JANOGerのみなさんこんにちは!JANOG55 企画編成委員の石田・近藤です。
Day3(2025年1月24日) 10:15~11:00に第3展示場Bで行われるプログラム「気になりますよねっ、IPv4アドレスの移転・売買・リースの実態 !!」にご登壇頂く、JPOPFの運営委員でもいらっしゃる中川あきらさんにお話しを伺いました。
「移転」「売買」「リース」について順に伺いたいと思います
まず「移転」に関して一言お願いできますか
IPアドレスの枯渇直後、APNICやJPNICなどのIPアドレス管理団体はIPv4アドレスの「移転」制度を整備しました。JANOG当日に、この移転制度の概要を解説するとともに、過去3年間における移転の実績について、どのような組織がどの規模で移転を行ってきたのかを世界的な視点でご紹介します。
次に「売買」に関して一言お願いできますか
「売買」は、移転制度を利用して移転元と移転先の組織間で行われる取引を指します。具体的には、相対取引、ブローカーを介した取引、オークションなどの手段があります。当日は、海外の大手オークションサイトでの取引価格の動向について、過去10年間の実績を私独自の視点で考察した内容をご紹介します。
最後に「リース」に関して一言お願いできますか
「リース」は数年前から海外で始まった形態です。というお話もする予定ですが、その前にそもそも「リース」とはについて、従来の分配方法(割り振り・割り当て)との違いを踏まえてご紹介します。その上で、国内外のIPアドレス管理団体やビジネスの世界における動向に触れ、さらに「リース」がIPアドレス分配の考え方に与える影響についてもお話します。
「IPアドレス分配の考え方に与える影響」って何ですか?
「リース」が行われると、ISPなどが責任を持って自社ネットワークで運用すべきPAアドレスが分割され、ISPの顧客ではない第三者の独立したネットワークで運用されることとなります。本来、自律(独立)したネットワークで運用するためのPIアドレスがAPNICやJPNICによって分配される制度があるにも関わらず、PAアドレスが切り崩されて、あたかもPIアドレスとして使われている現状に問題意識を持っています。
同様の問題でIPv6のポリシーの策定が必要とされるでしょうか?
APNICでは、IPv4とIPv6の分配ポリシー(ルール)が同一であることに加え、IPv4でPAアドレスが切り崩され第三者に分配されている現状を考えると、IPv6でも同様の事象が発生する可能性が高いと考えます。なぜならば、IPv4のリースサービスを行っている事業者が、収益向上のためにIPv6でもリースサービスを始めることは自然な流れだと思うからです。そのため、IPv6においては今のうちに明示的に禁止する措置が必要ではないかと考えています。この点については、JANOGerの皆様のご意見を伺いたいと思っています。
学生及び初参加の方にどのような気付きをもってほしいですか?
今回は、IPv4アドレスの取得が複雑化し、高額化している現状についてお話しします。インターネット技術の標準化団体であるIETFでも、すでに数年前からIPv4の改良を停止しており、IPv4に未来がないことは明らかです。 これからインターネットを構築・利用する皆様には、当面はIPv4と向き合う必要がある現実を認識しつつも、将来性のあるIPv6を軸に「IPv6 First」の視点で物事を捉え、考えることの重要性をぜひ感じ取っていただきたいと思います。