概要
KDDIではJANOG53で紹介したPoC[^1]を経て、OpenStackを活用した全社共通のプライベートクラウドを運用を開始しました。
このプライベートクラウドでは5GコアやIMSなどのモバイルコアや、運用支援システムまで、様々なシステムが仮想化され稼働しています。特にモバイルコアなどのネットワーク機能を仮想化するNFV(Network Function Virtualization)では高いパフォーマンスと信頼性が求められます。本発表ではこのプライベートクラウドにおける仮想ネットワーキング上の工夫を紹介します。
従来のNFVでは性能や可用性、機能的な制約から、OpenStackによるVXLANなどを利用した仮想ネットワークの利用は限定的でした。しかしながら仮想ネットワークを十分に利用できないことで柔軟性に乏しく、コストやアジリティの観点で大きなロスがありました。そこで、今回構築したプライベートクラウドでは、この課題に対して、仮想ネットワーク上に作られた仮想ルータの高速なDPDKデータプレーンとBGPによる動的ルーティングを組合せて性能と柔軟性を向上する独自の方式を採用しました。
さらにOpenStack Neutronのプラグインを独自に実装し、仮想ルータやBGPによるネットワーキングの存在を隠蔽しました。これにより社内のクラウド利用者が、仮想ルータやBGPの存在を意識することなく、一般的なOpenStackのようにセルフサービスプロビジョニングでネットワークの作成や削除が動的にできる方式を実現しました。
本発表では長年のOpenStackやNFVの運用から見えてきた課題を共有し、過去からの検討[^2]の流れなども紹介しながら、どのような実装を行っているのかの具体的な内容を紹介し、どのように、古くて新しい技術である仮想Networkで新たな未来を紡いで行こうとしているかを紹介します。
関連項目:
[^1]: JANOG 53 – 次世代OpenStack NFV基盤の検証
[^2]: JANOG 51 – 「皆さん仮想ルータ使ってますか?」仮想ルータの使いどころを語る会
議論ポイント
– 仮想化における動的なネットワークのプロビジョニング
– ネットワーク制御の分散アーキテクチャ vs 中央集権アーキテクチャ
– プライベートクラウドでのネットワーキング
– 仮想化 vs ベアメタル
– 仮想ルータの活用方法
– OSSの利用とそのカスタマイズ
– 内製化
– 人材育成
場所
第1展示場A
日時
Day2 2025年1月23日(木) 11:15~12:15(1時間)
発表者
公開資料
【公開版】NFVプライベートクラウドにおける仮想ルータとBGPによる自律的仮想ネットワーキング