとてもありがたかった。

井上:本会議初日に若者支援学生と支援してくださる大人での懇親会があったのですが、その場で大人のかたが交代で学生にいろいろお話ししていただきました。全く怖い業界じゃないし、業界にいる人も全く怖い人じゃないということが分かったことを覚えています。

その後JANOG46でプログラム委員として参加したのですが、スタッフとして関わろうと思ったきっかけは、JANOG45の若者支援を受けて参加した時にスタッフも優しそうだなと感じたからです。このコミュニティなら私も活躍できるんじゃないかと感じました。

市野:本会議が始まる前に集まったりはしないのですか。

鶴巻:本会議前に学生を集めたりはしていません。個別に連絡してオリエンテーションなどを実施していますが、最初に集まるのは本会議当日で、初日の夜に食事会をやっていました。

支援回数について

川越:何回参加しても違いを感じたりしますか。

中川:毎回得られるものが違うと感じていました。最初はセキュリティの興味からでしたが、4回目の支援を受けて参加したときは、自分でも発信したい、登壇したいと考えるようになり、さきほども話題に出たICTSCネタで友人と一緒に登壇できています。

川越:何度応募してもいいんですね。

中川:多分私が最多なんじゃないでしょうか笑

鶴巻:そのとおりです。複数回の応募を妨げることはありません。

支援する側からのお話

川越:支援する側から支援してよかったというお話をお聞かせください。

鶴巻:IPネクストとしてはJANOG36から支援活動をしておりますが、JANOG40過ぎぐらいから支援を受けた学生が卒業してネットワーク業界に入りましたという話を聞く機会が増えました。JANOGでばったり会うこともあり、我々が目指していた、業界に興味があるけれども来ることが できないといった学生を支援するいうことを達成できてきているなあと感じることができたのがとても嬉しく思います。

先日QUNOG24が開催されましたが、QUNOGとして独自に若者支援を実施していました。QUNOGのお世話係は芝村さんで、IPネクスト育成協会でも理事として参画されています。芝村さんがおっしゃられていたのが、コミュニティを活性化するためには若者を入れていくのが非常に大事だいうことでした。私も全くもって同感です。
本日お集りのみなさんもおっしゃっているとおり、知らないだけで、きっかけがあるとその楽しさや面白さに気づくことができるのだと思います。そのきっかけを与えるような活動が大事で、その場所・機会を与えることができれば、みんな自分の力で深掘りしていき、のめり込んでいき、成長していくのだと感じています。今後も場所・機会を提供するということに徹していきたいです。

参加にあたってのアドバイス

川越:参加したときにもっとこうすればよかったなということがありますか。

:事前資料をもっと読み込んでいけばよかったとは思います。JANOGは事前資料を公開しているプログラムも多いので、プログラムを聞く前に勉強して臨むことが可能です。ただ当時はそのことに気付いていなかったので、当日慌てて勉強していました。

参加時に期待していたこと

市野:学生の時は何を期待して若者支援を受けてJANOGに参加しましたか。

:ネットワーク業界の雰囲気が知りたいと思っていました。当時はソフトウェアエンジニアになるのかネットワークエンジニアになるのかを迷っていましたが、ネットワーク業界には怖い人がいっぱいいるとか、ネットワーク業界って今後何か新しいことが行われているのか、枯れた技術を運用してるだけなんじゃないと勝手に思っていました。とても失礼な話に聞こえるかもですが。
ただ自分には判断する基準、ものさしがないので、実際に行って確認してみようと。
実際に行ってみると想像とは全然違っていて、優しい人しかいないし、多くの新しい技術などを使って色んなことを実現しようとしているのが分かりとてもワクワクしました。

聞きたいプログラムはもちろんありましたが、それだけでは終わらないです。
海底ケーブルの話は今でも覚えているのですが、個人的に気になったことを懇親会とかで直接聞けたりするのは現地に行かないとできないなあと思います。多くの発表や社会人のかたからお話を聞くことで、平凡なエンジニアでも誰かの役に立てるようなエンジニアになれるのではと思ったので今ここにいます。

市野:社会人の生の声を聴ける機会はなかなかないですからね。

:名刺も70枚くらい貰えました。自分のような学生にも丁寧に接してくれるのがとてもありがたかったです。

井上:ネットワークコミュニティへの興味だけで参加しました。学生の時はネットワークは趣味で勉強していたのですが、参加することで多くの刺激を受けていました。
JANOG41ではホストのIIJさんが会場ネットワークのIPアドレスにグローバルIPアドレスを割り振ったのが格好良いと感じ、自分もやってみたいと思いました。前回のJANOG50でネットワークを提供する側として志願したのもJANOG41で格好良いネットワークを見てしまったからです。ネットワークを提供する一員となれてとてもよかったです。

:就職を考える時期と言ってましたが、就活はうまくいきましたか?

井上:JANOG45は就活の意識の割合も大きかったです。その時に多くのかたに声をかけていただきましたが、そのなかの一社に気に入っていただけて今の自分があります。JANOGのコミュニティがあったからこそです。

中川:自分が知らない技術やプロトコルを調査に行くのが目的でした。セキュリティを専門でやっていましたが、他に面白いことがあるのかなという探求心からです。JANOG39ではセキュリティに関することだけでなく、当時身近で使っているサービスに関するプログラムもあり、あのサービスの裏で動いている部分はこんなに凄かったのかと衝撃をうけました。

(髙木さんがここで合流)
髙木:APNIC40のフェローシップ(参加支援プログラム)で支援を受けて参加したことがあったのですが、仲が良かった友人がJANOGの若者支援に参加していて、その友人からの評判がとてもよく、ネットワーク業界面白そう、JANOGでも若者支援を利用して参加してみたいと思ったのがきっかけです。
当時はネットワーク業界に興味はありましたが、社会人のかたがどんな考えで運用などをしているのかなど全く分からなかったので、情報収集が大きなウェイトを占めていました。また、自分が社会人になったらどういう所に行けるのかを予想するためなど、自分のやりたいことの輪郭をクリアしたいという思いもありました。
興味のある企業でも会社説明会に参加したり、OB訪問ができたりしますが、就職するとこんな感じだよというような話に偏りがちで、エンジニアとしての話が聞けないなあと思っていました。JANOGだとお喋り好きの人も多いので、エンジニアの人と話ができ、実際に使われている技術はこういうものだよということが知ることができる場がJANOGでした。技術のことも会社についてもバランスよく知ることもできたのがよかったです。

市野:一言でインフラと言っても職種が多いですからね。私は配信に携わることが多いですが、 配信系のエンジニアが考えるネットワークとWeb系のエンジニアが考えるネットワークは異なっていると思いますし、そこの違いが分かるのが面白いですよね。

支援を受ける側の条件は

市野:支援を受ける学生は何かフィードバックを求められるのでしょうか。

鶴巻:現地参加後に参加レポートを提出してもらうことが支援の条件となっています。選考委員としてJANOGの運営委員にも入っていただいていますので、JANOG運営委員にもレポートを共有しています。

その他

鶴巻:さきほど、本会議に参加してハブられたらどうしようというお話がありましたが、本会議の開催前に集まれると嬉しいでしょうか。

中川:今だとオンラインで参加しやすいので、オリエンテーションなど顔合わせができるとよいかもとは思います。当時はオフラインだと集まるのが難しいこともあり、当日顔合わせだったのかなと。

川越:髙木さんは若者支援のお手伝いもされているそうですが、どのような役割なのでしょうか。

髙木:お手伝いメンバーとしては以前に支援を受けたかたがもう一人いるのですが、その二人でお手伝いをしています。本会議当日の交流の場の懇親会の手配であったり、当日の受付が別にあるので、そこで手続きであったり、実際の回り方などを伝えています。会期中に支援学生が迷子にならないようにサポートしています。

川越:学生へのリーチ方法で苦労していることなどありますか。

鶴巻:新型コロナウイルスが流行する前のJANOG45までは研究室で先輩に聞きましたなど、研究室単位の口コミで応募してきてもらっていました。ただ最近は応募も少なくなってきていて、研究室で支援の話ができなくなってしまったのか、大学からイベントに参加するなとお達しがあったのかなどは分かりません。今後はOBOGの力も借りながら学生へのリーチができればとも考えています。
前回の志望動機などを聞く限りではいろんな人と会って話したい、リモートではできない交流を求めている学生も多いと感じています。

支援を受けようと考えている学生に向けて一言

川越:最後に支援学生へのメッセージをお願いします。

:ネットワーク業界はとてもよい業界です。そしてそれが簡単に体験できるのがJANOGです。将来どういうエンジニアになるか迷っている、まだ分からないという学生もたくさんいると思いますが、一つの選択肢としてJANOGに参加するを検討してみてはいかがでしょうか。

井上:大学で情報系を学んでいたわけではなく、ネットワークに関しても右も左も分からなかった私もJANOGに参加して楽しめて、楽しいことが分かったから今ネットワーク業界で働いています。自分は何も分からないからと若者支援の応募をあきらめるのではなく、まずは参加してみてください。

髙木:参加して後悔した人は一人もいないです。まずは応募して、こんな業界があるんだということを見てもらって存分に楽しんでほしい。

中川:学生は授業や研究室で勉強・研究していますが、実際にどうやって使われているかが分からない人も多いと思っています。JANOGに参加すると、どうやって使われるか分かったり、社会人に濃く深く聞くことができます。ぜったいに楽しいので応募して参加してみてください。

鶴巻:自分はネットワークのことよく分からないけど応募していいのかと悩んでいるのでしたら、応募してよいと断言します。分からないことなどを知ってもらうためのきっかけを提供することが我々のミッションですので、応募をお待ちしています。

また、IPネクストは数年前に法人化して若者支援を組織的に行っております。
多くの企業にご賛同・ご支援いただいておりますが、個人のご支援(寄付)も可能となっております。個人として支援したい、若者に来てほしいという思いにご賛同いただけるかたは ぜひご支援をお願いします。

川越:本日はみなさまありがとうございました!JANOG51スタッフも今回のテーマ「動き出す、一歩」 のために多くの企画を考えていきますので、よろしくお願いします。


いかがでしたでしょうか。

自分はネットワークについてあまりよく知らないんだけど悩んでいるかたや 今回応募すると二回目なんだけど三回目なんだけど複数回応募してもいいのかなと迷っているかたもぜひ応募してみてください。もちろんネットワーク業界興味ありありです!ってかたもぜひ!

2023年1月のふじさんホールでみなさんをお待ちしております。

JANOG51スタッフ一同心よりお待ちしております